第62話「魔素量、増えてた?」
「動けぬし、これは勝てぬ相手
我の負けじゃ、認めよう」
ドラゴン娘が敗北を自ら認めた
「勝負がついたなら手当をしよう」
そう声を掛けて、隣を見る
姪っ子の負けっぷりに驚いてか
流血度合いに驚いてか
おっさんがドラゴン娘を凝視していた
裸で
「魔法で治るはずなんじゃが、一向に傷が塞がらん
一体何をしたのじゃ?」
「ちょっと特殊な石礫を当てただけだよ」
そういってごまかす
ところで、どうして治らないのかね?
『イレース弾は対象に物理的衝撃を一切与えませんが
弾の軌跡を【全て消去】しながら進み
細胞も軌跡上の個所のみ消去されます
それゆえに細胞自身が傷ついていることに
”気が付いていない”のです』
自分が切られてもわかってない細胞、って意味が分からん
そんな考えを汲んでか、弥生さんは続けた
『細胞核が丸ごと無くなっていれば細胞は死にますが
この場合、生きた細胞と自己認識しています
そこに治療を施しても
【細胞が生きている】のですから細胞が反応しません
結果、治療効果はゼロではないものの
通常の怪我と違い直りが極端に遅くなっているのです』
なるほど
生体にイレース弾を撃てば後始末が厄介だ
ということは理解できた
「治りが極端に遅くなるらしいが
実際に使ったのは今回が初めてなんでね
悪いが喧嘩を売った代償だと思って我慢してくれ」
とは言ったものの
全裸の女の子のあちこちに穴が開いて血を流してて
それを見下している男
ってのは絵面的にどうかと思うわけで
弥生さんや?早めに治す方法はないものかね?
『自己治癒を促進させ、更に自身と外から
治療を同時にかけ続ければ可能かと思います
自己治癒は魔素の摂取をさせ
治療は本人とご主人様とフレイアで
かければよいと思われます』
3重掛け、ってことかな
『魔素の摂取については、装甲車に乗せている
【液体魔素自動生成器】で作った液体魔素を
1リットルも飲ませればよいかと思います』
あれ?
確か”『参考までに目の前にいる3人は
現時点で液体魔素200ml1本飲むと魔力体が暴走します』”
って、命名直後の3人娘を見てそう言ってたよね?
ドラゴン娘、その5倍以上のゲインがあるってこと?
『現在の3人娘だと、2リットルくらいまで飲用可能です』
そっちはそっちで【命名】直後の
10倍以上の魔素量になったってこと?
『アヤノちゃんさんとご主人様の足元にも及びませんよ』
いやいや、【命名】がヤバすぎるってことが問題だよ
ドラゴン娘とおっさんを引き入れるんだから
名前を付けるつもりだったけど
【命名】して3人娘同様、魔素量10倍になったら
3人娘じゃ太刀打ちできないでしょ
『〈契約〉がきちんと効力を発揮すれば問題ないでしょうが
不安要素としては残りますね』
〈契約〉してから【命名】すべきだろうか、手順的には
逆にすれば【命名】で魔素量が爆増したドラゴンが暴れまくって
〈契約〉どころではないかもしれない
『負傷して弱体化している今のうちに、〈契約〉して
即【命名】してしまうことをお勧めします』
理由は?
『【命名】による魔素量増大は、
現状の魔素量」に対しての増加と判断します
実際にヴェルーリアの【命名】時には
ダメージにより魔素上限を下回ったままでしたが
その時点の保有魔素量に対し
丁度10倍の増加となっていました
弱体化で魔素量が激減している今ならば
【命名】して10倍の魔素量になっても
カホルであれば対処可能と考えられます』
じゃあ、ヴェルーリアだったら?
『今の魔素量だけで言えば、ヴェルーリアのほうが上ですね
肉弾戦主体の彼女でも人化状態なら問題ありませんが
ドラゴン形態に戻った場合に対処可能かどうかは微妙です』
ヴェルーリアにもイレース弾同様の武器を持たせればいいかな
『慣れや習熟の度合いから、照準などに難がありそうです
速度、パワー重視と思われますので近接武器などの方が効率的かと』
よし、これは後まわしか




