第374話「ば、化け物」
「又聞きだから正確じゃないけど聞きたい?」
「ぜひ」
「その聖女は血塗れの化け物……」
「ば、化け物!?」
「だったり、気の強いお姉さんだったり、小さい子供だったり。はたまた壮麗な男性だったりとか、色々と違う噂があるんだよね。噂だから仕方のないことだけど」
「な、なるほど」
ほっとした。
それから実験を再開し、間隔を短くした光柱を木の板に命中させた。
だが結果は先と同じく何も変化はない。
「……」
「サラティスさん?」
「いっそ、広げて薄めてる熱を光と同じく、熱を一か所に集めて発射する形にしたら?形自体を光柱に落としこめば……それとも光柱の魔術式に加ええる?あー、でもそしたら安全性が……」
サラティスは自身の世界にて虚空を指でなぞる。
無意識は言葉になりて口から零れる。
ローネはサラティスが入ったのだと気付き、静かに待つ。
「は、ご、ごめんなさい」
「大丈夫です。あるあるだから」
ここまで激しく、興味深い言葉の洪水は見たことがないが、同じく魔術を研究している者にとって己の世界に入りこみ、脳内にて実験を行うのは珍しいことではない。
ぶつぶつと独り言を漏らし、気味悪がれてこそ、いっぱしの研究者だと思う。
「ローネさんは美髪器という髪を乾かす魔術具を知ってますか?」
「うん、実物は見たことないけど魔術式は知ってるよ。光魔術を使ったみたいだから、協会に行って公開資料を見たのよね」
「あれは光魔術の熱を応用してるのですが、熱を分散させてます。あの熱を利用して、分散ではなく一か所に集めてそれを発射させるのはどうでしょうか?」
「ちょ、待って」
ローネは急いで紙に記していく。
筆記に合わせてサラティスが再度説明し、ローネが書いていく。
「サラティスさん、一度これで魔術式考えて見るからまた意見を貰ってもいい?」
「はい、大丈夫ですよ」
「……」
「どうしました?」
「サラティスさん困ったことはない?」
「困ったことですか?」
ずいぶんと唐突である。
「うん。ほら、私は上級生でしょ。正直さ、サラティスさんのお陰で色々と思いついたり、方向性を決めれたり、サラティスさんにしてもらってばかりで申し訳ないからさ」
「別に気にしなくていいですよ。加工した魔術式教えてもらいましたし」
「それじゃ釣りわないもの。何かない?」
「うーん。……そうしましたら、水魔術でおすすめの本などありましたら教えてくれると嬉しいです」
「水ね。……因みに水球とか一学年向けじゃなくて、魔術の開発とかそのレベルてっことだよね?」
「はい」
ローネはまとめたら送ってくれると約束してくれ、時間も時間なので別れ自室に戻る。




