判明
今週末、来週末忙しい可能性が高いので先に投稿しておきます
「ここは……?」
俺は確か……闘技場でゾンビに喰われる人を見て怒りがふつふつと沸いて……その後何があったんだろう。
起き上がると辺り一面真っ白な部屋で、テニスコートぐらいの広さはある。
入り口はカードキーと暗証番号でしか開かないようだ。
「実験開始、ディテクションタイプ投下」
どこからか無機質な音声が響く。待てよ……これは夢で見た内容と同じじゃないか?
考える間もなく、エレベーターくらいのサイズで反対側の壁が静かに迫り上がる。
「アアァァァ……」
「こいつは……夢とは違う?」
俺をひたすら追っていた奴とは容姿が違う。まだ戦ってもいないが夢の奴より弱々しく感じる。
普通のゾンビ――なのか?
「試しに戦ってみるか……」
夢で見た最後はどうなったか分からないが、逃げられないなら戦うしかない。
これが実験とやらなら乗ってやるよ……!
「アアアァァ!!」
「掴みかかる力は強くない。他は……目が大きいなこのゾンビ」
こちらの意図などお構いなしに、ガチガチと歯音を立てながら近付こうとしやがる。
「お前には悪いけど喰われてやるわけにはいかないんでね。おうらあぁっ!」
頭を掴み強引に捻る。視界が反転した頭部は何が起きたか訳が分からない様子で、ゆっくりと身体がうなだれていく。
「案外脆いもんだな。いや俺の力加減がいつもと違う気がするな」
死体を眺め、自身の力を振り返る。
だが、間髪入れずに次の壁扉が空いていき、他のゾンビに気付くのが遅れてしまった。
「ぬおぉ!?」
すんでの所でゾンビの鷲掴みから回避。こいつも先程のタイプと似ているのか、動き自体はそう早くない。
目の大きさは普通だ。違う点は耳が大きく見える。
「お前も寝てろ!」
「アアァ……」
こいつもなんなく処理。お約束のようにまた次のゾンビが現れる。
今の俺には恐怖心が全く無く苛立ちと作業感で相手をしている感じだ。
こんな下らない戦いをいつまでやらせる気だろう。
「オォォ……」
「今度は鼻がでかいのか。ニュウドウカジカだっけ? それに似てるなお前」
どこか憎めないおっさんの顔をしているゾンビの手を後ろに捻り、足払いで転がし後ろ頭を踏んづける。
活動を停止するまで身体のあらゆる箇所にもう片方の足で攻撃を加え、気付けば腕は取れ頭部は半分ほど凹み原型が無くなっていた。
「フフフ、思った以上に素晴らしいよ健くん」
スピーカーから放たれた声はよく知る人物、根原の声だ。
「あんたの仕業か……思い出したぜ全部」
気絶する前の出来事が脳内で再生される。
俺をここに閉じ込めたのも実験を眺めるためだろう。
「あの二匹を出せ! 今なら軽く殺してやるよ」
「まぁまぁ、物事は順序を追わなくてはならない。君にまだ早いと言ったのは順応したデータが取れていないからだ」
「順応? なんの話だ」
「君はウイルスに感染しているんだよ。それも特殊な条件下でのみ起こりうるタイプで、彼らと違って意識は人間のままさ」
「なんだと……?」
嘘だ。俺があいつらと同じ存在なんて!
「君に何を言っても今は信じないだろう。仕方ない、そのゲートから私の部屋まで来たまえ。証明してみせよう」
そう言い放つと、ゾンビが居た方向とは真逆の壁扉が徐々に開いていく。
たとえこれが罠でも真実を知るなら行くしかない。
「待ってろ根原!」
「フフフ」
部屋を出ると見覚えのある廊下が見える。ここはそう、エレベーターへ向かう途中で見た廊下だ。
つまり、道沿いに行けば根原の部屋まで自動に案内してくれる。
「根原ァ!」
自動ドアが開かれ乗り込む。目的の人物は正面のソファーに座って居る。
しかも、何事もないような余裕な態度でお茶をすすっている。
「やぁ、そんな大声を出さなくても聞こえてるよ」
「貴様ァ! よくも俺にウイルスを!」
「君は勘違いをしているね。元々ウイルスに感染したのは君自身で、私は経過観察をしたに過ぎない」
「なに!? どういうことだ?」
「経口摂取したのさ。日本で発売したばかりのコーヒーによってね」
「コーヒー……?」
あれか、コンビニへ立ち寄った時のくそ不味かったコーヒー。
あんなものでゾンビになるのか?




