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第13話「初魔法と魔法・魔術の詳細」

弥生さんからの現地の説明が始まった


『正四面体世界の1面にある、唯一の大陸です


現在地は、地球での東西南北で言えば南の端に当たります

ここは大陸を取り囲む連峰の一つにある洞窟ですが

これは人為的に作られたものです』


うむ、大雑把な位置関係は、なんとなく理解できそう


周辺に人の住む町は?

『徒歩で半日ほどで、()()()の町があります

参考までに、大陸にも町にも、名前はありません』


そう言えば、JCが機会があれば名前つけて、とか言ってたね

徒歩で半日、か

現状把握には、ここを調べに行ったほうがよさそうかな


さて、阿部ちゃんのほうも落ち着いたのか

長命種エルフさんに話しかけている


頷いたと思ったら座ったから

座っていいかどうか聞いたのかな


私も歩み寄り、長命種エルフさんに声をかける


「ごめんね、作ってもらって

作るのにはどんな制限があるかとか

考えずに気軽に頼んじゃったけど

魔術使うのって、大変だったんじゃないの?」


彼女は涼し気な顔で答えた

「今、ここに作ったもので言えば

魔素の10分の1を消費した位でしょうか」


完全なゼロからモノを創るんだから

それで済んでるのが凄い


しかし、やっぱり椅子も木製

ベッドフレームと同じ感じの仕上がりで

足もなければ背もたれもない


なるほどねぇ

「こういうのを、手で作ったことってあるかな?」


聴いてみたが、疑問が返ってくる

「手で?どうやってですか?」


そうだよね

原始的な刃物ではそもそも木を切り倒すのも難しそう

縄文時代とか柱に木を使ってたけど

当時はどうやってたんだ?石斧か?


木を切って削って、とざっくり説明してみたが

彼女はピンと来ていない表情を浮かべている


そうか、JC女神がモノづくりを、と言ってたのはこれか

魔法や魔術がどうやって普及したのか解からないけど

そもそもの「知識」や「技術」が無いままでも

魔術なら「モノ」が作れてしまう


何故そんな歪んだ状態なのかは理由は不明だが

この【世界】では椅子と言えばこれ、ベッドと言えばこれ

そんな固定概念があるのかも


もしかしたら・・・

長命種(エルフ)さん、ちょっとお願いがあるんだけど」


彼女がこちらを見る

「ケイ様、どのようなことでしょう?」


様付けに、ちょっとくすぐったさを覚える

「えっと、その前に【様】付けって

なんとなく偉そうだから、無しでお願いできるかな」


そう頼んでみたが


「ではケイ殿、アヤノ殿では如何でしょう?」


帰ってきたのはこの返事

「侍か!」「かっこいいですね!」

私と阿部ちゃん 同時に感想を口に出してた


「まあ、とりあえずそれでいいや

で、魔素はまだ十分あるみたいだけど

今度は火を出す、ということは出来る?」


「はい、何かしらを燃やすのでしょうか?」


「いや、ただ火を出すだけでいいんだけど?」


「了解しました、では」


今度は人差し指を伸ばし、一拍置いて指先に火が出た

空中に何もなく、だ

サイズはゴルフボール位


「ありがとう

その火を大きくしたもの、って出せる?」


「大きく、ですか?」


「そう、これくらいに」

そう言いながら、腕で大きな輪を作る


「いいえ、火はこれしか出せません」


「火を出すのは魔法になるのかな?それとも魔術?」


「魔法、ですね」


それを聞いて、思ってた疑問を尋ねる


「じゃあ、ここにある椅子はもしかして魔術で

製作:椅子(クリエイト:チェアー)とかだったりするのでは?」


言い終わった途端、目の前に椅子が出てきた


しかもその椅子は、普段職場で使ってる

いわゆる事務用椅子だ


ご丁寧に

大手什器メーカーさんのシールが

背面に貼られてる


阿部ちゃんがこっちを見て

「先輩、いつ魔法使いになったんですか?

てか、なんで事務所の椅子なんです?」


そうだよねぇ

それにしか見えないよね、やっぱ


そして長命種エルフさん、固まってる

私が出した椅子を見つめたまま、動かなくなっていた

目の前で、手をひらひらと振ってもピクリともしない


「大丈夫?」


声をかけて少々間があって、目をぱちくり

漸く正気に戻ったようだ


ただ、息も荒い上

ただでさえ大きな目がさらに大きく見える


「こ、これはなんですか?」


彼女とすれば、当然の疑問だろう

初めて見ただろうからね、事務用の椅子


「これ、私らが普段使っている【椅子】なんだよね

椅子、っていうのは長命種エルフさんに作って貰った

これの【名前】だよ」


そう言って、先程作って貰った椅子を指差し


「試しに座ってみてよ」


と、試用を促しても動く気配はない


そうだろう

座椅子のような、こちらの【世界】の椅子とは違うから

座り方すら理解できないのかも


「こんな感じなんだけどね」

そう言って、座って見せる


「座ったまま、向きが変えられるのですか??

え?そのまま、そこから動けるのですか??」


声のトーンが上がる長命種(エルフ)さん

感嘆なのか、畏怖なのか解からないが


「ほら、大丈夫だよ、座ってみて?」


私が座ったのを見て、取って食われないと解かったからか

おずおずと言った感じで、彼女は座る


お尻を浮かせたり座り直したり

先程見せたように回したり

移動してみたり


徐々に速度が速くなって・・・・・


あ、椅子ごと転んだ

見事につんのめって


「むぎゅっ!」


彼女から、顔に似合わない声が出る


「大丈夫?

ごめん、建物外で使うには適してない奴なのを忘れてた

どこか痛めてない?」


「だ、大丈夫です、驚いただけです」


そう強がるが、よく見ると

つんのめって顔を打ったのか

右頬が少し赤い


擦り剥いていないのは幸いだけど

美人さんを痛くさせたのには心が痛む


それよりなにより

なんで、私が賢者さんを真似て喋っただけで椅子が出来た?

それのほうが問題だわ


『ご主人様マスターがこちらの【世界】に来るとき

女神様が魔力体への変換の話をしたのを覚えていますか?」


そうだったね

『転移時に実行され、既に魔法と魔術が

使えるようになっています』


あ?そんな簡単に?


『こちらの生物は基本的に魔法体があります

魔法は認識すれば使えるため本能で行使できますが

魔術は”構文を唱えられること”と

その魔術が発生する効果を理解し

結果まで含めて想像出来る必要があります』


なるほど

もしかして、その効果ってのは・・・・・


『今の椅子のように理解出来る、想像出来るものであれば

術者次第で魔術行使の結果が変わってきます』


あらまあ、想像力次第ってことかな?


やっと理解できた


さっき事務椅子が出てきたのは

先週、壊れた10数台の椅子から

いわゆる共食い整備で、使えるのもを作らされたからだ


1日潰れて挽回が大変だった

嫌な思い出が勝手に反映されたのね


ちなみに消費魔素とかの制限とかは?


『ご主人様マスターの魔素量・消費量とも認識不能で

お答えできません』


どういうことかな?


『こちらの人間では5桁が最大で、ご主人様(マスター)は上限を示しています

先程の製作:椅子(クリエイト:チェアー)を詠唱後も

ご主人様(マスター)の保有魔素量に変化はありません』


はい?

計測不能ってこと?


『魔素量の表示が不正確なのか

それとも魔素消費が通常より大幅に少ないのか

それらの両方なのか

現時点では解からないのです

上限その他が存在するかも今後要検証、と考えます』


ということは、阿部ちゃんも同じってことかな?


『恐らく』


よし、それでは


「阿部ちゃん、魔法少女になってみない?」

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