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この世界、モノづくりも名前もお風呂もありません。だから後輩といっしょに、魔術開発と現代知識で雑貨から兵器まで作り放題の3年間をのんびり送ります【連載改稿版】  作者: 菜乃花 薫
異世界道中の、はじまりはじまり

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第70話「気を付けよう、一度通った帰り道」

食べ終わり、留守番の二人を除いた6名を乗せ

装甲車で新しい町から出発する


ヴェルーリア、ルカ、ニールはこれも初体験

しかし最初は驚いていたが、すぐ慣れてしまった


「空を飛ぶよりは遅いが、楽なのじゃ」


ルカがアウラムに窓を開けてもらって顔を出してる

普通の人なら危ない!と止めるのだが彼女は元ドラゴンの龍神族

例え岩にぶつかっても平気だろう


ルカの扱いが雑?

気のせいですよ


出てくるときにばらまいてきたビーコンを頼りに

走行に支障がないルートを走る


最短ではないけど安全第一でしょう


半分ほど走ってきただろうか

装甲車が突如前進できなくなった


スタックするようなルートではなかったし

実際目視では問題なかった

バックやそこからの前進はできるので

車両自体にも異常はない


「見た感じもなんともないですけど、なんでしょうね?」


隣で阿部ちゃんが、モニターでチェックしがてら言ってきた


森の中だから龍神族が火を噴いたら山火事になっちゃうし

阿部ちゃんは弓で密林向けじゃない


アウラムに妖精から周囲の状況を聞いてもらい

その警護にヴェルーリアに降りてもらおう


阿部ちゃんはドライバーシートに移ってもらい

最悪の場合バックで逃げるよう頼む


とりあえず先に降り、車両後方をチェックして

二人にも降りてもらい後部ドアも閉める


降りた二人には妖精との対話を頼み

私は車両前方の確認に向かう


前輪のタイヤ横に膝をついて目視するが

タイヤはスタックもしてないし、接触面に異常はない

障害物を踏んでいる形跡もなく、他の駆動輪も同様だ


車両前方に行こうとして、何かに引っかかった

木の枝か?


なにも見えるものはない

しかし、手を動かすとなにかしら細いものが

等間隔にあるように感じる


手で引っ張ってみるがびくともしない

まるで極細の編み物で出来た壁、だ


「ケイ殿!

森蜘蛛が居ると言ってますわ!!

人は喰いませんが捕まると厄介ですわ」


アウラムが声を上げるのとほぼ同時

上方に引っ張り上げられる

意外すぎてそのまま反応できず引き上げられてしまった


シュルシュル


そんな音が聞こえそうな勢いで

手足がなにかで拘束される

動こうとするが切れない


『緊急警告

森蜘蛛の糸と思われます

伸縮性が高すぎて、切断するには現状装備では不可能ですね』


冷静ですね、弥生さん

そりゃ、装備に刃物持ってないどころか

竹刀のままだからね


『森蜘蛛と思われる生物が接近してきています』


鬱蒼とした森で葉の中に引っ張り上げられたから

暗くてはっきりとは見えないが

確かにでっかい塊が動く様子が音や気配で感じ取れる


赤外線で暗視、とかないかねぇ


『ゴーグルに赤外線画像をオーバーレイします』


できるんかい!

弥生さん、用意周到すぎないか?


・・・・・いやいやいや、でかすぎない?

赤外線投影で見えたシルエットは明らかに蜘蛛


脚があるあの蜘蛛だよ?

わさわさ動きながらやってくるよ?

アウラムは喰わないと言ってたけど本当か?


『習性上魔素を吸い尽くすか

巣に持ち帰って子蜘蛛の餌として魔素を吸われるかでしょうか


大丈夫です

魔素が無くなりかかったら魔術で補充してくれるそうです』


どっちにしてもめっちゃ嫌なんですけど?

つか魔術で補充できるなら自分に補充すれば?


『好み、なんでしょうかね』


わかった

虫も嫌だし、もうめんどくさい


製作:(クリエイト:)魔力振動刃(オーラブレイド)


鞘に入った片刃の刀が左手に現れる


使い勝手上片刃の日本刀スタイルだが構造は当然魔術製


材料も切れ味も思いつくまま突っ込んだ

理不尽に理不尽を重ねまくった超弩級仕様


早速、魔法で火を熾すイメージを刀に流し込む


炎を纏い超音波どころではない振動を発し

【魔力剣】とでも呼ぼうか、まさに異世界仕様の刀とわかる見た目に変化した


両手を固定されているので鞘からは抜けないが

ここで鞘の仕込みを生かす


鞘の先端「(こじり)」が解放されて

炎自体が超振動の刃となって噴き出す

刀というより長刀に近い状態か


周囲の蜘蛛の糸が焼き切れたのか

左手がフリーになった


右手を結わえていた不可視の糸を切り

足の固定も切って最後釣りあげられた糸を始末し、フリーになる


空中で固定しているものが無くなれば・・・・・


落ちるよね、普通

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