第四十四章 浮遊都市での追跡!ドタバタ空中劇
宇宙港での騒動を終えたアストラたちは、休暇を兼ねて浮遊都市〈スカイメトロポリス〉を訪れる。青空を突き抜ける巨大な浮遊プラットフォームの上で、彼らを待っていたのは……やっぱり平穏ではなく、銀河警察と犯罪者を巻き込んだドタバタ空中劇だった。
浮遊都市〈スカイメトロポリス〉は、惑星アリアの上空に浮かぶ巨大な都市だ。透明なドームの中に摩天楼が並び、都市全体を支えるエネルギーコアが常に煌めいている。観光客には人気の名所であり、リーナも「さすがにここでは事件は起きないでしょう」と言っていた。
「空に浮かぶ都市だぞ!なんてロマンなんだ!」
アストラは感動の声をあげ、カイは「僕の発明でミニ浮遊都市を作りたい!」と騒ぎ出す。
マリナはタブレットで街の構造をチェックし、「ここは交通網が立体的だから、システムの誤作動が起きると大惨事になるわね」と冷静に分析していた。
しかし――その予感はすぐに的中する。
「緊急放送!指名手配犯〈スカイハンター〉が都市に潜伏!市民は直ちに避難してください!」
「……ねぇ、私が“事件は起きない”って言ったの、忘れて」リーナが頭を抱える。
「いや、むしろ期待通りって感じだな!」アストラは笑う。
「期待しないで!」リーナのツッコミが鋭い。
そんなやりとりの最中、アストラの肩に誰かがドンとぶつかってきた。振り向くと、顔をマスクで覆った男が慌てて走り去っていく。その手には、都市のエネルギーコア制御キーが握られていた。
「待てっ!それは重要機密じゃないか!」
アストラの声に、男――指名手配犯〈スカイハンター〉はさらに加速。
「はい、また始まりましたね……」リーナがため息をつく。
――こうして追跡劇が始まった。
スカイメトロポリスの通路は立体構造で、道路も橋も透明な強化ガラス製。アストラたちは犯人を追いかけ、空中庭園や高速エアバスの車両の上をドタバタと駆け抜ける。
「カイ、何か使える発明は!?」
「もちろん!“空中スラスター靴”だ!」
そう言ってカイが起動した途端、推進力が強すぎて後ろ向きに吹っ飛んでいった。
「ぎゃあああ!逆方向!!」
「足手まといになってどうするのよ!」リーナが叫ぶ。
一方マリナは都市システムにハッキングを仕掛け、犯人の逃走経路をブロック。だが誤操作で、都市中のネオンサインを暴走させてしまう。
「キャー!まぶしい!」
「なんで“ようこそ観光都市へ!”の看板が爆音で鳴ってるのよ!」
犯人も混乱し、足を滑らせて空中遊歩道から落ちそうになる。しかし間一髪で捕まったのは――アストラの手。
「危ない!落ちたら大惨事だぞ!」
「放せ!俺は自由に飛びたいんだ!」犯人は必死に抵抗するが、結局全員ごとエアカーに転がり込み、車体ごとスピンしながら市街を突っ走る羽目に。
その頃、銀河警察も到着。
「また君たちか!?」
「いや、違う!今回は本当に偶然なんだ!」アストラは弁解するが、すでに誰も信じていなかった。
エアカーは都市中心部に突入し、巨大ホログラムの看板を突き抜け、噴水広場に突っ込む。派手な水しぶきとともに犯人は転がり出て、あえなく気絶。
「……捕まえちゃったな」アストラが呟く。
「事故の連続で、ね」リーナが冷ややかに返す。
「でも結果オーライ!」カイはびしょ濡れで親指を立てた。
銀河警察は呆れ顔で犯人を引き取るが、市民たちは喝采を送り、アストラたちはまたしても“英雄”扱いに。
「こうなると、平穏な観光なんて絶対無理よね」マリナがぼそりと言う。
「いやいや、次こそは休暇だ!」アストラはいつもの調子で胸を張った。
「その言葉を信じる人、誰もいないと思うわよ」リーナはきっぱり断言した。
こうして浮遊都市での空中ドタバタ追跡劇も、彼らの“伝説”として刻まれるのだった。
浮遊都市を舞台にした追跡劇は、透明な道路と空中庭園を舞台に繰り広げられる大騒動となった。結果的には犯人を捕らえ、都市を守ることに成功したアストラたちだが、やはり“偶然とドタバタ”が主役だった。
次章は――宇宙市場を舞台に、さらにスケールの大きな大混乱が待ち受ける!果たして休暇は訪れるのか!?




