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悪人面の魔王でも友達になってくれますか?  作者: 梅三六角
第十二話 それはまるで赤子の手を捻るが如し
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望まない再開

 黒焦げになった男を見て俺が困惑する中、


「まったく、馬鹿が。こいつが間抜けなせいで俺が直に始末しないといけなくなったじゃねえかよ。」


 どこかで聞いたことのある男の声。そして、顔を上げると、部屋の出入り口には、見覚えのある男がいた。


「お前は、ダヴィドか!?」

「お前、まだ生きてたのか、魔王。ああ、確か本名はルイだったか?どうでもいいことだがな。」


 そこにいたのは、見忘れるはずもない。生前の俺を苛めていた主犯格、ダヴィド = アルヴァレスだった。


「驚いたなぁ。まさかお前が本当に魔王になるなんてな。」

「こいつらをけしかけたのは、お前か!?」

「馬鹿か。見りゃ分かるだろ。しかし、ルイの分際で国王と同盟とはな。本当、人生どう転ぶか分かったもんじゃないな。

 何にしても、アーサーをぶっ殺すのに、お前は邪魔なんだ。手段なんてどうでもいいからお前にはさっさと死んでほしいってわけだよ。」

「そうか。では、遠慮なくやらせてもらうぞ。」


 俺は爪の先に再度魔力を集中させかける。ダヴィドはニヤニヤと笑う。


「だから言っただろ?手段を選ぶ気はないって。」


 そう言って、ダヴィドが横に少し避けると、部下と思われる兵士が数人いた。そして、その中には


「魔王様!!」

「クレア!?」


 兵士達に剣を突き付けられているクレアがいた。


「助けて!魔王様!」


 クレアが涙声で俺に向かって叫ぶ。


「ダヴィド、貴様!その子は関係ないだろう!」

「大ありさ。こいつは魔王とグルなんだろ?こいつがどうなっても良いってんなら、お望み通り戦ってやるよ。」


 俺が死んで、魔王になるまで数年。その間こいつの性根は直るどころか、以前よりも悪くなったようだ。


「ふざけた真似を!」

「こいつを助けたいんだろ?じゃあ、秘境の森まで来るんだな。怖けりゃ来なくても良いんだぜ。」


 男二人が来ると、俺の前で倒れていた幻術使いを回収して行った。


「じゃあな、また会えると良いな。魔王。」


 男達はその場を去った。


「魔王様ーー!!」


 クレアが俺に助けを求める声だけが残った。


「クレア!」


 俺は走り寄って廊下に出たが、ダヴィド達の姿を既にどこにもなかった。マチルダが俺に近付き、聞いてくる。


「魔王様、これからどうなさるのですか?」

「決まっている。ダヴィドを倒してクレアを助ける。」

「魔王様、ダヴィドは狡猾な男じゃ。そんな奴がわざわざ我々の目の前に現れたということは、罠の準備が整っているということですじゃ。」


 俺は少しの間、顔をしかめて考える、が


「行かない、という選択肢などない。クレアを見捨てること等できない。それに、この世界では魔王は最強の存在なのだろう?人間ごときにやられるはずはない。」

「相変わらずの無鉄砲ですね。」


 背後から声がかかったので振りかえると、いつの間にかメイド服に着替えたミレイユがいた。


「クレアを助けに行く、と言われるなら私もお供しましょう。」

「良いのか?ミレイユが来てくれるなら心強いが。」

「ただし、今回は私がルイ様を助ける側なので、報酬はきっちり頂きますよ。」

「そのつもりだ。」


 俺は苦笑した。


「あの、僕はどうすれば?」


 アルトが俺達を見上げていた。ミレイユがその傍に行き、


「身寄りがいないのなら、私が所有している土地の教会で引き取ってあげても良いですよ。」

「い、良いの!?」


 アルトは目を輝かせる。


「ええ。心配しなくとも、その教会は私が管理しているところですから、下手な真似はさせませんよ。」

「あ、うん。」


 アルトもちょっと苦笑する。アルトも、そして俺もちょっとだけその教会の神父に同情した。


「お姉さん。我儘かもしれないけど、僕が教会に引き取ってもらった後も、時々は会いに来てくれる?」


 アルトは心配そうな目でミレイユを見る。ミレイユの表情が少しだけ曇る。が、また笑顔で


「ええ、もちろん。あなたは危なっかしくて、見ていないと心配ですからね。」

「うん!お姉さんが無事に帰って来られるよう、僕も応援するね!」


 アルトは精一杯の笑顔でミレイユを見上げた。


「良い子ですね。」


 ミレイユはアルトの頭をそっと撫でる。それから俺の方に視線を移し


「さあ、参りましょうか。ルイ様。」

「ああ、こうしている間にもクレアが危険な目に遭っているかもしれないからな。

マチルダ、悪いがこの城の留守は頼んだ。」

「ええ。魔王様達もお気を付けて。」


 俺とミレイユは部屋を速足で出ていく。その様子をマチルダとアルトは見送っていた。


■■■


 魔王とミレイユがいなくなって数刻。


「あの人、魔王だよね。あのお姉さん、クレア、だっけ。どうして人間を助けに行ったりするの?」


 アルトがマチルダに尋ねる。


「あの魔王様には、自分を認めて傍に付いてくれる人間が必要なんじゃ。それがあのクレアと言うわけじゃよ。」

「何?私がどうかしたの?」


 突如聞こえた声に驚いてアルトとマチルダが顔を上げると、そこには攫われたはずのクレアがいた。


「お主、どうしてここに!?」

「部屋にいたら、外から何か爆発する音が聞こえたから、様子を見にきいたたたたた!」


 クレアがそこまで話したところでマチルダがクレアの両頬を手で引っ張って伸ばす。やがて顔をしかめて手を放す。


「いきなり何をするの!?」

「確かに、本物のクレアじゃ。」


 マチルダはばっと部屋の出入り口に目をやる。


「ならば、やはりこれは罠!しかも、狙いは魔王様か!?」

「どうしたの?何かあったの?」


 状況を飲みこめないクレアは首を傾げるのだった。

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