#9.化けの皮は盾にもなり得る
100ptありがとうございます!
という訳で今日は2話+おまけ1話で更新致します!
これからもどうか宜しくお願い致します。
「ぎゃあああああああああああああああ!!!!!!」
と、悲鳴を上げたのは私では無くチカだった。
「やばい! 可愛すぎるっ……!尊すぎるっ……!! あられちゃあーん! かわいいよぉ〜ー!!」
そう叫びながら彼女は表情をうにゃうにゃさせる。そのあまりの過剰反応に私は面食らってしまった。
デビューしてからまだ一ヶ月も経過していないというのに、オタクという生き物はこうも早く順応するのか。
それにこうまで"可愛い"と声に出されると……ちょっと照れる……
──んああダメダメっ!
これは試練。一歩間違えたら身バレ必至の絶体絶命……なんとしてでもポーカーフェイスを貫かないとっ……!
「ゔぅっ……あられちゃん可愛すぎるよぉ……はっ! お隣からものすごく冷たい視線がっ……!」
すると、何故かチカが静かになり、先程まで悲鳴でかき消されていた配信の音が聞こえるようになった。
つまり、ここからが本番というわけだ。
しかし、私はこの試練、実は容易に突破できるのではないかと考えている。
なぜなら、私は普通のVTuberとは違い、初配信全てが綿密に設計されて出来たものだからだ。
普通は、初配信でのヘマや失敗、自分を出し切れていない他人行儀な部分に羞恥心を感じるが、私にとってはそれすらも演技。あえて自分で作り出したものであり、私にとっては失敗は成功。
そして何より、私の初配信は純度100%のキャラクター。本来の私は1%すら配信に映っていない。
例えば、アンチコメントや誹謗中傷コメントに強いVTuberには、キャラクターチックなVTuberが多いらしい。それは本来の自分と活動時の自分とがあまりにもかけ離れすぎており、活動時に対する批判コメントが素の自分にダメージを与えにくいからである。これは声優などにも見られ、自身が演じたキャラクターにケチをつけられるのと同じ様な感覚なのだろう。
勿論、ダメージを与えない訳では無いが。
純度50%程のVTuber達でもそうなのだから、私など『はっ……なんか別人が喋っていますわ』程度にしか感じないはず!
何なら自身の徹底した計画実行に誇らしくさえなるかもしれない。
さあ来い! 初配信振り返りなどただの自己肯定感上昇の道具にしてやる!
『あ、あわわわ……! 間違えてミュートしちゃいまししゃしゅ!』
自己肯定感上昇の……
『うわわごめんなさい!!! えっとえっと、こんあられー! きょうデビューした甘姫あられで……うわあ──ドンガラガッシャーーーーン!!!!!』
道具に……
『み、みんな……ごめんなさい……あられ、いつもミスしてばっかで、きょうはだいじな日だから、ぜったいミスしちゃいけない!……って思ってたのに、さいしょからこんなにも……』
…………
『でも、これから精一杯がんばりたいと思ってるので、おうえんよろしくお願いしましゅっ! いてっ』
………………っ!
「ギャアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
今度こそ私の悲痛な叫びが中庭に響いた。
***
第九話読了ありがとうございます!
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