天空・幻月国
「無事に若返り終わりましたけど、ヒミコ様はどこへ引っ越しされるんですか?」とうさちゃんが聞いた。
「空!」そう言って上を指さした。なんと空!
「へっ?」と驚くうさちゃん。
「どういう意味?空って?」
「そのままの意味よ。地上はもう鬱陶しくって。雲の上にでも住もうかと思ってるの」
「ええーー!!そんなの無理ですよ!第一どうやって住むんですか?」
「大丈夫よ。雲を固めて土でも被せておけば私なら住めるわよ」
「私達は行けないじゃないですか?」とうさちゃん。
「大丈夫、食事の時には降りてくるから」
「……」絶句するうさちゃん。
(まあ、ヒミコ様なら本当にやりかねないわね。でも、そんなことになったら桃源郷はどうなるのかしら?)
と思っていた。しかし、それも束の間ヒミコ様はさらに衝撃的なことを言い出した。
「最初に言った通り桃源郷からも連れていくわ。少しずつになるでしょうけどね。あと夢華も連れていくわね。まとめ役お願いしたいからね。『霊峰・雪ヶ峰』の後見に紅珠に任せるわね」
「「「えええっ!?」」」
「ちょっと待ってくださいよ。何で私達も一緒に行くんですか?」と夢華が言うと
「だって、桃源郷をまとめるのに夢華が必要だからよ。私はのんびりしたいから。それにこれから先ずっと女性達の面倒を見ていく責任者はどうしてもいるでしょ?」と言うヒミコ。
「いやまあ、それはそうかも知れないけど……」と智英
「大丈夫、私は雲の上からサポートするから」とヒミコ
「ええ~……」と困惑するうさちゃん達
「じゃあ、もう行くね」
そう言って氷の箱のような物を作り中にはちゃんとしがみ付くための棒も何本か作ってあり、桃源郷の女性達を次々に放り込んでいき最後に夢華を入れて空高く飛んで行ってしまった。
そして1万メートルほど上空の雲を固めて女性達を箱から出した。高所とはいえヒミコの力でかろうじて生身の人間も住めるような環境にはなっていた。
この雲の城というべき場所が新しい桃源郷となる。
「うわあ、すごい眺め。ここが新しい住処ですか?」と夢華が言う。
「そうよ。とりあえず今の桃源郷の人は徐々に全員連れていくからね」
「まあ、しょうがないですね」と夢華は諦めた。
その後、ヒミコは大量の土を下界から持ってきてあたりに蒔いた。
「まあ、はじめは農業から始めてね。道具も揃っているから。水も空気を冷やせば水になるしね。じゃあ、後はよろしく」
そう言い残してヒミコは去っていった。
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「さあ、それでは後片付けを始めましょうか。まずは紅珠さんあなたに『霊峰・雪ヶ峰』の管理をお願いするわ。うさちゃん国から近いので私や他の女性の面倒もお願いね。そして徐々にでもいいから『霊峰・雪ヶ峰』を強化していって頂戴。そして将来的には四女神連邦の中心となる都市として発展させていってね」
「はい、了解です」
「よろしくね」
こうしてヒミコ様と離ればなれになり若干寂しさを感じるうさちゃんだったが
「まあ、いつでも会いに行けるからね」とヒミコ様は言う。
(それはそうだけどね……)と思いながらもとりあえずは切り替えることにしたうさちゃんだった。
ヒミコ様が新たに作った国は『天空・幻月国』と名づけられた。
一方紅珠は「霊峰・雪ヶ峰」をどう発展させて行くかを考えていた。
紅珠は若返った姿で一人考え込む。
「ところでこの国はどうやって統治するの?」と紅珠は自分に問い掛けた。確かにこれからの問題である。
その日、紅珠は様々な事を考えた末に一つの案を思いついた。
それは国全体を一つの城郭都市として造り上げようというものであった。これは中国の都市である紫禁城をイメージしてのことだ。
中央に皇帝である自分の宮殿を建設し、それを取り囲むようにいくつかの建物や施設を建設する。これらは行政機関や兵舎、公共施設等であった。
さらに街の周囲には農耕地帯を作り食糧生産力を高める。また外部との交易路を整備することで経済活動を行う拠点とする。また防衛体制として女兵士を常駐させ敵軍に対して備えるようにする。
その他にもいろいろと考えた結果、その全てを実行することに決めた。
「さあ、そうと決まれば行動開始よ!」と言って立ち上がる。
そして紅珠は早速行動を開始したのであった。
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(最近は母さんがいなくてホント平和だなあ~)と隆は平和を謳歌していた。いや、謳歌していたつもりだった。しかし実際は……
すぐに隆にとって重大イベントが迫っていていたのだが。
「ただいま帰りました〜」玄関から声がする。どうやら星美のお帰りらしい。
(あちゃー、もう帰って来たよ…。海外に遊びに行くって言ってた割には早いお帰りだな…、1週間と経ってないし…)
と思っているとリビングに入ってきた。
「おかえりなさい。どうだった?」と隆は尋ねた。
「とても有意義な時間だったわ。あなたにも紹介したい人がいるのよ」
「へぇ〜、誰だい?」
「とにかく超美人よ!楽しみにしててね~」と言って星美は出て行った。
しばらくするとインターホンが鳴ったので玄関を開けるとそこには美少女がいた。
(うわぁ……、可愛い……)
思わず見惚れてしまうほど美しい女性だった。
身長は160cmくらいで細身の体型をしている。
髪型はセミロング、いやボブカットっていうのか?
肌は白くて透き通るように綺麗だった。
服装はチャイナドレス風のワンピースにハイヒールサンダルを履いている。
スタイル抜群で腰が細いモデル体型であった。
(へえ、母さんこんな美人とお友達になったんだ。俺も仲良くなりてぇ~)と思いながら挨拶をした。
「初めまして、星美の息子の隆と言います。宜しくお願いします」と言って頭を下げた。
「こちらこそ初めまして、春燕と申します。よろしくお願いいたします」と返してきた。
(うおおぉ~、やっぱ可愛いじゃん)と心の中で叫ぶ隆。
そんな隆を見つめながら星美はニヤニヤしていた。
(くっ、あの顔は間違いなく何か企んでる顔だ。一体何を考えてるんだ?)と思っていると
「じゃーん!たーくんのお嫁さんですよ!」と言うではないか。
「ぶっーーー!え!?」
「えぇ~、マジ?」
「マジマジの大マジですよ!」
「嘘だろ?なんでこんな急に?」
「だって~、さっきも言ったけど春燕ちゃんと会ってみたらすごくいい子だったんだもん!これって運命だよね?絶対相性良いと思うんだ~♪」と嬉しそうに語る星美。
(いやいやいやいや!いくらなんでも突然すぎるだろ!!てゆうかそもそも俺とそいつ知り合いじゃないんだけど!)
「ちょっと待って、よくわからないんだけどさ……なんで急に結婚の話になるわけ?」と聞いた。
「それは私が説明するわ」と言って春燕が口を開いた。
「実は私、日本語が話せないの。だから隆君と結婚して言葉を教えてもらおうと思ってね」と説明する春燕。
「いや、それはおかしくない?今、普通に日本語で会話してるよね?」
とツッコミを入れる隆。
「あれは通訳アプリを使ってるからよ。私は日本語の勉強は頑張ってるけど、まだまだ会話は難しいのよ。でもこのアプリを使えばどんな言葉でも完璧に翻訳してくれるから安心して」と自信満々に答える。
「へー、すごい技術だね。俺なんか全然使えないよ。じゃあ、これからの予定もそれに頼るのかな?」と聞くと
「もちろん、これで全部解決よ!何も心配いらないわ!」と豪語する春燕を見て不安を覚える隆。
「いやいや、ちょっと待ってくれって、なぜ俺なの?自分で言うのも気が引けるが全然モテルタイプではないし‥全然釣り合いが取れてないと思うんだけど…」
「その質問には私から説明しましょうか?まず最初にあなたが選ばれた理由としてはあなたは母親である星美さんの息子だからです。」
「えぇ〜!?そんな理由!?」
「はい、そうです。」
「絶対嘘ですよね。もしかしてお金とか?母さんお金持ちの部類だし‥」
「失礼な事いわないの!こう見えても華僑の大交易商で代を築いた宝華商会のお孫さんよ。お金なんて私より持ってるわよ」と星美。
「そ、そうなの?じゃあなんで俺なんかと……」
「まあいいじゃない。そんな事。それとも私の事嫌いなの?」と春燕が言う。




