〔19〕妖怪参加型・演劇発表会①演目決め会議
20. Promised love(約束された愛) 〔19〕妖怪参加型・演劇発表会①演目決め会議
ろくに授業もしないのに、演劇発表会をすることになりました。
そよりさんの司会で、「何の演目を行うか?」会議が開かれました。演劇部顧問(部員数0)の加古未来先生は、窓際で編み物をしていました。
「さて、みなさんと決めなければいけないことがあります。演劇発表会は、何をやりたいですか?」そよりさんは、黒板の前に立ちチョークで書き始めました。
『演目決め会議』
「演劇発表会って、いつなの?」ユキが疑問に思いました。
「来月かな~?」私は言いました。
「半年くらい、練習してもいいよ~」カスミが言いました。
「お客さん、来るのかな~?」ここあちゃんが言いました。
「運動会に来たお客さんは、全員アルバイトですのよ。ですから、今回もたくさんの方々が観に来るでしょう」そよりさんが言いました。
「え~? そんなお金あるの~?」私は疑問に思いました。
「誰が出しているの~?」カスミも疑問に思いました。
「また、妖怪さんか、怪物さんか、ドーブツさんが、参加するんだろうね~」と、私は言ってしまいました。
「ぶわはははは・・・。話は聞かせて頂きました!」と言って、校長先生が窓ガラスを突き破って、パラグライダーに乗って教室に現れました。
「ドッガっシャン! ボテボテ・・・」校長先生は、床に豪快に転がりました。女子生徒たちが怪我をしてしまうという考えは、微塵もなさそうでした。恐ろしい話です。校長先生は、ヨーロッパの音楽家のようなカツラをカブリ、能装束を着ていました。中国の仮面劇で使われる変面を被っていました。空を飛んできたはずなのに、何故か青龍偃月刀を持っていました。
「私に任せてください! ステキな舞台を用意しましょう!」校長先生は言い切りました。
「校長先生、やる気満々ですね~。それでは是非、主役をお願いします!」ユキが言いました。
「いいえ、私たち教師が前面に出るような真似はしません。これは立派な教育活動です。生徒たちの成長を陰から支えるのが教師の役目なのです!」
「それでは、エキストラが必要な時は、お願いします」ユキが言いました。
「・・・まぁ、その時だけ、参加する、かも、しれません・・・」余韻が気になりました。
「(出たいんだよね?)」
「(出たいのよね~)」
「(絶対、出るわ! ドサクサにまぎれて)」
「(出ないハズがありません・・・)」
「(自己主張のかたまりだから・・・)」私たちは、それぞれにとんでもない劇になることを覚悟しました。
「帝国劇場を、一週間抑えてきます。それでは皆さん、頑張って練習してください!」と言って、ダッシュで走り去りました。
【帝国劇場】東京都千代田区丸の内三丁目にある。千代田区とは、皇居、国会議事堂、内閣総理大臣官邸、最高裁判所などがひしめき合う日本の首都機能が全て凝縮された地域でもある。日本最大のオフィス街があり、日本の政治と経済の中心地ともいえる。
「帝国劇場は、建て替えのため閉館中だよ」カスミが言いました。
「そうね。2030年度に完成するらしいけど、それまで演劇の発表を待つのかしら?」そよりさんが言いました。
「帝国劇場じゃなくて、違う劇場のことかな?」私は言いました。
「きっと、そうね。私たちが勝手に帝国劇場って聞き間違えたのよ」ユキが言いました。
そこへ、どやどやドヤと、松柳先生とシャベランカー先生が、窓の修理に来ました。
「校長先生、怪我は無かったかな~?」松柳先生が心配しました。
「ケがありませ~んで~した~」シャベランカ-先生が言いました。
「けっさく~、ゲラゲラ・・・」シャベランカ-先生の話し方が、松柳先生にウケていました。加古先生は、マフラーと手袋を完成させていました。
私たちは、演目決定会議を再開しました。
「個人的には、竹取物語がいいな~。何かロマンティックじゃない?」そよりさんが言いました。
「絶対に、シンデレラの方がいいよ~。ステキな王子様が出てくるの」ユキが言いました。
「オズの魔法使いがいいな~。夢があるもん」私は言いました。
「ダンスが入っているのがいいな~。星の王子さまなんかどう~?」カスミが言いました。
「星の王子さまは、ダンスシーンなんてないよ」ユキが言いました。
「だったら、ダンスがある物語にアレンジすればいいんだよ~」カスミが無茶を言いました。
「ナルニア国物語もいいよ~。ロマンがあるもん」ここあちゃんが言いました。
「ライオンの王様が出てくるね~」私が言いました。
「むはははっはっはっは~。話は全て聞きました。私に任せてください!」どこからともなく声が聞こえてきました。天井裏から現れたのは、美術の先生でした。
【筋子数字男】美術の教師でありながら、趣味で作家活動をしている。老眼鏡とカイゼル髭が印象的な老教師。シェークスピアを崇拝し、クロードモネをこよなく愛する。小説「アンデルセンとヘンデルセン」で芥川賞を受賞した経歴の持ち主。年二回、タスマニアで「優雅で感傷的な個展」を開いているが、毎回約2,000人が足を運ぶという。
「私が、不可解で、難解で、奇っ怪で、愉快な物語を書き上げましょう! ライフワークに不足なし!」と言い切りました。先生の背後で孔雀が鳴いている映像が見えました。
「(こういう場合、フツー鳳凰じゃないのかな~?)」私は疑問に思いました。
「お、お願いします」ユキが圧倒されながら言いました。
「三十秒で書き上げます。待っててください!」と言って、勢いよく教室を出て行きました。しかし脚本が出来たのは、一週間後でした。
「なんか最近、先生方はみんな、校長先生化してきたね~」カスミが言いました。
「まぁね~。大人たちが、無駄に元気があるのは、いいことよ」ユキが言いました。こういう発言が出来るところが、ユキがオジさん方に人気があるところだと思いました。




