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ダンジョンシステム整備士、津田征也  作者: 氷理
第二章:どうしよう、ダンジョンを作ることになってしまった…
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その、じゅう 2階と3階が出来ました……

今回ちょっと短いです。

「はいはい、午前中は大変だったそうですね」

いつもの定番になってしまった会議室でお昼と取っているのはキエート・天司・征也である。

「ああ、まさか神様が押しかけてこようとは思わなかった……これって、勝手に契約とかなったら困るよね? 本格的に捜査霊課の寮に避難してきた方がいいの?」

お昼ご飯は会議室にピザをデリバリーしてもらった。宅配ピザ、食べたかったんだ。

「そうですねぇ、今後もこのようなことが無いとも限りませんし、できるだけ早くこちらへ移って来ていただければありがたいと思いますよ? あ、もちろん引っ越しの手配も電化製品の手配もこちらで行いますから大丈夫です」

「ありがと」

『では、主様の荷造りをしておくように右近と左近へ連絡しておきましょう』

銀に任せておけば家の事は万事抜かりなく行ってくれる。まだ、人の姿をとれるようになって1か月も経っていないのに、二十八年も人間をやってきた征也が行うよりも絶対的に上手く廻している。

「天司君、こういうのって上手いよね。どこで習ってきたの?」

「いえ、捜査霊課ではそれぞれかなり忙しいですからね。こういう生活の雑事をやってくれる専門の部署があるんですよ。そこにこういう風にしてほしいとお願いしておけば大体その通りになってきます」

なるほど~。そんな場所があるのか。

「では、2階の設計図を見て貰いましょうか~♪」

と言ってキエートがA3用紙を広げる。移動可能な魔物も大きな魔物も1階よりも大分増えているみたい。

「この用紙の通りに組み込めばいいよね?」

「はい、お気に召しませんか? 津田様から何かご要望がありますでしょうか?」

何か足りない点・見落としていた点でもあっただろうかとキエートは用紙をまじまじと見るが、何が悪かったのか気が付くことが出来なかった。

「ん~、ほら、ここって歩いてずっと戦いながら動くことになるじゃない? そうなってくるとゆっくり食事もとれないだろうし休息所兼簡易宿泊所、みたいなのがあったらいいのかなって」

「なるほど」

人間は疲れる生き物である。神であるキエートにはこの程度の魔獣も距離も倒して走って回っても大したことはないが、人間目線で見ると厳しいのかもしれない。

「では、2階に簡易宿泊所を入れますか?」

「3階でいいよ。とりあえず実力がない人たちは1階だけでとどまってもらって、2階3階に入れる人は3階までは持つくらいの実力者であってほしいな」

ならばと、そのままキエートはもう一枚のA3用紙を広げて3階の解説に入る。3階の一部を切り崩して簡易宿泊所と、パーティーで予約が出来るロッジ風の建物が設置できるように変更してもらった。

そして設計図通りに2階と3階を整えていく。邪気の配線は足元であり、壁を登ってちょうどいい位置に来るように調整している。

今回の実験として、気脈の配線を邪気が滑り易くて溜まりにくい素材に設定してみた。これで掃除が簡単になればいいな。

「今回は天井を高くしてみたよ。あと簡易宿泊所は2階建てで石造りにしてあるよ。ここに簡易ベッドと布団を運び込めばいいんじゃないかな? 

簡易ベッドは……シーツは毎回取り換えて、魔方陣で上にあげて洗濯業者に洗ってもらう。

食事は……とりあえず炊飯器とお米があればよくない? 最初の内は水道を1カ所とポットを用意して即席みそ汁とか何種類か置いておいたらいいと思うんだよね?」

図面通りに出来ているかをチェックしながら独り言のように話す。

「良いと思いますよ? まさかダンジョンに美味しいご飯を求める人なんていないと思いますしね」

「そうですよ。外には美味しいご飯を食べられるところがいっぱいあるんですから、ダンジョン内がおいしくなくったって問題ないと思います」

同意を得られたので、その方向でお願いします、と捜査霊課の庶務係(というらしい)の方々に頼むことにする。

最初はそんなに人数いないはずなので専門の人はいらないだろう。人数が増えた時にまた考えればいいのだ。

「じゃあ、俺帰るよ。今週はちまちま修正するから、ゴールデンウィークが始まる頃にはまた試運転できる? みんな忙しくない?」

「分りました、手配しておきます。では、引っ越しの日はいつがいいですか?」

『急げば2日で準備できます。主様のご都合の良い日で構いません』

天司の質問に銀が準備期間を上げる。

「んーできれば早い方がいいや。今朝も神様たちが速攻で来たし、試運転前日とか大丈夫?」

問答無用で会いに来られて、強引に契約されても困る。神様の契約と言うものはとても大事で大変なモノらしいので。

「はい、大丈夫です」

『そのように準備いたします、主様』

銀に返事をされて、思い出した。

「その主様って何とかならないの? 俺、変な人認定されそう」

銀は実体化すると普通の人に見えるのだ。

『主様』と銀髪美少年に呼ばせるのは、妙な趣味の人かと間違われそうで怖い。下手したら、お巡りさんこっちです、とか言われかねない。

銀は戸籍も両親もいない未成年なのだから、誘拐犯にされてしまう可能性だって無きにしも非ずなのだ。

『では、何とお呼びすればよろしいのですか?』

「うーん、津田さん、もしくは征也さん、くらいで。どう?」

無難な呼び名を上げて見る。

『うううっ、他人行儀です。何か、私たちだけが呼べる呼び方がいいです……』

しょんぼりした声の銀には何故かないはずの犬耳と尻尾が垂れている幻覚が見える。

「そうですね、僕も特別な呼び名を呼びたいですね」

天司まで参戦してくる。だがしかし、どうしてもネーミングセンスがない征也には

「征、……さん、とか?」

としか言えなかった。銀の声が明るくなった。

『征様! 征様とお呼びいたしますね?』

「うん、……まあいいか」

ちょっと違うが、そこらへんはまだましだろう。

「では、僕が征さん、と呼びますね」

正確に読んでくれたのは天司の方だった。




戸籍のない幼い子に様付で呼ばれるとか、犯罪者扱いされそうだよね。

頑張れ! 征也君。

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