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  ☆  第40話 座敷親父

 実家から小包が届いた。箱には筆文字で仰々しく「天地無用」「取扱注意」と書き付けられている。

 中身は割れ物か何かだと思い、慎重に床に置いた。だが、親にそんなものを送ってくれと頼んだ覚えはない。そもそも、実家はここから車で二十分ほどの近所だから、宅配便を使う必要もないだろう。


 ――連絡さえくれればいつでも帰るのに。


 一人ごちりながら包に手をかけて、中身は食べ物なのではないかと思い至る。それならば、尚のこと急がなくていけない。

 ガムテープの端を爪でかりかりとやってみたが、どうも剥がれる様子がない。ならば、とカッターナイフを持ち出して段ボールの切れ目に沿って刃を入れたのだが、何故かそれも上手くいかない。


 首をかしげつつ箱を持ち上げてみると、ずっしりと重い。軽く揺さぶって中の物が何かを探ろうとすると、ベチン、ベチンと柔らかいものが叩きつけられるような音がした。

 そして、少し間を置いてうめき声のようなものも聞こえる。その声は、獣というよりもしがない疲れたサラリーマンのようだった。


 ということは、中に入っているのは生き物なのだろう。噂に聞く、「小さいおっさん」というやつかもしれない。

 変な解釈をしつつ、開かない箱から興味を失い、それを乱暴に床に投げ捨てる。

 箱の中から、「ぐえっ」と蛙が潰れるような声が聞こえた。


 気味が悪くなって箱を横目に見る私の元へ、母親からメールが届いた。


 "座敷童が獲れました。送ったので大事にしてね"


 ……ということは、これは福の神か。

 もう既にバチが当たりそうなことしかしていないのだが、どうしたらいいだろう。

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