中国が誇る四大美女の一人 夢華登場
####うさちゃん国・入国管理局
「今は入国は許可できません!」と職員が叫んでいる。
「ちょっと、私が誰だかわかんないの?いいからはやく姚晨を呼びなさいよ!」と綺麗な女性が叫んでいた。年はそう、40前位か。
「どなたかわからないのに呼ぶわけにはまいりません!お帰りください!」
「だから姚晨を呼びなさいって」
「繰り返しますが入国は許可できません!」
「だーかーらー!姚晨を呼んでって言ってるの!」
「だめです!」
「何でよ!」
「あなたのような怪しい人物を入れる訳にはいかないからです!帰ってください!」
「私は怪しくなんかないわよ!」
「何を言ってるんですか?どうみても怪しいですよ!」
腕を掴んで連れて行こうとするが激しく抵抗する。だが抵抗むなしく職員3人に腕を掴まれ引きずられながら外に連れ出されていった。
「離して!私はただ友達に会いたいだけなのよ!」「いやいや、貴方のような変質者はお断りです!」
「変質者じゃない!私は姚晨の親友よ!」
「嘘つくんじゃない!」
「本当なのに・・」
そう言いながら引きずられるようにして外に連れて行かれそうになると
「ちょっとこれ見なさいよ!私は姚晨の親友なのよ!」と写真を見せると一緒に笑顔で映っている写真があった。
確かに見た目も態度も中国人ぽくて違和感も感じない。
その写真をよく見た職員は姚晨を呼ぶように他の職員に伝えた。
「あなた、お名前は?」
「私は夢華よ」
「夢華さんですか、ちょっと待ってください」
職員が確認するとすぐに連絡が入り、応接室に通された。
暫く待っていると奥から姚晨が歩いてきた。
「げっ!、本当に夢華だわ…、あんた何しに来たのよ?しっかし、しっかり老けたわねえ」
夢華は以前、姚晨と並んで、現代の中国四大美女の一人として人気のあった女性だった。
だから親友というよりもライバルと言った方がしっくりくる関係なのだ。
「やっぱり噂は本当だったのね。あんたが年を取らないって言う噂は。」
「あんた……まさかこの国で一生を過ごす気じゃないでしょうね?」
夢華は真剣な眼差しで姚晨を睨みつけた。
「当たり前じゃない。もう向こうには未練もないし」
「私も年を取りたくないの。若返って綺麗な自分に戻りたいのよ!それなのに…あなたばっかりずるいわ!」
夢華は凄い剣幕で詰め寄る。
「わかった、わかった、で、私に何の用なのよ、夢華」
姚晨は呆れつつ尋ねる。
「ちょっと私と交代しなさいよ」
夢華は当然と言わんばかりの顔で言う。
しかし姚晨は即座に拒否する。
「あんたばっかりずるいじゃない、何であんただけ歳を取らないのよ」
夢華は諦めずに粘ってくる。
「おい!、夢華さん。あんた今何歳なのよ?」
姚晨は呆れながら聞く。
「43歳よ!それがどうしたのよ」
夢華は真顔で答える。
「あんた正気?43にもなって何考えてんの?」
姚晨は呆れてものも言えない様子だ。
「43歳だから若返りたいんでしょ!若い頃に若返りたいと思う方がおかしいでしょ」
夢華は声を荒げる。が、言ってる事は正論だ。
「ま、まあ落ち着いてよ。あんたと私は元々違う人種なんだから」
姚晨はなだめるように言う。
「そうやって逃げるつもりね、卑怯者!」
夢華は姚晨に飛びかかり押し倒した。
「きゃっ!」
姚晨は悲鳴を上げる。そして夢華は姚晨の首を絞める。すると姚晨は暴れて抵抗し始めた。
「ちょっ!苦しい!やめてよ!」
姚晨は必死に抵抗するが夢華の方が力が強く身動きが取れなくなっている。夢華はさらに力を込めた。
「あなたばかり綺麗なままなんてずるいわ!」
夢華は怒り狂って叫ぶ。
「ぐえぇー、く、苦し……た、たす……」
姚晨の顔がどんどん赤くなっていく。
「私はね!ずっとあなたのこと妬ましかったのよ!中国ではあなたのことを美人だって持て囃してるけど私だって同じくらい美しいのよ!だからあなたが羨ましかった!それなのになぜあなたばかり老けないの!?私だって歳を重ねたくない!アンチエイジングの為にどれだけお金を掛けたことか!」
夢華の目からは大粒の涙が流れ落ちていく。彼女の目は血走っていて顔は般若のように歪んでいた。そして首を絞める手に更なる力を加えたのだ。
「あっ!……ぐっ!‥‥ぐるじぃよ‥もう‥ゆるして‥」
姚晨の意識が遠のいていく。そして目の前が暗くなってきた。
その時突然ドアが開き玉兎が部屋に入ってきた。
「ちょっと!何してるの!?やめなさい!」
玉兎は叫びながら2人を引き離すと、床に倒れ込む姚晨。
「はぁ‥はぁ‥、た、たすかった」
姚晨は激しく肩で息をしている。
「なんで邪魔をするのよ!私はただ自分がキレイでいたいだけなのに!」
夢華は怒りの表情で立ち上がった。
「解った!解りましたよ。美容整形の病院に紹介状を書いてあげるから…。20歳前半程度の見た目にはなるから…ただ今からだと肉体的には年齢相応だけどそれでいいでしょ」
と姚晨はなんとか事態を収拾しようと必死になる。
「嫌よ!あなたのように不老でいたいの」
夢華は不機嫌そうな顔で答える。その顔は鬼の形相と化していた。
「無理だよ。それ以外考えられない」
姚晨は冷たく言い放った。
「どうしてもダメなの?」夢華は懇願するように聞くが
「ダメ」と姚晨はきっぱりと言い切った。
「じゃあ、私、ここで自殺するわ」夢華はそう言って包丁を取り出した。
「うっわ!夢華さんよ。あんた何考えてるの?」姚晨は慌てるが
「ここであなたを殺してから自殺するわ」と言い放つと夢華は包丁を振り上げた。
「夢華さん!本気でやめて!」姚晨は絶叫する。そして
「やめなさい!」
玉兎が制止するが夢華は振り向きもせず包丁を振り下ろした。玉兎は咄嗟に夢華の腕を掴むがすでに遅かった。
夢華は喉元に包丁を突き刺していた。
「あ‥‥」夢華は膝をついてゆっくりと床に倒れこんだ。
「夢華!」
姚晨は倒れた夢華に駆け寄った。
「夢華!しっかりして!ねえ夢華!」
姚晨は必死に呼び掛けるが反応はない。
「ごめんなさい。私がもっと強く言っていれば……」
姚晨は泣き崩れる。
すぐに救護班が来て病院へ運ばれ一命だけはとりとめた。
しかし意識不明のまま現在に至っている。
医師によると命は助かったものの脳に障害が残り今後の治療法が確立されていないとの事だった。
数日後、意識を取り戻した夢華だが体に麻痺が残ってしまう事に。
仕方がないので玉兎と一緒にヒミコ様に頼んでみる事にした。
「ヒミコ様、お願いがあるんですけど」
「何?」
「『霊峰・雪ヶ峰』にも管理人を置きたいのですが…」
「いいんじゃない、勝手に決めたら」
「ああ、それで夢華さんという方にお願いしようと思うのですが」と姚晨。
「え?あの自殺未遂の人ですか?」と玉兎
「そうです。あの人は責任感が強いので適任だと思います」と姚晨は言い切った。
「そうですねえ、でも今、動けないんですよね」と玉兎は言った。ここまではあらかじめ二人で決めていたシナリオだ。
「そうなんですよ。だからヒミコ様に治療と若返りをお願いしたく…」
「はぁ?何言ってるの?若返りなら美容整形でどうにかなるでしょ?」
ヒミコは呆れ気味に言った。
「いえ、そういうレベルじゃなくて、本当に20代前半位の身体になってもらいたいのです」
姚晨は必死で訴えた。
「えぇ……嫌よ!、私がそんなことしたら何言われるかわからないわ」とヒミコは渋る。
「そこを何とか……」
「嫌だって!」
「そこをなんとか!」
「やだ!やだ!やだ!」
ヒミコは駄々をこね始めた。
「おねがいしますよ、ヒミコ様にとっても悪い事ばかりではないですよ。ここの管理をする人がいないとヒミコ様にもご迷惑が及ぶかもしれませんし」と玉兎も頭を下げた。
ヒミコは少し考えてから言った。
「まったくしょうがないわね」
ヒミコは諦めた様子で答えた。




