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お姫様の恋 ~ハーボルト王国 王室に嫁いだ姫君たち~  作者: 松本せりか
見た目は17歳、中身は12歳の悪役令嬢
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第58話 王宮住まいと毒入りの食事

 多分、お話の途中で私が泣き出したのが良かったのだと思う。

『キャロルが、賢者様に謁見した』という噂は、瞬く間に貴族の間に広がった。

 ウィンゲート公爵は、焦るんじゃないかな。

 だって、この噂が肯定されてしまえば、『賢者死亡説』の噂を流したウィンゲート公爵は不敬罪どころの騒ぎでは無い。

 下手をしたら賢者と王室に対する反逆罪で裁かれてしまうもの。



 私は今、王宮のクラレンスの部屋に住んでいる。

 この前の事件の時に、間借りしていたお部屋だ。

 今回は、最初から長期間住むつもりなので、自宅屋敷から日常使う物も持ち込んでいる。

 何でこんな事になっているのかと言うと、クラレンスから懇願されてしまったから。

 クリスの結界の中での報告に、最初は凄く怒っていたけど……。



「何で賢者に会った時の事なんてお茶会で言ったりしたんだ。ムーアクロフト夫人から誘導されたのか?」

 その通りなんだけど……。

「誘導は、されたけど。賢者様死亡説の噂を何とかしなきゃと思って」

「もう。お茶会にも、夜会にも出さない。キャロルは私の部屋から出ないで欲しい」

 ちょっと、待って。無理だわ、それは。

「無理です。もう承諾してしまっているお茶会もあるのに。夜会だって、王室主催のものは出なければならないでしょ?」

 クリスは、私たちの会話を何か考えながら、黙って聞いている。

「それは、そうだが。お茶会の方は何とか断りを入れられないのか?」

「別に……良いんじゃないの? ここでキャロルが引き籠ったら、ウィンゲートの思う壺だし」

 このままでは、クラレンスが私を軟禁状態にしかねないと思ったのか、今まで黙っていたクリスが突然、私の行動に許可を出した。


「覚悟が決まったんだろ? キャロル」

 私の方を見て、クリスが言った。

「ええ。私は大丈夫」

 そう言って、胸を張って見せた私に対してクリスは笑ってくれた。

「そう。だけど、クラレンスの部屋から出ても良いけど。キャロルの部屋が王宮に出来るまでの二か月間は、君たち一緒に住んだ方が良いかもね」

 

 そう言う経緯があって、私はクラレンスの部屋に住むことになったのだわ。

 そして、クリスがクラレンスと一緒に住むことを提言した意味はすぐに分かった。




 カシャーン。

 スープ皿が落ちて割れる音がする。

 お部屋での食事中、お毒見役の侍女が倒れて痙攣(けいれん)していた。

「誰か、お医者様を」

 思わず私は立ちあがり、周りに向かって叫ぶ。

 だけど、倒れた侍女は、護衛で付いている近衛騎士たちの手によって部屋から連れ出されてしまった。


 スープに何らかの毒が入っていたのだ。

 即座に周りの騎士や、この騒ぎで部屋にやってきた役人や文官達が犯人を突き止めるために動いている。 

 一段落して、クラレンスが私を抱きしめてくれた。

 怒りでどうにかなりそう……なんて事本当にあるんだ。体が震える。犯人に対する怒りで。

 だって、ターゲットは私なのに、死ぬかもしれない目に遭うのは、周りの人達だ。

 キャロルのお母さんもこんな目に遭っていたのかしら、それで耐えれなくなって……。

 悔しい。絶対負けたくない。

「大丈夫だ、キャロル。侍女はちゃんと侍医が診ているから」

 クラレンスは私が怯えて震えていると、勘違いしているのかな? 


 目の前に、新たな食事と毒見役の侍女がやってきた。

 正直、もう食べる気がしない。

 だけど、ずっと食事をしないなんて事は不可能だもの。


 それに、今までだって毒見役はいた。

 ただ、今回は即効性の毒だったけど、遅効性の毒ならどうしようもない。

 銀の食器も変色せず、無味無臭の毒を使われたら分からないから。


 交代した毒見役の侍女は堂々としている。

 そういえば、普段から毒見役の侍女たちは平然と毒見をしていた。

 まるで、王族の為に命を賭すと覚悟を決めているように。

「こちらは大丈夫です。お召し上がりください」

「そう。ありがとう」

 私は、侍女に礼を言って、食事を始めた。


 毒を盛るなんて、こんな卑怯な事をする人に、絶対負けたくない。

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