第52話 私の王子様
「これはダンのやーつ」
専用装備を受け取り装備してみる。名前は女神の剣と女神の盾。剣は派手な飾りがないシンプルな作り、盾には女神が祈る姿の装飾が施されている。
「標準的な剣と比べると攻撃力がかなり上がる。盾は強力だな、アブソリュートインビンジブルの効果時間延長」
短時間の延長ではあるがかなり強力な効果だ。これで第一段階というのだから末恐ろしい。エメルも専用装備を受け取る。名前は極炎拳、赤色の小手。能力は全ての攻撃に炎の属性攻撃の追撃が加わる。部位はどこでも蹴りでも頭でも。リリーの設計図を渡す。鍛冶地区へ移動し専用装備を作り出す。
「頼んだよ」
「あいよ!」
こうして待ち、専用装備が完成。
「できたよ、氷の靴!」
「キレイな靴だな」
透明で美しい靴。靴を受け取りリリーの元へ。
「お待たせ、さあ」
「あ、ああうん」
彼女に靴を差し出す。何やら恥ずかしがっている模様、そうか、もし体質が治るならいきなり裸になるのかもしれない。いけないな、配慮が足りなかった。エメルとキャイアに毛布を持って張り、いつでも包めるよう待機してもらう。そして靴を履くリリー。
「これは!!」
リリーに変化が訪れる。周りを包んでいた氷が消失、ただちに毛布で肌を隠す。毛布も凍らない。足から発生していた氷の筋もなくなっている。ライトボードを触る鉄の棒も凍っていない、恐る恐るライトボードに手を触れる、凍らない、大丈夫だ。そして装備品説明欄を読む。
「氷の能力をコントロールできるようになる」
意識していないときは普通の体、試しに人差し指で凍らせると念じ、棒に触れる、すると棒は凍った。こうして体質は改善、皆は大喜び。
「皆、本当にありがとう」
涙を流すリリー、ハンカチを渡すエメル。おばあさんがいたとはいえ生活は大変だったろう。この先少女一人で生きていくとなると絶望を感じただろうな。リリーは部屋に入り着替えをする。
「さっき靴を履くとき困っていたようだけどどうかしたのか?」
「いや、おばあさんからいろいろお話を聞かされていて、その中に王子様が少女を迎えに来るというお話があるのだけど、それにそっくりで」
「はは、ダンが王子様か」
「勇者ということだから似ているかも」
(ふむ、強敵が生まれてしまったかな)
弱点としては履きっぱなしになることか。この世界は宿屋でも履いたままだから困ることはないか。日本なら色々問題があったけど。彼女たちが部屋から出てくる。リリーが俺達三人の前に立ち挨拶を。
「私はリリー、よろしく」
こうして氷の少女リリーが仲間になった。彼女はアタッカー、クラスは氷術姫。魔法使いタイプかな。せっかくだから街を観光しようということに。彼女がどうにもふらついている、どうしたんだろう。気にしていると歩いた時足を絡ませ態勢を崩し倒れそうになるリリー。
「わわっ」
「危ない」
すかさず受け止め、転倒回避。
「あ、ありがとう」
どうやら靴に慣れていない様子。ゆっくりと街を歩きながら慣れてもらうとしよう。晩御飯はこちらで用意するとゾタシさん。
「全てが初めてで新鮮」
楽しそうに見て回るリリー。観光が初めてになるか。サラがいたら私も似たようなものでしたと言いそうだな。帰るころには靴に慣れまっすぐ歩けるように。
「おや、賑やかだな」
家に帰ると慌ただしく飾りつけをする人、料理を運ぶ人。
「さあパーティーを始めようか」
お酒を掲げリリー仲間記念のパーティが開催される。
「お酒って美味しい」
「飲みすぎないようにな」
お酒をたくさん飲んだな、少し涼みに行くか。リリーの様子を見る、顔が少し赤い程度、ほどほどだな。バルコニーに出る。
「彼が気になるかね」
「別にそんなことは‥‥」
「ふふ、気になる殿方が現れたとき歌ってあげるといい」
目が覚めるとベッドの上。結局限界まで飲みエメルにベッドまで運んでもらった記憶が薄っすらと。次の日、今後の予定を話し合う。
「目的達成ということで捜索はここまでですね」
王氷関係は達成した。バルトワに戻ろうかな。こうしてお別れの日。ゾタシさんと協力者さんが飛空船乗り場に来てくれた。
「リリー、困ったことがあったらこちらに頼りに来なさい」
「はい」
「ではお元気で」
飛空船に乗りバルトワの街へ。帰還してギガさんに報告。
「これで四人か」
「聖獣はなかなか進みませんね」
「そちらは後回しでもいいだろう。一応捜索法は考えてある」
「ふむふむ」
サラがまだ帰ってきていないか、心配だな。キャイアとリリーは新規冒険者の街へ行く準備を。
「ボクの専用装備は新規冒険者の街でゆっくり作るよ」
二人は街へ。水の国の資料の山が届く。しばらくは写真チェックかな。姉さんは手伝ってもらったり拳の鍛錬をしたり。本格的にPTを組んで戦うのは二人とサラが帰ってきてからか。




