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麻痺無双!~麻痺スキル縛りで異世界最強!?~  作者: スギセン
5章

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156話 対決、トカゲの王!②

「グッ、グギュルゥ……」


 トカゲの王、されど堕ちず――

 ラヴィの怒涛の攻撃にベルの合体魔法を喰らってもなお、ゆっくりと起き上がろうとする《ロイヤル・バジリスク・ロード》。


「ギャア! ギャアギャアッ!」

 やつは俺たちをギロリと睨むと、けたたましく鳴き出した。

 それに呼応するかのように、周りを囲んでいる《バジリスク》たちが一斉に騒ぎ立てる。


「な、なんですの、いったい……!?」

「分からん――でも、何かよくないことなのは確かだ。 こういう時は、ちゃっちゃと群れの主を叩くに限る!【パライズ】ッ!」


 ビシィっと稲妻エフェクトが駆ける。

 動くこともままならないやつに当てることなんざ、朝飯前――と思っていた次の瞬間、《バジリスク》が射線上に飛び出してきて俺の【パライズ】を受けた。


「なっ――!?」

 まさか、身代わり――!?

 俺の予想を裏付けるように、やつの周りに立ちふさがるようにして《バジリスク》たちが群がっていく。 


 けっ、動けない自分はひとまず回復を優先して、子分に盾になってもらおうってか……!

 厳しいねぇ、自然界のリアルはよお……!


 既に俺たちパーティーロイヤル・バジリスク・ロードとの戦いという形は崩れた。

 だとすると、次に待っているのは――


「ベル、ラヴィ!! 来るぞ!!」

「キシャアァァッ!!」


 俺が叫ぶのと同時に、周りの《バジリスク》たちが一斉に襲い掛かってきた――!!


「お願い!【サモン・シスターズ】!!」

「たたっ切る……!【乱華】!」


 数えられない程の《バジリスク》が入り乱れる大混戦。 

 ベルは再びメイド人形で応戦、ラヴィは連続攻撃を繰り出した。

 俺は当然――


「【パライズ】!【麻痺銃(パライ・ガン)】!【パライズ】!【麻痺連鎖(ショック・チェイン)】!」


 それはもう、ありったけの麻痺を撃ち込んだ。

 数で攻め立てる《バジリスク》に対して、バッタバッタと打ち倒していく俺たち。


 まあ、俺は麻痺させるだけんだけど。

 攻撃力のない俺は、お気持ち程度にスタンブレイカーで迎撃を続ける。


 ――そして、がむしゃらに戦い続けること数分。

 俺たちの周りには物言わぬ《バジリスク》たちの山が出来上がっていた。

 残る敵は《ロイヤル・バジリスク・ロード》と、それを取り囲む十体程度だ。


「はぁ、はぁ……ど、どうだこのやろう……! うちのパーティーメンバーは、優秀なんだぞ……!」

「グ、ギュギュア……!」


 やつは絞り出すように一鳴き。

 さすがに今の短時間では体力を回復できなかったようで、分が悪いと思ったのかジリジリと後退していく。

 さっさと決着付けたいところだが――あのやろう、子分に恵まれてるな。


 取り巻きの《バジリスク》たちは、俺たちが近付けないように【蛇睨み】を連発。

 ピリッ、ピリッと微弱な電気のようなもの感じるが、俺以外が喰らったら速攻麻痺っちまうというやべぇ技だ。そのせいで、ベルとラヴィは俺の後ろに待機せざるを得なくなった。 


「くそ……【パライズ】は撃ててもあと数発――なんとしても、確実に仕留めに行きたいが……」


「ワ、ワタクシの魔法ならどうですの? セバスチャンならあと二発位なら出せますわ」


「いや……それにしたって他の《バジリスク》が邪魔だ。 ラヴィ、【超獣化(ワイルド・ターキー)】はできるか?」


「……今は、無理。 できたとしても、あと数十分後かも」


「そうか……さぁて、どう切り崩してやるかな……!」


 一発狙いで周りのを麻痺らせて、セバスチャンで仕留めるか……?

 いや、やつの体力を削りきるには若干火力不足だ。メイド人形を出したところで他のやつらに邪魔されるのは確実。それに、他の魔法を使ったとしても決定打に欠ける。

 

 それなら、ラヴィの回復を待ってから一斉攻撃をしかけるか?

 いや、【超獣化(ワイルド・ターキー)】直後にスキルを連続使用したから、ラヴィの体力は限界が近そうだ。だって、尻尾が垂れさがってるもん。


 必死に思考を巡らせていると、《ロイヤル・バジリスク・ロード》がおもむろに頭を持ち上げた。

 ビリッと空気が震え、やつの目が大きく開かれる――

 またあれか!!


「伏せろ――!!」

 

 俺は体を大の字に広げ、やつの視線を真っ向から受け止め。

 瞬間、ビシビシと大気が音を立て、俺の体の中を無造作に駆け回った。


「ぐがぁっ……!」 

 まるで、体の中に直接電流を流し込まれているかのような衝撃。

 筋繊維はズキスキと痛み、骨が、間接が悲鳴を上げる。


 ――だけど、ここで俺が倒れたら二人は麻痺っちまう。やつらにとって、格好の餌食だ。

 させない、そんなこと。

 俺が――俺がこいつらの盾になるんだ……!


 ……と、いきまいたところで俺の体力はゴリゴリと削られ続ける。

 視界が、揺らぐ。


「マヒルさん……!」

「マヒル殿!」

 

 俺を呼ぶ声が聞こえるが、まるで水の中にいるようにぼんやりとくぐもって耳に届く。 

 立っているのか寝ているのかも分からない感覚。

 そして、視界の端から徐々に真っ暗に染まっていく。 


 ――あ、これはマジでヤバいやつだ。

 だめ、だ……意識が持ってかれる……


『ピコンッ』


「――ッ!」

 聞きなれたメッセージ音が頭に響き、俺の意識はギリギリのところで繋がった。

 これは、スキルの獲得――


 説明文を読むまでもなく、俺は直感的に目を見開いた。

 反撃の狼煙は、誰にも気づかれることなく静かに上がった。

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