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最強の妹属性 ~前世で助けた女の子がお礼を言いに異世界に会いに来てくれました~  作者: ヒデミケ


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35 ドラゴンロード

「結構ヤバイの出ちゃったんだけど、逃げるの無理かなー?」


「ソニンちゃん、思考誘導は?」


「ダメねー。何度かかけてるけど弾かれてる」


 基本的に竜種は好戦的だ。


 このままおとなしく見逃してくれるはずがない。


 火竜か。


 炎でも吐かれたら、被害が計り知れない。


 いや、もう既にブレスの態勢入ってるし。


 なりふり構っていられない。


 俺は最前線に立ち、後方で動かずにいる全員を網羅できるようなビッグシールドをイメージしてみた。


 魔力で造った盾で、ブレスが防御できるかは分からない。


 だが、このままではやられる。


 ソニンちゃんが全ての責任を取らされてしまう。


 というか、ソニンちゃんの横暴を止められなかった俺にも責任がある気がする。


 ……大盾をイメージ。


 でかい頑丈な盾だ。


 すると俺の目の前に全長10メートルはあろうかと思われるスーパービッグシールドが顕現した。


 その瞬間、到来するブレスの直撃。


 盾で前が見えなくなるのは、よろしくないので半透明にしておいた。


 その大盾がブレスの業火を一身に受けている。


 10秒ほどやつは頑張っていた。


 だが、盾は溶ける事もなければ、砕け散る事もなかった。


 最上級のドラゴンシールドだ。


 そのシールドを肩で固定し、更に俺は火の燃え盛る弓矢を発現させた。


 火竜に火矢を放つわけではない。


 火の弓矢はただ単に見た目がカッコいいから。


 火はつかないし熱くない。


 そして最高出力で弓を引き絞った。


 くどいようだが放つ先は、火竜ではない。


 上空だ。


 そこには上空高く跳躍していたシリウスがいた。


「シリウス! 頼む!」


「ユーベル君、待ってたよ! 唸れ! ソウルイーター!」


 その掛け声やめれ。


 俺の放った火矢は兆速でシリウスに到達。


 しかし、上空で彼はソウルイーターの剣の腹に見事に火矢を吸収させた。


 過去最高量の禍々しい黒いオーラが魔剣ソウルイーターに立ち込める。


「全てを薙ぎ払え! ソウルスラッシュ!」


 中二病乙。


 その剣閃はブレスの炎を分断し、その先で大口を開けているドラゴンロードをすり抜けるとそのまま低空で地面を豪快に抉りながら、兆速で消えていった。


 ドラゴンロードの上体がずるりと滑り落ちる。


 自分が既に絶命している事も分からないのかも。


 これ、地図の書き直しが必要なくらい地形変えちゃったかも。


 多分だが、シリウス経由する必要なかった気がする。


「皆、無事?」


「はい、何とか大丈夫です」


 後ろの女の子の一人がほっと胸を撫でる。


「俺達こんな化け物と同級生だったのか」


 前線のゴリラの一人がまじまじと語る。


 驚愕はしているが、俺やシリウスに恐ろしさは感じていないようだ。


「ユーベル君シリウス君、やっぱりやってくれたねー。期待はしていたけど、ダメだったらどうしようと思っていたの。でもそのおかげでユーベル君のその凄まじい能力、その片鱗が分かっちゃったかも……」


「ソニンちゃん、マジですか?」


「うん、実は探ってはいたんだ。でも不確定要素が多すぎて判断がつかなかったの」


 俺は何年もこの能力に期待もし、不安も募らせ、もどかしい時間を過ごしている。


 いよいよベールがはがれる時が来たんだ。


「ただソニンちゃん、ユーベル君、この状況の収拾はどうつけようか?」


「そうねー。たまたま野外授業で散策してたら、たまたま道に迷ったあげく森の中腹で遭難しかけて、たまたま魔物の生態系が狂ってて、たまたまそこにドラゴンロードがいたから、やむ無く考えられる最高戦力で対処したって事でどうかな?」


「どちらにしてもソニンちゃん怒られますね」


「やっぱりそうなのかなー」


 頭を掻いて苦笑いのソニンちゃん。


 結構ぶりっ子。


 ただし、編入組のみんなは、ソニンちゃん推しが多いらしく、多少都合の悪い事実はなかったことにしてくれるそうだ。


 ――翌日の朝、俺とシリウスはソニンちゃんに声を掛けられ、昨日の事件の重要参考人として、校長からアカデミーの応接室に呼ばれることになった。


 重要参考人扱いなのは気に入らないけど。


 部屋をノックした。


「どうぞ」


 少しばかり、ダンディーで野太い声がした。


「失礼します」


「ユーベル君、シリウス君、昨日の件でどうしても伝えておくべき事があってね。ああ、ただ娘を救ってくれたことにまず感謝しなければならないな。こんな愚娘を救ってくれてありがとう」


「娘?」


「ソニンちゃん、いやソニン先生は娘さんなんですか?」


「あれ? 知らなかった? パンフとかもあたしめっちゃパパの娘として表紙飾ってたりしたけど」


「僕は初耳です」


「俺もです」


「あまりにも魔女っ子が過ぎてぶりっ子していたので、カットしたんだ」


「うっそー、パパひどい」


 アカデミーのイメージ的にはそうせざるを得ないんだろう。


「ひどいのはお前もだろう。生徒達が身体を張ってお前を守っていたらしいではないか?」


 多分だけど女の子の一人が校長にチクったのかもしれない。


 女の子の何人かが、ぶりっ子ソニンちゃんをジト目で見ていた気がするし。


「実は昨日は、アカデミーの内々でスタンピード情報が元々出ていてね。凄腕のあたしが調査に行くように言われていたの。でもね、パパが闇属性の選択科目に出ているユーベル君とシリウス君に興味持っちゃって、二人にどんなパフォーマンスが出来るのか知りたいってことで、野外授業を建前にして行かせちゃったんだー」


「そういう事なんだ。ユーベル君、君の編入試験での驚くべき能力は目を見張るものがある。シリウス君は元々恐ろしいほどの剣の腕前に加え、潜在的な闇属性魔法の資質を備えていたと聞いた。そして元々編入性は選りすぐりの選抜者達だ。イレギュラーなスタンピードをどう切り抜けられるのかという課題をソニンに出しておいたのだよ。だがまさか最高竜種のドラゴンロードが出没していたとは」


 そういえば、ソニンちゃんですら、最初オークロードって決めつけていた節があったからな。


「そうなのー。あたしもさすがに驚いちゃってね。でもそのドラゴンのおかげでユーベル君、君のその魔力を具現化する特殊能力、いえ特殊魔法を見抜けたってわけ。多分確信で」


「魔力を具現化する特殊魔法?」


「詳しくは理事長である大司教様に聞いてみるのがいい。おそらく大司教様は君のその能力の事を知っている。認めたくなかったような節があるが。ユーベル君を大司教様に紹介したという元弟子の僧侶だったかな。その彼も大司教様であればと願いを込めてユーベル君を紹介したのかもしれないがね」


 オベールさんが俺の事を大司教様に紹介してくれたことで、俺はスムーズにアカデミーの試験を受けられた。


 そして、もしかしてオベールさんにも思い当たる事があったのかもしれない。


 確証がないから言えなかった。


 でもそこまでつないでくれたオベールさんに感謝だな。


「分かりました。では大司教様にお話を聞いてみたいと思います」


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