『桃源郷に異世界転生した俺が交通誘導をしてたら天女達にモテまくった話』
さて話を戻して、うさちゃん国では男性はアホしかいないのだ。
まあ、そういうことなので彼らにとってはこの様に工事などで入国出来るのは何より嬉しい事なのだ。とはいえ国が違えば法律も違ってくるので一筋縄にはいかないのだが。
「おい!それじゃあまるで俺たちが変態みたいじゃないか!」
「いやいや、実際にそうだろ」
「まぁそうだけどよ……」
「とにかくよぉ!金智英共和国の建設工事は誰が担当するんだ!?」
「それがよぉ、抽選で決まったらしいぜ」
「どこから出たんだ?そんなデマ。実際はその能力があるかどうかだろ、重機が使える奴とか体力がある奴とか。抽選でもやし男にでもなってみろ。どれほど足を引っ張られるかわかったもんじゃねえ」
「それもそうだな」
「あーもう、仕事してえよ〜〜」
「まあまあ、焦るなって。きっと俺らの番は来るさ」
「だといいがな。それにしてもさ、男の俺が思うけど、今この時代、男が女に触れることが禁止されているのってマジで辛いよな」
「それもデマ。実際結婚してこっちへ引っ越してきてるだろ。神聖化されすぎなんだよ」
「それもそうだな」
その頃、金智英共和国では李夏がパソコンに向かって作業をしていた。
「李夏さん、例の話って進んでいるの?」とキムが尋ねる。
「ああ、その件でしたら問題ありませんよ。今ちょうど設計図を描いているところです」
「そう。お願いね」とキムは言うと立ち上がり、ドアを開けて出て行った。
その後、設計も終わりついに工事が始まった。
広大な土地に重機が入り地面を掘りあげたり土台工事をしたりしている。
「こりゃいい眺めだな。この仕事最高じゃね?」そんな独り言を言いながらトラックや業者などの車を誘導しているガードマンがいる。
ガードマンの仕事である交通誘導は車両の出入りがない時は椅子に座って待機をしているだけの状態なのだ。
その待機の時間を道を歩いてる女性達を眺めて楽しんでいたのだ。
女性達も視線を感じて自分を見ているんだろうなと思いながら歩いている。
「ごくろうさま!頑張ってね!」と笑顔で声をかけてくる娘もいる。それだけでやる気100倍という訳だ。
そして女性達も嫌がってなどいない。
そして午前の休憩時間になると、同じく別の所で仕事をしていた男性も集まってきた。
「おう、どうだった?仕事の方は」
「ああ、順調だよ。やっぱ女の子たちって可愛いよなぁ」
「いやー本当に美人ばかりだったぞ!しかもスタイルも抜群だしな。特に胸が大きい子が多い気がするんだよ」
「そりゃあな。ここは世界屈指の美女大国だからな」
「ほんと、この仕事最高だよな。これ、他の国だと底辺扱いされるのに」と満面の笑みで語っている。
ここでは男性は主に肉体労働しか仕事が無いからだ。というか男性の雇用先がここしか無いと言っていい。
また、男性が肉体労働に向いているかどうかは個人差があるのも事実である。
そのため、肉体労働に向いてない人材をうまく配置するのが難しく、結果的に力仕事に慣れている人間ばかりが残ってしまうという問題もあるのだ。
逆説的に慣れていない人はうさちゃん国での事務作業がメインとなり他国へ行く機会がなくなる。
ただ例外的に交通誘導などはスタミナさえあればある程度力がなくてもできる上に今のように女性と接する機会も多いといういい事ずくめの仕事なので倍率が異常に高くなる。
なので仕事中は常に指名されなかった同僚達の恨み節が頭の中で響いてくるのだった。
「羨ましい限りだよ。僕もやりたかったなぁ、交通整理」と愚痴をこぼす男がいた。
「うらやましい限りだよまったく……」
「羨ましいだろーー!それだけじゃないんだよなー、じゃーん!これみてくれよ!」そう言ってガードマンはみんなに携帯をみせた。
なんとそこには女性のメールアドレスが登録されていたのだ。
これには他の連中は驚きのあまり言葉を失った。
「なんだよそれ、どうやって手に入れたんだよ!」と食いついてくるものもいる。
「そりゃあね、仕事中にナンパすればいいだけの話だ。女性達も暇じゃないから短い時間しか話し相手になってくれないけどな」
「いや、それでも十分凄いよ!羨ましいなぁ。俺も話しかけに行こうかな」
そうなのである。この国では男性の数が極端に少ないため、いやほぼいないために連絡先交換位のナンパなら比較的容易なのである。
なんなら逆ナンすらあるのだからそれこそガードマンになりたがる人が多いのもうなずけるというものだ。
ただし応募が多いために一日限りになる事が多いのだ。交通整備は最低一人いれば回るので、1週間休みになるわけだ。
なので10tダンプやトレーラーの運転手や重機のオペレーター等技術のある人は警備員程女性に接する機会はないが毎日来れるのでそちらに応募するのだが、この国での人手不足を狙った高時給の仕事なので募集はいっぱいあり、こちらも倍率が高い。
しかも重機のオペレーターは免許こそいるがトレーラー等と違ってかなり楽なためさらに倍率が上がるのだ。
逆に10tダンプは疲れるが積み込み時間など数分程度の空きを利用して女性に話しかける輩もいる。なのでこういった裏事情があるので誰もが憧れる職業となっている。
そしてその日の仕事終わりにそのままお茶をしたりデートをするケースもあるため、それが目的で応募してくる者もいるので倍率は高い。
「こんなにいい女がいっぱいいるのに…俺も早くガードマンになりてぇ」
「うーん、でもこの国で働きたいのに採用されないという現状だからな」
「それなんだよな。あーあ、俺も彼女くらいほしいなぁ」と愚痴をこぼす同僚達がいた。すると、
「俺なんかまるでなろう系で『桃源郷に異世界転生した俺が交通誘導をしてたら天女達にモテまくった話』の主人公みたいな気分だよ」
と別の男が言った。するとその場にいる全員が一斉に笑い出した。
「それは漫画か小説で書けよ!」
「そうだぞ!」
「面白いかもしれんな」
「絶対売れるぞ!もし出したら教えろよ!」
「いやいや、それは無理だ。ただの妄想話だ。だがまあ……そのうち書くかもしれないな」
と他の皆もノリノリである。そして別の男が口を開いた。
「いやぁ、それにしてもよく考えたな!まさかガードマンがこれだけ魅力的な職業だったとはな!俺も申請するつもりだ!」
「だろ?これが終わっても次の現場も頼むぞ!」
「もちろんだ!」
「ところでよぉ。実はさっき可愛い子と仲良くなったんだよ」
「マジかよ!どんな感じだったんだ?教えてくれよ」
「いやあ、それがさ……」
「何があったんだよ?教えろよ!」
「それがな……」
「早く話せよ」
「わかったって!実はさ、前にこの近くで会った子なんだけど、今回偶然にも一緒になれたんだよ!それでさ……」
「おい!まだ話の途中だぞ!」
「悪い悪い。いやなに、ちょっと聞いてくれ。その娘がさ、俺と一緒に食事してくれてな!しかも帰り際に連絡先を交換してくれたんだよ!これがその証拠だ!」
そう言って写メを撮ったものをみんなに見せた。
そこに映っていたのは若い女性の姿だった。
「おぉ!これはすごいぞ!これで正式に彼女ができたって事だな!」と一人の男性が言うと、周りの皆も一斉に拍手した。




