第294話「内容の審査」
「はい。二人はどうです?」
二人とも頷く。
「そうか。まずは試行回数の少なさだな。失敗も成功の回数も圧倒的に不足している。最低でも桁を一つ増やすべきだ。これに関しては休み期間中という制約を考えれば仕方のないことだろう。次に一番の問題が重要事項の欠如だな。なんだか分かるかね?」
フィーナとエステリアは首を横にふり、サラティスに託す。
だがサラティスもさっぱりである。
「雷魔術の補助。これは魔術的要素なのか、技術的要素かの記述が一切ない」
三人は首を傾げる。
「……君らが理解できるように砕くのであれば、サラティス君が雷球で運んだ。この雷球で運ぶという行為は誰がやっても同じように成功するのか。もしくは、ある程度練習しなくては成功しない、技術的な課題があるか。はたまた、職人技のようにサラティス君以外にはできないのか」
「あ」
「確かに」
「サラちゃんしかやってないですね……」
「三人でやるでのあれば、成功方法で役割を変え、どういった結果になったかまで突き詰めるべきだ。こちらもまぁ、雷魔術は一学年では習わないことを考えると仕方ない面はある。そして、この記録自体にも多少難がある。ここら辺はフィーナ君の記録……ここははエステリア君、こっちはサラティス君が記録したのではないか?」
「ど、どうしてそれを」
チュースの指摘は当たっていた。
「正直な話、私が教員で君たちの癖を知っているのでどこを誰かを推測することができた。外部の人間だと誰かを当てるまでは不可能だろう。だが、確実に記録者が三人であることはこういった記録に目を通すことに慣れた人間なら即気付くであろう」
チュースは机の上に記録を広げる。
「まずフィーナ君の箇所は文面が几帳面できっちりしている。だが所々で抜けがある」
「あ、本当だわ」
「魔術を習うではなく、自ら書く経験をしていけば無くなることではあろうな。エステリア君は漏れがないが、書いている情報が多すぎる。ここの部屋のドアの様子など、正直不要な情報だな。下書きであれば問題ないが、清書の段階で取捨選択を行うべきだ」
「情報を減らす……」
「そしてここがサラティス君だな。情報が最低限すぎる。一定以上の知識が無ければ読み進めるのに時間がかかるだろう」
「なるほど、ありがとうございます」
「魔術協会に出すのではあれば要修正だが、学生による発表、しかも一学年が出す物であれば文句はない」
「では出せますかね?」
「まだ不明だ。申請締め切った後に全学年で確認を行う。数的に問題なければ全部展示。数が多すぎる場合は協議して一部を減らす、もしくは内容的に可能であれば日程で交換して出すなどになる。例年でいえばまず、あぶれることはないだろうな」
「では、宜しくお願いします」
「結果はともかく、三人による拡散魔術の実験記録。確かに申請を受領した」
チュースは広げた紙をまとめサラティスに返す。
「フィーナ君、エステリア君。諸君らは魔術協会に所属しているかね?」




