#26.布教活動は紙一重
「あの……もしかしてブイチューバー好きなんですか?」
「んいっ!?」
……ま、まずいっ!!!
私は慌ててスマホを台に置く。
いや待て、まだ焦るべきではない。
美容師さんがどれだけVTuberに詳しいのか、そもそも好きなのか、私が見ていたからあまり知らないが話題に出した可能性もある……ここはあまり興味のないフリをしてやり過ごそう。
「いえ、最近流行りだから少し気になっただけで、あまり知らないんですよねー」
その瞬間、美容師さんの目の色が変わる。
「気になってるんですかー!? 実は私こう見えてオタクでですね! ここ数年VTuberの沼にハマってるんですよねー!」
「へ、へぇー……あまり興味ないですねー……」
「じゃあ私が今日教えてあげます!!!」
こ……これは……布教っ……!!
布教活動。
自身の好きなもの ──いわゆる"推し"を友人や知人に広める活動である。現代のオタク文化の浸透を象徴するこの活動は、"推し"を皆に見てもらいたい、共有したい、というそんな愛の詰まった行為であり、推しにとっても大変有り難いことである。
のだが……今は例外!
そう、これは入学式でのチカとの下りの時もそうだったが、布教を配信者本人めがけて行われると、それは愛の溢れた天国から身バレ必至の地獄に一変する。
今回の場合は幸いにもVTuberという括りは同じものの、甘姫 あられはまだそこまで有名ではないはずだ。2度バズったとはいえデビュー1ヶ月ちょっとの新人なので、ひょっとしたら名前を知っている、位でファンだなんてことは殆ど有り得ない。
となると、私と関係のあるライバーの話題を避けさえすれば……乗り切れる!
大丈夫よ私! 私ならできる!
なんてったって私は偏差値83の天才JK!
この磨きに磨かれた最高峰の頭脳をフル活用して、この危機を脱するのよ!
「やっぱりおすすめはライバースですかねー! 鬼透 きういちゃんとか面白くていいですよー!」
終わったあーーーーーー!!!!!!!
ぐう! いやいやきうい姉は超有名だし、この前のコラボは私の配信枠だったから大丈夫なはず──
「この前の逆凸配信も面白かったなー」
あぁそうだったあの後電話かかってきたんだったぁ……いやでもでもでも! まだ私を知っているかは分からな──
「色んな子がいるんですよー! 初配信で切り忘れしちゃうぽんこつな子とか!」
私だあぁぁぁあぁぁぁ!!!!!
霰姫 天15歳、人生最大の危機に遭遇してしまったのかもしれない……
現在の登録者数:160,647人(58人up⤴︎︎︎)
「イラストレーターが個人でやってる人もいるんですよ〜!!!」
???「うげっ!」
***
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