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みすとら  作者: 詰乃 愛莉
第一章『Promised Love(約束された愛)』

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19/19

〔18〕ドーブツ参加型運動会④玉入れ競争

「それでは、第3種目の『玉入れ競争』を始めます。参加者は、スタート位置についてください。制限時間は、3分です」

未来先生のアナウンスが終わると、校長先生が手を挙げました。

「みなさんに、提案があります」

「はい、いいですよ~」ユキは、提案を聞かずに受け入れました。

「ちょっと、ダメよ、ユキちゃん。勝手に決めちゃ。一応話を聞きましょう」そよりさんが言いました。

「そうね、そうするわ」ユキが言いました。

校長先生は、静かに言いました。

「わたくしの責任とは言えCチームは、優勝争いから脱落してしまいました。ですが、それでは意味がありません」

「(何の?)」全員が疑問に思いました。

「ですから、教育的な意味を込めて、Cチームも全力で参加するルール改正が必要であると考えます」

「玉入れ競争で獲得した点数を倍にしますか?」ユキが言いました。

校長先生は、カブリを振りました。

「いいえ、そのような下品なお願いはいたしません。それでは、皆さんの蓄積した努力が無駄になります」

「それでは、どうしたらよいとお考えですか?」そよりさんが聞きました。

校長先生は、怒涛の勢いで言いました。

「運動会というものは、全員で作り上げるものです! 全員で参加して勝利の喜びや、敗北の苦痛を分け合うものです! みんなで作り上げる物なのです! みんなが参加するものなのです! みんなで・・・」勢いは、止まりませんでした。

「それでは、Cチームは先生方も全員参加してはいかがでしょうか?」ユキが言いました。

「! ありがとうございます。そうします!」校長先生の表情が一変しました。

「4人対4人対6人でよろしいでしょうか?」

「いいえ、そのような下品な真似はいたしません」

「(めんどくさいな~)」そろそろみんなが、疲れてきました。

「ハンデをつけます」と言って、松柳先生とシャベランカー先生と風鳥先生までもが後ろ手に縛られ地面に転がされました。

「さぁ、勝負です!」

「(自分が、玉入れに参加したかったんだな~)」と、全員が理解しました。

「最初から、校長先生が全部の競技に参加しても、誰も文句を言わないのにね~」カスミが言いました。

「まぁ、そこが校長先生のプライドなのかもしれないわね」ユキが言いました。

「まぁ、寝てればいいから楽ですわ」松柳先生が言いました。

「そうですね。早く終わって欲しいものです・・・」と、風鳥先生が言いました。

「Cチームの先生方は、校長先生以外、運動会には参加していマセん」シャベランカ-先生が言いました。


「それでは~、競技~、始めー!」アナウンスと同時にピストルが鳴りました。

「ぱぁん!」参加者は、カゴをめがけてダッシュしました。

「どっりゃ~!」校長先生は、カゴの3m手前まで来ると、ものすごい勢いで玉を投げ始めました。

「3個投げ~! 5個投げ~! 背面投げ~! スカイフック! 阿修羅(ろっこどうじ)投げ~!」誰よりも、投げてる数が多かったのですが、2個くらいしか入っていませんでした。

ぬりかべさんは、手がカゴまで届かずカゴに玉が入りませんでした。

私は頑張って、5個入れました。


Aチームは、ピューマが、変身しました。

『なばびこ~ん』金色のワシが現れて、一つずつくちばしにくわえてカゴに玉を入れました。

ケンタウロスがジャンプしながら、玉を入れていました。

そよりさんとここあちゃんも頑張って玉を入れました。


Bチームは、カンガルーが大活躍しました。何回もジャンプを続け、2個ずつ玉を入れていました。

「ウチのチームの圧勝ね~」ユキが喜んでいました。

カスミは玉を5~6個ずつ抱え、一反木綿の背中に乗ってカゴまで運びました。

「わ~い! いっぺんに、たくさん入るよ~!」カスミはご機嫌でした。


「それでは、ドキドキの結果発表です! Aチームは、56個でした~!」未来先生が発表しました。

「わ~!」

「すっげー!」歓声が上がりました。

「Bチームは、なんと! 286個でした~!」未来先生が発表しました。

「ケタがちがうぞ~!」

「よーかい大活躍―!」

「カンガルーも頑張ったー!」運動場は、どよめきました。

「Cチームは、12個でした~」未来先生が発表しました。

「しかたねー」

「地味だったしなー」一応歓声があがりました。

「・・・という訳で、玉入れ大会の勝利チームは、Bチームでした~!」未来先生が発表しました。

「パチパチパチパチ・・・」

「頑張ったー!」

「面白かったぞー!」運動場は、盛り上がりました。そして私がクジを引くと、Cチームの得点は22点でした。


1位を三回取ったチームがなかったので、総合点数により順位が決まりました。

「それでは、各チームの合計点を発表します」未来先生がアナウンスすると、会場中が静まり返りました。

「Aチームは、35点でした~!」未来先生が発表しました。

「わー!」

「頑張ったー!」

「1位が多かったけどね~!」歓声があがりました。

「Bチームは、 40点!」未来先生が発表しました。

「優勝だね~!」

「2位が多かったけどね~!」

「どんなルールだよ~!」歓声があがりました。

「Cチーム 34点でした~!」

「戦犯さがしは、やめよーぜー」会場中があたたかい空気に包まれて、表彰式が終わりました。


「Cチームが、優勝争いに加わらないで安心したわ」ユキが言いました。

「そうだね。あとあじが悪いから」私も安心しました。

1位のBチームには、夕食自由選択権が30回分与えられました。

2位のAチームには、食後のデザート自由権が15回分与えられました。

最下位のCチームには、罰ゲーム30回分が与えられました。

みんなに見守られて、私が代表で罰ゲームクジを引くことになりました。

「『罰ゲーム』って何だろう?」私は、こわごわしながらクジを引きました。

『罰ゲームBOX』には、20個ほどの色とりどりのクジが入っていました。

水色の『これを、引くのです!』と書いてあったクジは引きたくありませんでした。

桃色の『これを引いてね』と書いてあったクジは、可愛らしい女の子のイラストが描いてありました。可愛らしいので、これを引きました。

クジには、『生徒になれる罰ゲーム』と書いてありました。

「?」みんなは意味が分かりませんでした。

未来先生が校長先生に確認しました。

「生徒になれるってことは、先生方の『一カ月の減給』や『サービス残業20時間』はないのですよね?」

「う・・・」校長先生は言葉に詰まりました。そして、やっと

「そ、そうですね、生徒扱いですから・・・」と言っただけでした。

「さすが、校長先生。素晴らしい判断です!」

「教育者の鑑です!」

「ついてきて良かった~!」

「校長先生なら、そうなさると思いました~」先生方は、大袈裟に褒め称えました。そして、校長先生は自信を取り戻しました。

「素晴らしい運動会になりました! いつかまた、開催しましょう!」

「パチパチ・・・」

「面白かった~!」

「いいぞ~! 校長先生~!」歓声があがりました。観客は、成り行きを見届ける契約でした。


「『夕食自由選択権』と『食後のデザート自由権』を5人で分けない?」ユキが提案しました。

「い~よ!」カスミが快諾しました。

「わたしも、それに賛成です」そよりさんが言いました。

「そうね、いい考えね」ここあちゃんが言いました。

「い~の? 私のチームは、ビリだったけど」私はみんなに悪い気がしました。

「気にしないでよ。面白かったからいいのよ~」ユキが言いました。

「そうよ、こんな権利で仲が悪くなるのは、バカバカしいでしょ?」そよりさんが言いました。

「どっわっ!」大歓声があがりました。

「いーぞー!」

「ステキな考えだ~!」

「かわいーし、なかいーし、うらやま~し」こうして、ドーブツ参加型運動会は、終わりました。


「ふっふっふ。わたしの狙い通りです」校長先生が勝ち誇りました。

「(そうなのかな~?)」みんな疑問に思いましたが、誰も口に出しませんでした。

「大人が極端に非常識だと、子どもは常識的に育つもんよ」ユキが小声で言いました。

「そうよね~」そよりさんが言いました。

私たちも共感しました。

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