手に入れた人工衛星
###うさちゃん国総理官邸
「失礼します」
「どうぞ」
玉兎総理は執務室にやって来た姚晨に話しかける。
「どうしたの?急に来るなんて?」
「小耳に挟んだのですが人工衛星を手に入れたって聞いたのですが」
「そうね。まあ、ヒミコ様が無造作に官邸に投げ込むからばれない方がおかしいでしょうけどね」
「やっぱり、その話でしたか。中国に返却するのですか?」
「それはしないわ。アリスには分析をさせてるけどもしそれが可能なら自国の技術にしたいのよね」
「あ、はい」
「人工衛星がどういうものか理解してる?」
「はい。一応は知ってますが詳しくはないです」
「まあ、私もうろ覚えなんだけどね。簡単に説明すると人工衛星って地球の周りをグルグル回ってる通信機みたいなものよ」
「はい。それは知ってます」と姚晨は言い、続けて
「その人工衛星の分析と解析の現場にうちの国のスタッフも入れて欲しいのですが、興味を持った子も何人かいて技術を学びたいと言ってくるので。」
「そう、わかったわ。じゃあ、今度行くときに一緒に行こうか」
「ありがとうございます!」
こうして2人はアリスの下へ向かった。
「こんにちはー」と玉兎が挨拶する。
「ああ、いらっしゃい。早速だが話を聞こうじゃないか」
アリスは玉兎の命を受け解析スタッフを集めてその指揮をとっているのだがアリス自身は元軍人だが機械の事はあまりよく知らないのでスタッフに丸投げして自分はコーヒーを飲んでのんびりしていた。
それもそのはずで元はといえばヒミコが運んできた氷塊なので溶かすだけでも大変なのだ。ヒミコは解凍せずに帰ってしまったからだが。
そもそも軍人なのにこの分野に詳しい人物を集める方が困難だとは思っていたが意外と男性陣の中には何人かいたのが幸いだった。
「何とかなりそうか?」と玉兎はチーフに尋ねる。
「うーん!最先端の技術だから何とも言えませんがその事でお願いがあるのですが」
「ん?何でしょう?必要な人材や物ならなるべく手に入れますよ」
「えっと、そういうのではなくて…あの‥解析が成功したら、桃源郷で野球観戦させて頂けたらなと思いまして…」もじもじしながら解析班のチーフがお願いする。
玉兎はその発言を聞いて最初は何を言っているのかわからなかったが、よくよく聞いてみると人工衛星の技術を解析する代わりに報酬として野球観戦の権利を求めているらしいのだ。
「でも、そんなものでいいのですか?」
「まぁな……」
玉兎はチーフに答える。
「まあ、いいけど条件があるわ。姚晨国の何人かの女性達が解析班で知識を学びたいって言ってるのよ。彼女たちの事お願い出来るなら許可するけど、どうする?」
と玉兎が答える。
「そう来ましたか……解りました。では、こちらも了承致しましょう」
「ちょ、ちょっと勝手に決めないでよ!」と姚晨は声を荒げてしまう。
確かに彼女の意見を聞かずに判断した玉兎に非はある。しかし、解析班には男性しかいないため当然そうなったのだ。
「ごめんなさい。でも、今回は特別よ」
「はぁ~……分かりましたよ。ただし、絶対に手は出さないでくださいね!後、不審な行動があれば容赦なく撃ち抜くので覚悟してくださいね!それだけは約束してください!」
「もちろんです。我々としても貴女方のような美女たちを傷つけるようなことはしたくはないですからね」と言って笑顔で返すチーフ。
こうして、うさちゃん国と姚晨国との協力体制は正式に成立した。
姚晨国の女性達は熱心にメモを取りながら邪魔にならないように気を使いながら作業を見ていた。
うさちゃん国の人材は桃源郷の野球観戦に期待してるようで普段以上に働いている。
何よりうさちゃん国の中でもかなりの精鋭達らしい。
ただ中国製なのでいまいち性能に問題があることもあるらしい。
曲がりなりにも軍事衛星なので難しい事は難しいのだが技術的には大したことはないらしいことがわかった。
それでも四女神連邦にとっては大きな技術を得たのだった。
その技術を土台にしてもっと高性能なものを作る事に成功した。男性技術者の教え方も丁寧だったので姚晨国にも人工衛星の技術が手に入り学校を作って教えるほどにもなっていた。
時々は男性エンジニアも講師に呼ばれてホイホイ来たようだが。
桃源郷の野球中継が目当てなのだがそれは玉兎公認の交流なので黙認されている。
ただ人工衛星の技術は手に入ったが肝心の打ち上げる技術がない。ロケット技術が欲しいところだ。
「何とかして打ち上げたいですね。」と姚晨が玉兎に話している。
###うさちゃん国総理官邸
玉兎総理は姚晨からの相談を受けて少し考え込んだ。
「人工衛星を打ち上げる技術が必要……確かにそれは大きな課題ね」
「はい、今は他国から購入して打ち上げている状況ですが、将来的には独自開発したいと考えています。そのためにはロケットの開発も不可欠です」
「うーん……」 玉兎は腕を組んで思案する。「そうね。ではヒミコ様に聞いてみたらどうかしら?あの御方はどんな技術でも知っているもの」
「ああ、なるほど!」 姚晨は手をポンッと打った。確かにヒミコであればその方面にも詳しいはずだ。 「では早速行って参ります!」
「私も一緒にね」と玉兎は微笑んだ。
###ヒミコの住む山奥の家
玉兎と姚晨が到着すると、ヒミコは寝転んでいた。
「ヒミコ様!おはようございます!」 二人が同時に声をかけると、「ふあああ……まだ朝かよ……」と不機嫌そうに起き上がるヒミコ。
「申し訳ありません!どうしても聞きたいことがあるんです!」 姚晨は真剣な眼差しで訴える。
「……何よ?手短に言えよ」 ヒミコは欠伸混じりに答える。
「その、ヒミコ様のお力で人工衛星を打ち上げることは可能ですか?」
「ああん?」
「それって、ロケット打ち上げたいってことよね?」
「はい。それが可能なのであればぜひお願いしたいのです。何とか打ち上げ技術があればなあと思いまして」と姚晨は答える。
「そんなの簡単よ!中国を煽って挑発して怒らせてこの国に大陸弾道ミサイルを撃ち込んでもらえばいいわ!もう好きなだけ打ち込んでもらいなさい」
「ええっ!?」「はあっ!?」
突然の回答に驚愕する二人。
「ちょっと待ってくださいヒミコ様!大陸弾道ミサイルなんてとんでもない話じゃないですか!そんな危険なものを……」
「大丈夫よ!この土地には私の結界が張られているからどんな攻撃を受けようと無傷だから安心しなさい!」
「いや……そうではなくてですね……」
「だったらいいじゃない。ほら早く行きなさいよ。時間が無いんでしょう?」
「……わかりました」と渋々頷く姚晨だった。
###うさちゃん国総理官邸
「本当に大丈夫なのかしら……」と心配する玉兎に対して、姚晨はこう言う。
「ヒミコ様のお言葉は絶対です。きっと何とかして下さるはずです!」
「ま、そうだといいけど……」
こうして、中国に対して喧嘩を売るかのように、人工衛星の打ち上げ技術を見せびらかす事にしたのだった。
中国もそれに乗ってくると玉兎達は楽観視していた。
しかし、なかなかうまくいかない。
中国に対する挑発行為を続けているのだが、一向に食いつかないのだ。
##中国本国
「なぜかわかりませんが、四女神連邦がやたらと挑発してきますが…、核ミサイル撃ってこいって発信してきますが」と幹部の一人が主席に報告する。
「四女神連邦からの挑発だと?」中国共産党総書記・李兆祥は眉をひそめた。
「そんな幼稚な戦術に乗るわけがないだろう、そもそもあの国に核兵器なんて効かんだろ。ヒミコの力は前主席から聞いてわかっておる。何か魂胆があるんだろ!」と続け
「あの超スピードの人工衛星さえ簡単に奪われるんではICBMなんて何発撃ったって無意味だ。それを誇示したいだけだろ」とも言った。
「しかし、あのまま放置してよいものでしょうか?」と幹部は首を傾げる。
「いやいや、あんな化け物相手にどうしろというのだ…わが国だけではなく過去に全世界がさじを投げたような化けもんだぞ。触らぬ女神に祟りなし。一切無視だ。かかわるな」と李兆祥は語気を強めた。
「はい、わかりました!」と敬礼し下がっていった。




