第1章 第3話:平穏な生活
この世界に足を踏み入れてから、すでに一ヶ月が過ぎた。
前世の記憶をすべて留めたまま、なぜ自分が転生できたのか、未だに理解できない。その疑問はずっと私を悩ませているが、おそらく、納得のいく答えなど永遠に出ないのだろう。
私の一日は、食べる、眠る、そして赤ん坊の目でありながら大人の精神を持って周囲の世界を何時間も観察する、という規則正しいリズムで過ぎていく。生活はそうして静かに、そして穏やかに流れていた。
毎朝、母は私を抱いて、ひさしの前で最初の朝日を浴びせてくれる。私の小さな指が無意識に母の手を握るたび、彼女はいつも優しい微笑みを浮かべる。父は違った。彼はいつも夜明け前から家を出て、夜遅くに帰ってくる。その革靴はいつも土埃にまみれていた。しかし、ドアをくぐって私の姿を見た瞬間、彼の顔の厳格さは一瞬で消え去り、代わりに呆れるほど満面の笑みが浮かぶのだ。
「チュッ、チュッ、チュッ……お父さんの小さな天使! パパが恋しかったかい?」
彼は私のふっくらとした頬に何度もキスを浴びせながら、おかしな表情を作ってみせ、横に立つ母はただ苦笑いするしかなかった。
私たちの家は大きくはなく、素朴な2階建ての木造住宅だ。前には小さな菜園があり、後ろには深い森の端まで広大な小麦畑が続いている。大人は農作業に追われ、子供たちは村の路地をにぎやかに走り回っている。毎朝、雄鶏の鳴き声や、主人を喜んで迎える犬の吠え声で活気に満ちあふれる。夕暮れ時になると、あちこちの屋根から柔らかい煙がゆらゆらと立ち上り、焼き立てのパンの香ばしい匂いを周囲に漂わせた。
これは本当に、前世の私には決して得られなかった平穏な生活だった。
一日中四つの壁の中に閉じこもっているせいか、私にはある習慣が身についた。よく母に甘えて、窓辺まで抱っこしてもらうのだ。そこは、私が外の広い世界を眺めることができる唯一の小さな特等席だった。そして、まさにその場所で、私は転生の際に授かった「祝福」が、自分が想像していた以上に特別なものであることに気づかされた。
『あの家の中の赤ちゃん、また私たちを見てるよ』
『毎日あそこに座ってるよね』
『もしかして、空を飛びたいのかな?』
『馬鹿ね、人間に飛べるわけないじゃない』
私は瞬きをし、心臓がドクンと跳ねた。家の前のカエデの木にとまっているスズメたちが……私の噂話をしているのか?
その瞬間、突然胸に痛みが走った。前世での嘲笑の眼差しや、悪意に満ちた囁きの記憶が、凶暴な亡霊のように押し寄せ、私は無意識に首をすくめてうつむき、目を背けた。
しかし、嘲笑の声は聞こえてこなかった。小さな鳥たちはただ互いに羽づくろいをしており、私を見るその目は完全に澄んでいて、無邪気だった。彼らは決して私を嫌悪したり批判したりしているわけではなく、ただ毎日ガラス窓越しに自分たちを静かに見つめている小さな生き物に、純粋な好奇心を抱いているだけだった。
そう思うと、胸に重くのしかかっていた塊が、たちまち消え去った。私はそっと安堵のため息をつき、体中に心地よい解放感が広がっていくのを感じた。
どうやら、運命が私に与えてくれた贈り物は、決して無駄なものではなかったようだ。それは、この新しい世界の言語を神速で習得させるだけでなく、もう一つの奇妙な扉を開いてくれた。それは、あらゆる動物たちの心の声を聞き、理解することを可能にする力だった。
「ルチ、お風呂に入りましょう!」
母の温かい呼び声が、私を思考の海から引き戻した。
私は振り返り、まだ枝の上でちゅんちゅんと鳴いているスズメの群れを見つめた。
『明日もまた遊びに来ようね』
『うん、きっと明日もあの赤ちゃん、私たちのことを見てるよ』
私は彼らが飛び去っていくまで、その姿をじっと見送った。




