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【第二章】第七部分

「魔界の事情はわからないけど、喧嘩はダメだよ。」

「邪魔しないでくださいですよ。天使の始末をやらないと職務放棄になってしまうですよ。」「そんなことはダメだ。やめろ!」

「そう言われるとますますやりたくなるのが悪魔ですよ。相対魔法、術式・治癒、制限・オン。対象・ヤマナシケン、範囲・全身、時間・1秒、到級3。発動!」

「きゃあ~!」

咲良は水の竜に猛烈な勢いで体当たりされ、固い地面に転がった。

「・・・。あれ?ケガしてないわ。なんともない。でも血は出てるわ。」

 咲良はそばに転がっている和人を見て驚愕した。

「ヤ、ヤマナシケン!ひどいケガじゃない。」

「咲良様。ケガしてないみたいだね。良かった。」

「ヤマナシケンの方が大変じゃない。待ってて。今すぐ治癒魔法を。って、できないんだったわ!どうしよう。」

「まだ息をしてるですね。タダの人間について、魔界ではどうするか、教えてあげるですよ。人を成長させて時間質量を奪うか、あとは消えてもらうかですよ。穏健派は成長、武闘派は死滅を狙うですよ。つまり、タダの人間は死あるのみですよ。でもタダの人間はもはや虫の息ですよ。ならば、魔法使うなんてもったいないですよ。だからこうするですよ。武闘派は肉体を酷使するですよ。これならゼロコストで魔力にやさしいですよ。がぶりえる!」

なんと入場券販売員は和人に噛みついた。

「痛い~!」

「やめて!ヤマナシケン!大丈夫!?」

「咲良様。まだ死んでないけど、献血し過ぎ感満載だよ。ガクッ。」

首がだらんと下がってしまった和人。

「ヤマナシケン!」

「お兄ちゃん!今助けてあげるからね。」

実亜里が和人に駆け寄った。

「お兄ちゃん、ゴメンね。みあは治癒魔法使えないから、助けられないんだよ。だから、コイツを早く倒して病院に行くしかないよ。」

「新手登場ですかですよ。天使の能力は知れてますから、敗者必衰の理を表すですよ。」

「お姉ちゃんといっしょ、にするとケガするよ。みあの魔法は、お兄ちゃん愛が根源だから尽きることがないんだよ!」

「それこそ、すぐにしぼんでしまうですよ。小蛇ですよ。」

「うっ。イタいところを疲れたよ。」

「実亜里、その言い方と漢字変換はツラいよ!」

「お兄ちゃんの生存確認したよ。よ~し。相対魔法、術式・風、制限・オン。対象・入場券販売員の周囲、範囲・100㎥、時間・3分、到級3。発動!みあの攻撃から逃げることは不可能だよ。」

入場券販売員は網にひったかかったような貼り付け状態となった。手足を動かしても体全体は空中で揺れるだけで止まっている。

「やっぱり天使の魔法はダメダメですよ。これじゃあ、単に動きを止めただけですよ。魔法を使うだけで体がなまってたので、ストレッチするのにちょうどいいですよ。」

「ふん。悪魔は負けず嫌いなんだね。いや負けたことに気づいてないから、負けた気づかず嫌いかな。攻撃魔法は二段構えだからね。」

実亜里の呪文とともに、10メートルぐらい火柱が立って、それは薙刀のような形状となった。実亜里は火の薙刀を手にして、入場券販売員を打ちつける。

「熱い、痛いですよ!」

「ほらほら、火の魔法が効いてることを聞いてないよぉ、とか言わないでよ。ひとつの魔法を維持しながら、もうひとつの魔法が出せる二段式を使える術者はめったにいないからね。」「ハアハアハア。強いですよ。参りましたですよ。」

「みあのすごさを理解してもらったところで、悪いけど、お姉ちゃんがダメダメだから、お兄ちゃんを治癒魔法で助けてくれない?そうしたら、命を助けてあげるよ。」

「わかりましたですよ。戦闘に負けたら相手に従うのが武闘派のあり方ですよ。ついでに販売員自身も治すですよ。」

こうして、和人と入場券販売員のケガは治った。

しかし、和人の半透明な体はそのままであった。


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