(8)2月14日 バレンタインデー当日(急)
蛇足でしかない後日談。
炬燵の中で丸くなりながらパソコンで動画を見ているリリィは、台所でダイエット料理を作っていた俺を呼び出すと、動画を見るように促す。
パソコンの画面には咀嚼音のASMR動画が映し出されていた。
「ねえ、コウ。これだったら、私、痩せなくても登録者数百万人獲得出来るかも」
咀嚼音の動画を聞きながら、彼女は剥いた蜜柑を口に入れる。
「ねえ、コウ。動画の機材買ってよ。これだったら、月百万円稼ぐ事ができるわ」
この世界の事を浅い所で舐めている彼女は、アイスのように甘い発言を躊躇う事なく吐き出す。
"どうせ動画編集とか面倒な所は俺にやらせるんだろうな"と思いながら、俺は彼女に絶対飲まないであろう条件を突きつけた。
「お菓子、半年分抜くんだったら買ってやるぞ」
「あ、なら、いいです」
そう言って、彼女は蜜柑を平らげると、炬燵の中に隠していたお菓子を取り出した。
……どうやら彼女が痩せるのはまだまだ先の事らしい。
(完)
「異世界から追放された悪役令嬢は(省略)」これにて完結です。
最後まで追ってくれて本当にありがとうございます。
この小説は「バレンタインデーの時に短期連載したら面白いだろうな」という思いつきにより生まれたものです。
見切り発車で始めたため、お見苦しい所は多々あったと思いますが、最後まで読んでくれて本当にありがとうございます。
厚くお礼申し上げます。
近い内にこの作品の設定をキャラを流用した長編を連載する予定なので、その際はTwitter(@Yomogi89892)で告知させて貰います。
今回の反省を活かしたものをお見せできるように頑張るので、その時は何卒よろしくお願い致します。
最後に重ねて御礼申し上げます。
最後まで読んでくれて本当にありがとうございます。