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新しい人生

作者:Tsubasa Haru
最新エピソード掲載日:2026/07/17

こんにちは。私は二十一歳。
今、目の前にある二つの棺には、私の父と母が入っています。
斎場の雨音、お線香と菊の匂い、人々の囁き声。
けれど私は、ただ静かに立ち尽くしていました。
悲しいからでも、強いからでもありません。ただ、どんな顔をすればいいのか分からないのです。
幼い頃から、私は自分の家族が嫌いでした。
狭い家も、父の汚れた作業着も、母の荒れた手も。貧しさを憎み、もっと裕福な家に生まれたかったと願っていました。
本当に滑稽です。
私が恥じていたあの二人こそが、二十一年の間、身を粉にして私を育ててくれたというのに。
対する私は、ただの肥満で近視の、一日中パソコンにしがみついているだけの奴。親の金を貪り、感謝の一言すら言ったことがありません。
二人が冷たい棺に横たわって初めて、私はまともな子供でなかったことに気づいたのです。
葬儀が終わり、雨の中に私一人だけが残されました。
親がいなくなれば楽になる、そう思っていたのに。
帰る場所を失って初めて、もう私の帰りを待つ人は誰もいないのだと理解しました。
脳裏をよぎるのは、遅くまで働く父の姿や、私に美味しいものを残してくれた母の姿。
それなのに私は八つ当たりばかりで、謝ることも、愛を伝えることもしませんでした。
「もし、あの時……」
そう呟いた、まさにその時。
キィィィィッ!
激しいブレーキ音が雨を切り裂き、トラックが私に向かって突っ込んできました。
近すぎて、速すぎる。
逃げようとしても、太った体はすくんで動きません。
最後の瞬間、脳裏に浮かんだのはゲームでもいじめっ子でもなく、父と母の姿でした。
「……ごめんなさい」
それが私の最後の思考でした。
そして、世界は暗闇に沈みました。
私は死んだのでしょう。
雨音も痛みもなく、ただ恐ろしいほどの静寂と真っ暗な空間だけが広がっています。
自分の体さえ感じられず、時間さえも消え去ってしまったかのようでした。
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