↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/45

五感



「おっと、大事な事を忘れていたよ。君にゾンビの種類をまだ言ってなかった。説明するから大前提として、ゾンビは普通の人間と変わらない能力しかないと言うことを覚えていてくれたまえ」

「種類? 能力?」

「そうさ、君が戦ってきた中でも違いは見られただろう?」

「あぁ、あれって個人差じゃなかったのか」


 普通より力が強かったりしつこく追ってきたりしたのが居たな。


「個々の動きに若干違いはあるだろうが、大まかに分類されるのは以下の通りだ」


 先程のように各詳細が記載されたプリントを見せてくる。

 ゾンビ写真が添付されており、こう見比べると確かに各々違う。


「まずはディテクションタイプだが、コイツらは獲物を探知することに特化している。力は平凡で能力は順番に視覚、聴覚、嗅覚と優れている点がある。見た目でも違いが分かるはずだ」


 どれも特徴的な部分が少し大きく目立つ。

 さっき実験で戦ったのもこいつらだ。


「視覚タイプは人間より夜目が利き、こちらが真っ暗で見えなくとも襲ってくる」


 夜型か……忘れずに覚えておこう。


「聴覚タイプは物音を聞きつけやすく、家の中に居てもバレることがある」


 生活音が聞き取られたら厄介だな。


「嗅覚タイプは逃げている途中に隠れても匂いを察知し追ってきて、他で匂いを誤魔化さない限りはかなりしつこい」


 コンビニから追っかけてきた奴だな。

 後、初期に勇真のマンション裏の川へ逃げた時もこいつっぽい。


「次にプリデイションタイプ。こいつらは探知能力が劣る分、捕食能力に優れていて並大抵の人間では敵わない」


 プリントをめくると二体のゾンビが記されている。


「触覚タイプは触れることで厄介さが分かる。力が強く耐久性も高いため、普通のゾンビと舐めてかかると返り討ちにあう」


 多分闘技場に居たのがこいつだ。

 根原が危惧するぐらいだから相当ポテンシャルは高いんだろうな。


「味覚タイプは今までのどの特徴にも属さず、AB型でしか確認されていない希少型だ。はっきりいって素の能力は全ゾンビよりも弱い」

「そんな奴が捕食タイプなのか?」


 味覚っつーぐらいだからグルメゾンビな予感。


「ちゃんと理由がある。こいつは捕食すれば動きが良くなり、捕食した人間が同じ血液型だった場合更に手強くなる。触覚タイプを抜くぐらいにね」

「そんなおっかねぇのがいんのかよ……」


 最弱だけど放置してたらいずれ最強ってことか。

 もし、AやO型で発見されたらめちゃくちゃ強いのが出てくるよな。

 頼む、AB型だけにしといてくれ!


「これらを総じて五感ゾンビと呼ぶが、彼らが生前長所だった部分がそのまま特徴として現れ、各ゾンビとなる傾向がある」

「なるほど、じゃあ俺はどれに分類されるんだ?」

「君はこの中のどれでもない。そもそもイレギュラーな存在だから能力もまだ完全に把握できてはいない。分かっているのは身体能力の向上ぐらいさ」

「ふーん」


 なんだそれ。せっかくゾンビになりかけなんだから、もっと特典はないのかよ。

 あ、腹減らないのが特典っちゃ特典だな。


「プリントは見終わったけどこれで全部?」

「一応……ね。このウイルスでデータを取れた期間はまだ短くてね。独自に進化する可能性もあるから予測がつかんのだよ」


 変なもん作るからだろ。全く……こいつのせいで俺はこんな身体になったっつーのに、敵に一から全部教えてもらうなんて癪だ頭にくるぜ。


「ならもういいな? とっとと出かけるぜ」

「あぁ、これを着けて頑張りたまえ。データを楽しみにしているよ」


 計測器のような腕輪を右手に装着される。

 ピピピと電源が作動すると根原の満面の笑みが目に入る。腹立つ。殴りたい。


「これで君の情報は等間隔に自動で送信される。無くさないでおくれよ」

「知るか、期待すんなよ」


 こうして四日振りに外に出た俺は、目的地も決め兼ねたままフラフラと彷徨い始めた。

 さぁてどうすっかな……。



――――――――

――――――

――――



 健とはぐれてから五日も経ってしまった。

 あの日帰ってきてから健の件を二人に説明すると、美優ちゃんの動揺が激しく智香ちゃん達がどうにかなだめているが、今も落ち込んだままだ。

 俺だって出来るなら早く探してやりたいが、雫と二人きりになった時に泣きつかれて止められてしまった。

 俺まで居なくなったら私達はどうすればいいの……と。


 正直今男一人という状況はかなりまずい。

 中へ置いていこうとすれば不安がられ、外へ連れていこうにも攻めと守りを同時にできず、この間の強タイプゾンビに挟まれたらとても守りきれない。

 だからこそ俺一人の方が身軽で逃げ切りやすいんだけど……むむむ。


 だが、この五日で変化もあった。

 まず、ゾンビに直接噛まれた場合に感染することが判明。引っ掻かれた程度では大丈夫とのこと。

 噛まれた箇所が脳に近ければ近いほどゾンビ化が早まるが早くて三日、遅くて七日でなるらしい。

 つまり、それ以上経てば感染は免れたということ。

 後は自然ゾンビ化の謎が分かれば感染経路が特定できそうだ。


 それと、ラジオで新しい避難所として船での隔離場所があるとのことだった。

 海の上なら泳いでは来れないらしい。本当か……?

 調べようにもいざ海へ出て囲まれましたでは話にならない。


 まぁ帰ってきたあの日から今まで、マンションの前に奴らの数が徐々に増えて、既に囲まれ始めているんだけども……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。