第15話「3人娘の自己紹介」
サポートシステムがつぶやく
『実際には、こちらの【世界】の言葉を話しています
女神様は、全ての生物に通じる言葉で話していましたが、3人はこちらの言語で
話をしています』
全ての生物共通の言葉?凄いだろ、それって
『ご主人様達には、耳や振動を含め現地語で身体に入力されたものを
私が日本語に変換したものが、脳に伝わっています
注意してみると、口の動きや発声との【ずれ】がありますが、お気になさらず』
テレビのディレイ、みたいなもんだと思えばいいか
『ちなみにお二方が話す場合、発話する時には現地語に変換して、現地語になったものが
口から発声されています
それらも脳に入る前、聴くときと同じロジックで処理されるので、自分の会話にも違和感が出ていません
ご主人様ご自身に聞こえる音の違和感を無くす為、骨伝導などの振動も変換しています』
そこまで細かく調整してるのか
しかし同時通訳とはサポートシステム、すげぇな
こんなのがあったら外国語ペラペラだろ
『ありがとうございます』
読むな読むな、手放しの賞賛を脳内で
なんか
『むふぅー』
って。鼻息が聞こえそうな位の
イントネーションだったぞ?
『そんなそんな』
謙遜までするのかよ
すげぇな、サポートシステム
成程と納得してから自己紹介に入る
「まずは私から」
3人娘は当然、後輩から挨拶ってのもねぇ
と思い、手を上げながら話し始める
「私は芳井蛍路
私のことはケイ、と呼んでください
年齢は29歳、別の世界から来たのでこちらのことは全く知りません
他のことは必要であればその都度聞いてください
以上」
後輩が顔を近づけ耳元で囁いた
「え?それで終わりですか?他は??
ほら、趣味とか学歴とかは?」
静かに返す
「こっちの【世界】がどうかわからないのに
一方的に喋ったって、理解できないと思うんだよね
とりあえず、呼び方を教えるだけでいいんじゃないかな」
『それでいいと思います』
サポートシステムも賛同してるし、いいよね?
「あ、私のほうのサポートシステムも、賛成してますから
私も簡潔に挨拶しますね」
後輩が続ける
「私は阿部綾乃、23歳です
ケイ先輩からは
「阿部ちゃん」
と呼ばれていますがみなさんは
「アヤノ」
と呼んでください
よろしくお願いします」
あれ?
私も、アヤノって呼んだほうがいいのかな?
そう思っていたら気付いたのか、こっちを見
しかめっ面で、舌を出しながら
「名前呼びは早いですよー」
だそうだ
なんで?
畜生、そんな顔も可愛いじゃねーか
それはさておき
問題は3美女に加え、それぞれのサポートシステム
サポートシステムからは【美女賢者と3人で相互補完】とか言われたけど
当面は、脳内に別人格があると知られない方がよさそうじゃないかな?
そう思った途端、サポートシステムから声がかかった
『ご想像通り当面は秘匿されることをオススメします
理由ですが【世界書庫】は賢者ですらアクセスできません
何かの拍子で、悪意あるものに存在を知られると、ご主人様達を確保して使うことを強要したり、魔術で精神操作したりされる恐れが生じるかもしれません
アヤノちゃんさんもですが、秘匿されることを強くお勧めします』
だってさ、怖い怖い
で?
サポートシステムさんは
アヤノちゃんさん呼びですか?
『付き合いの長いご主人様がダメ出しされたので、代わりに私がアヤノちゃんさんと呼ぶのはどうかと思いまして』
気遣いの人?ですねぇ
阿部ちゃんを手招き
「サポートシステムのことは隠しとけってさ」
少々考えた顔をしてから
「こちらでも言われました」
とのこと
サポートシステムはには、いろいろ聞きたいこともあるし、後程改めてお話ししようね
『楽しみにしています』
マジで人格あるんだね
サービス口調が過ぎる
仕切り直す、か
「君たち3人のことも知りたいから、自己紹介してもらえるかな?」
こういう時って、大抵賢者がすぐ動くよね
「私は賢者で、見てのとおり長耳種です」
ん?
見ての通り?
いわゆる笹耳とかじゃないけど、エルフなの?
疑問を口に出す前に、彼女は続けた
「生前の年齢は、300歳から先は数えていませんでしたのでわかりません
長い間、【奥の森】で研究に没頭していましたので・・・
そんな日々を過ごしていて気が付いたら、女神様の元に魂が戻っていました
こんなところでしょうか
ケイ様
アヤノ様
これからお2方のために尽くしますのでよろしくお願いいたします」
エルフ?
最低300歳?
【奥の森】?
1人目から、情報量多すぎじゃない?
「う、うん、ありがとう
次の人、お願いします」
隣のマッチョ美少女だ
優雅に胸の前に手をあて
膝を軽く曲げ、優雅に会釈する
「同じように、自己紹介させていただきますわ
私のことを妖精王だと女神様がお二方にご紹介されたようですが、実際には、数世代前の妖精王候補、でしたわ
種族としては妖精種
年齢は130歳ちょっと
同じく、女神様よりお二方の為になってと言われましたわ
よろしくお願いします、ですわ」
妖精って、30cmの小さいイメージがあるけど、普通なんだね
てか、この子で130歳オーバー??
この世界、長命ばっかりか?
「では最後に私めが」
執事美女が自ら声を上げる
右手を臍あたりに添え、腰を折る
「私は魔角種です
年齢は解かりかねます
気が付いたら、この【世界】に居ました
女神様に、お二人の役に立つようお話しを頂いて、今ここにおります
お二方を主として、魂が滅ぶまでお供させていただきたく存じます」
重い、なんか重すぎるよ
とりあえず、3人ともありがとう
細かいところは、おいおい教えてもらうとして
3人を呼ぶのに種族名?を呼ぶのは不便だからさ
私らのように、君ら一人一人に名前を付けさせて貰えればと思うんだけど、問題あるかな?
「ナマエ、と言うのは
ケイ様
アヤノ様
と呼んでとおっしゃったもの、ですか?」
賢者が口を開く
そうそう、そういうの
と言うより、名前の概念がないのに【様】って敬称は理解してるって
どういうことかな?
素直に疑問を口にしてみた
「【女神】に様をつけて【女神様】、と呼んでおります
お二方は、その女神様から選ばれたとお聞きしておりますので、私達より上の存在と認識しています
ですのでケイ様、アヤノ様と呼ばせて頂いてます」
整った顔がすっと私達2人を見つめる
他の2人も大きく頷いていた
自分より上と思えば様付け、ですか
阿部ちゃんを見ると、なんかもじもじしてる
君、様付けとかされたい?
「いりませんよ~
職場でさん付けですら、むずむずするのに」
私もいらないねぇ
3人に向き直り
「偉くないし、むしろ3人には教えを乞う立場だし
呼ばれ慣れてないしなので、様付けはいりません
ケイ、アヤノ、でいいです」
そういうと今度は執事美女が
「拝見したところお二方の魔素量は、私どもとはまさに桁違いのものをお持ちでいらっしゃいます
特に私のような魔角種は魔素量が大きい程、立場が強いものです
見たところ、お二方とも魔角種の長よりも上でいらっしゃいます
他の2人の種族も、多少差はあれ同じようなものかと
どうかケイ様、アヤノ様と呼ぶことをお許しいただけないでしょうか?」
美女が3人とも頷き、こちらをじっと見つめている
そういうのがある世界、っていうなら無理強いはしないよ
でも、別に偉いとかなんとかないし、そもそも3人とも私らよりよっぽど長生きして尊敬に値するんじゃないかな?
阿部ちゃんも頷く
「年功序列で言ったら、多分私が一番下ですよー」
いくら若いとは言え、女性の年齢はいじらないに限るから、華麗にスルーしておく
ところで魔素量ってなんだ?
疑問はさておき、本題に戻す
で、なにはともあれ、名前を付けていいのかな?
すぐにもやらなきゃいけないこと、山積みなんだから




