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怪奇短編集 ―Mysterious Worlds―  作者: 牧田紗矢乃


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  ☆  第41話 仮面

 私の素顔は誰も知らない。

 素顔を見た者は例外なく死に至るのだ。両親は事故、祖父母は病気で、親戚筋も様々な原因から鬼籍に入った。私が引き取られた児童養護施設では火災が起きた。

 不運な人生と憐れまれる反面、気味悪がられもした。


 ある年の祭で、私はお面をもらった。流行のキャラクターのものだ。

 そのお面をいたく気に入り、四六時中お面を被って生活するようになった。

 それからだ。周囲で人死にがなくなったのは――。


 不幸の元凶が自分の顔にあると気付いてしまった私は、常に仮面を身につけるようになった。

 無機質なピエロの面に、くるぶし丈のマントを羽織る。異様な私の姿に、すれ違う人は恐れや嫌悪を露骨に表した。

 初めは不快だった人々の反応が、今では快感に変わった。


 彼らは不幸だ。

 損をしている。


 自室の壁に掛けられた鏡にそっと手を伸ばす。正面の白磁の肌の美女も、同じく手を差し伸べた。二人の指先は触れ合い、美女は顔をほころばせる。

 彼女の素顔を愛でられるのは私だけだ。誰も知らない絶世の美女。まるでおとぎ話ではないか。


 彼女の美しさを堪能した私は、呪われた姫君と鏡越しに口づけを交わした。

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