第4 二度目ですよね?
「ええっと、吉村…昌平…さん?お会いするのは二度目ですよね?」
「はい。面目ないです」
俺は、もう二度と会うことがないと思っていたニート対策の女神様の前で小さくなっていた。恥ずかしくてとても女神様の目を見られない。
「前回は……たしか運命の女を取り戻す、とおっしゃって24歳から人生をやり直す選択をされましたよね。どうでした?」
チラリと女神様の顔を見ると、唇をキュッと結び、必死で笑いをこらえている。ああ、これは事情を知ってるな……。
あの誕生日の夜。俺は間違いなくプロポーズに成功したと確信していた。
ただ、そんな喜びも翌朝には霧散した。急に志乃と連絡を取れなくなったのだ。
スマホは解約済み。
他に連絡手段がない。家に行ったことはなかったし、聞いていた職場にも問い合わせたけど、田上志乃なんて人は在籍していたことがないとのことだった。
紹介してくれた先輩に尋ねたら、先輩も知り合いの知り合いから紹介されただけで、彼女の身元はよく知らないらしい。
「つまりあなたが運命の相手だと思ってた方は、結婚詐欺師だったってこと…ブハッ!!」
とうとう女神様はこらえ切れなくなり吹き出してしまったようだ。堰を切ったように笑い出し、ついにはお腹を抱えて大笑いし始めた。
「フハッ……いや、『俺は、異世界転生なんかよりも運命の相手と結ばれる方が大事なんです』なんて豪語しておいて、その運命の相手が結婚詐欺師?1000万円騙し取られた?ハハッ!!一回目の人生ではうまくスルーできてたのに?わざわざ自分から?人生やり直してまで詐欺に引っかかりに行ったって?グハッ!長いこと女神やってるけど、フハッ、そんな人見たことないし~」
笑い続ける女神にはムカついたけど、正直言って返す言葉もない。
せめてもの救いは、あれをきっかけに貯金のペースにアクセルがかかり、前回よりも早くFIREできたことくらいだろうか?
いや結局、それだけ前より早く絶望して、前より早くここに来る羽目になっただけだけど。
「ごめんなさいね。女神なのに人の不幸を笑っちゃだめよね。ハハッ!!」
「いいんです。笑ってください。ところで、俺はこれからどうしたらいいでしょうか?」
「ああ、うんそうね。私が言えることはただ一つだけよ。ほらごらん!だから異世界転生を選んだ方がいいって言ったでしょ!!」
そこまで言ったところで、女神様はまたこらえ切れなくなったのか、またお腹を抱えて笑い転げ始めた。
「………」
「ああ、ごめんごめん。じゃあ次はどうする?異世界転生か人生をやり直すか?もちろん異世界転生に決まってるわよね。今ならリピーター特典で、この邪悪なる存在を滅する、聖剣エクスカリバーも持って行っていいわよ~」
「いえ、また24歳の頃に戻してください」
「ああ、はいはい。じゃあ異世界でも元気で…って、え~っ?異世界じゃなくて?なんでまたもう一度同じとこに?大丈夫?間違えてない?」
目を丸くする女神様に向かい俺は深くうなずいた。
「大丈夫です。もう一度24歳の頃に戻してください」
。あっ、このエクスカリバーも持って行きますね。なんか使えそうなんで」
俺はぐっと拳を握った。次こそは‥‥‥次こそは、あいつを逃がさないぞ!!




