第293話「はやいです」
三人は実験を進め記録していった。
時の砂はすさまじい速さで零れ落ちていった。
夜間の時間帯以外、魔獣が出れば駆除に混じるジェリド。
サラティスからすれば、空を見上げ目に入ってくる、空模様と同じであったが客人二人からすれば変ったもののようであった。
そして休みがあっという間に終わり、名残惜しくも家族に別れを告げ、四人は何事もなく無事に学園に到着した。
一週間ほど通常授業は行われないそうだ。
遠方から戻ってくる生徒のことも考えて猶予が設けられている。
ムルリンドウから学祭に参加希望の生徒は申請書を出すように説明がされ、さっそく三人は提出した。
翌日、ムルリンドウから呼び出さ三人は教員室に訪れた。
「一応確認なんだけど、三人は魔術大会じゃなくて、発表会に参加で間違いないかい?」
「はい、間違いないです」
「そうか。申し訳ないけど一度チュース教員の話を聞いて貰えるかい?」
三人はチュースに連れられ個室に入る。
「エステリア君、サラティス君、フィーナ君。君たちは学園祭の研究発表会に申請希望で間違いないかね?」
「はい」
「武芸大会、魔術大会に関しては参加申請すればいい。だが、発表会に関しては事前に審査が必要になる。いくつか理由があるのだが一つは展示スペースに限りがあるということだ。そして、二つ目は生徒の自己満足を展示する目的ではないということだ」
相変わらずの鋭さである。
「例を挙げるのであれば、火球の形を魔獣の形に変えた。確かに操作技術は素晴らしいが、やっていることはただの火球だ。魔術の発表としては不適切である。そういった物を除くために審査をしている。で、君たちが発表内容は何だね?」
「拡散魔術です」
「拡散魔術……まさかとは思うが?室内での拡散魔術の使用についてかね?」
「ど、どうして分かったんですか?」
フィーナは驚きの声をあげる。
「拡散魔術で隣の部屋に届ける研究されてるが、まだ成功してるのはないって、教えてくれたのはチュース先生なんですよ」
「なるほどね」
「まぁいい、その書類の束から察するに記録をしているのだろ?見せてもらおう」
サラティスは記録を渡す。
「座っていたまえ」
チュースが確認している間三人は椅子に座って待っていた。
「ひとまず概要は理解した。記録通りであれば、発表会への展示は問題ないレベルだ」
「展示って何をすれば?」
「この記録を展示用の紙に書いて展示、これは実演が可能な部類なので加えて実演だろうな」
「記録って私達初めてなので、これでいいのですか?」
「魔術協会などに提出するものであるなら、完成度は四割程度で不足が多い。聞きたいかね?」




