14/18
14
ところが一週間後、事態は急変した。
その日、従兄が彼女を連れて、祖父の元へ訪れるはずだった。
しかし陽が暮れても二人は現われず、従兄の両親に連絡したが、まだ帰っていないという。
周囲の者達が慌て出す中、依琉だけが微笑を浮かべていた。
それから十日が経過した。
だが二人の行方は知れず、警察や探偵を動かしても、痕跡すら見つけられなかった。
従兄の両親は泣き続ける日々を送っている。
依琉は祖父と共に、リビングにいた。
険しい顔で、祖父は孫を見る。
孫の表情が微笑している為、状況は既に時が遅かったことを感じ取っていた。
「…依琉よ。お前は彼女の何を<視>た?」
「ボクは彼女がすでに死者であることを知っただけですよ。<視>たのは、彼女があの沼で死んだことです。―彼に暴行された後にですが」
依琉の言葉に、祖父は顔により深く皺を刻み込んだ。




