表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/62

第四十九話

 俺は今夜は星の館に泊まるつもりだったが、わざわざヘスティがイリスに『今日はご馳走作ったから帰ってきて!』と伝言を伝えに来たもんだから神々の舘に帰る事にした。


「悪いな、急に帰る事になって……」


 星の舘の精霊や女神の皆は俺との別れを名残惜しんでいた。

 代表してアリアンロッドが俺との別れの挨拶をする。


「また、必ず……、来てくださいね……」


「ああ! 勿論だ! 今度はゆっくり会いに来る」


 そう言うと俺は星の舘を後にした。


「イリス、ヘスティアの奴なんでご馳走なんて拵えたんだ? 今日ってなんかあったっけ?」


「さあ? 私の聞いた処じゃあ、何でもお肉が沢山手に入ったらしいいとかなんとか言ってましけど、詳しい事は知りません」


「肉が沢山? なんだろな?」


 俺は疑問に思いながら帰路に着く。

 思えばこの時、『沢山の肉』の言葉で気付くべきだった! そうすれば、あの大惨事を防げたかもしれなかったのに……。


――神々の舘 食堂


 イリスに急かされ食堂に行くと其処には……。


「で、でけえ!」


 全長6mの骨付き巨大サイズの肉が二つ、皿の上に鎮座していた。


「よくこんなデカイ皿あったな……。 て、言うか何だこの特大肉は? 何かの足の部分に見えるが……。 それにしてもこんなデカイ肉よく焼けたな」


 肉は丁度食べ頃の焼き加減だ。 何故判るかって? そりゃあ、半分切り分けられて中までしっかり見えてるからさ!


「あ、お帰りなさいませ! シンジ様!」


「お帰りなさい! グンディール様!」


 ヘスティアが俺を見付けて駆け寄って来る。


「よう、ヘスティア! 今帰ったぞ!」


 ヘスティアの後に続いてウケモチさんが遣って来る。


「やあ、ウケモチさん! 今日は豪勢だなあ!」


「ええ、九天玄女様とウィルトゥース様が持って来られたのですよ。 あの肉以外に他の部位の肉はそれぞれ色々な方法で調理させて頂きました」


 良く見るとテーブルの上にはステーキ、焼き肉、しゃぶしゃぶ、すき焼き、カツ、肉の煮込み料理など所狭しと並べられていた。


「しっかしあの二人、何処からこんなデカイ肉、調達して来たんだ? デカさの限度を超えとるぞ! ドラゴンでも上級クラスの大きさだ!」


 其処に件の二人が遣って来た。


「グンディール! 見てくれ! デカイ肉だろ!!」


「ああ、デカすぎて度肝抜かれたよ! ……処でこの肉、何処で手に入れたんだ?」


 蜂蜜酒を飲んでいた九天玄女が答える。


「実はのう、主様。 キルケとメデイア達の魔術研究室に海の島の奴らがこの肉を運び込んで来おっての。 それで二人がこの肉を色々調べておったんだが、食べられるかどうか二人に聞いたら一応食べられると答えたので貰って来たのじゃ!!」


 ……ちょっとまてい! その肉ってあれか!? ゴルゴーンハーフの肉か!?


「おい! キルケとメデイアの二人、他に何か言ってなかったか!?」


「うん? この肉はもっとよく調べたいから薬品素材倉庫に保管するとか言うておったから、なら分けてくれんかと交渉したのじゃが、『これは厳重に取り扱ってくれとグンディール様よりの言付けですので駄目です! それに他にも問題があるので渡せません!!』と言うたのをウィルトゥースが二人を無理矢理ふん縛って、この肉を奪ってきたのじゃ!!」


 ウィルトゥースが血相を変えて、蜂蜜酒で酔っ払った九天玄女の口を慌てて手で塞ぐ。


「おい、馬鹿! 何、グンディール目の前にして喋っておるのだ!!」


「あ」


 全ての事情を聞いた俺は直ぐ様、肉を食べている者達に向かって大声で叫ぶ。


「全員、直ぐに肉を食べるのを止めろ!!」


 が、時既に遅し。 皆、一通り食べた後だった。

 其処に食堂の扉から芋虫が二匹……いや、ロープでぐるぐる巻きにされたメデイアとキルケだ。


「ウィルトゥース様! 九天玄女様! た、食べてしまわれたのですか!?」


「止めるの間に合わなかったよー!」


「おい! 二人共大丈夫か!?」


 俺は二人のロープを解いてやる。


「あの肉、やっぱり問題在ったのか?」


「そうだよー! 性悪魔女キルケーの生み出した魔獣のあの肉、適量食べれば滋養強壮、精力増強の効果があるんだけど、食べ過ぎると催淫効果が現れちゃうんだよー!!」


 と、キルケが答えてくれる。


「催淫効果って、つまりエッチな気分に成るって事か?」


「そうだよー! だからグンディール様ー! 早く逃げてー!!」


 キルケが言い終わるのと同時に俺が居た食堂の反対側の場所から男の絶叫が聞こえた。


「うわあああぁぁぁあああーーーーーー!?」


「ヘズ!?」


 見れば北欧の戦神ヘズが同じく北欧の女神でフレイヤの娘のゲルセミがヘズを担いで食堂の扉に向かっている最中であった。


「た、助けて下さい! グンディール様ぁぁぁーーーーーー!」


 ヘズを助けに向かおうとした時、女神達や精霊達が俺の周りを囲んでいるのに気がついた。

 皆一様にピンクの雰囲気を(かも)し出し、瞳の奥の瞳孔がハートマークに成っている。


 くっ! これではヘズを助けに行くどころか俺の身が危ない!!


「グンディール様ーーーーーー!!」


 俺に助けを求めるヘズ。


「ヘーーーーーーズッ!!」


 ヘズを助けようと藻掻(もが)く俺。

 そうこうしているうちにゲルセミは女神達を掻き分けて食堂から出て行く。


 すまん、ヘズ! お前の犠牲は無駄にはせん!!


「ウケモチさん、ヘスティア、キルケ、メデイア此処は逃げるぞ!」


「「「「はい! グンディール様!!」」」」


 俺は四人を連れて食堂から脱出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ