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神華牡丹学園物語  作者: 瑞目叶夢
九十九の心人に無し
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君の心残り

真望達は佳弥子を連れて2年の教室に入った。

HLで担任の逭加々羅の許可を貰い、佳弥子は真望に憑いていてもいいことになった。


1限目は移動教室呪文学の授業で2組の好奇心旺盛なクラスとの合同授業だ

始業前に真望達はあっという間に囲まれる


「佳弥子ちゃん!霊診断してみていい!!??」


「霊媒見せて!」


「霊魂ってどんな感じ!?」


閉鎖的な学校だから外国人の霊は珍しくみんな興味深々だ、

王華の魂は黒蝶になって飛んで行くか、思い入れのある場所から動かない者が多く、霊は見れるがあまり見る機会はない、見るとしたら悪霊化した化物が多い、なので霊研究は発展しているのだが海外霊の霊魂のあり方などの資料は少なく、ここぞとばかりに質問や研究協力を取り付けるのに必死のだ。


「みんなの気持ちはわかるが、研究資料として見るのはやめてくれるとありがたいな」


「違うんだ!いや違わないけど!外国人の霊魂は珍しんだよぉ真望うううぅぅぅぅぅ」


「「「「真望くうううううん!!」」」」


「そんな顔されてもなぁ」


少し怒った顔で真望は困って言うが、朱雀寮の生徒達は目をうるうるさせて見つめている目から目線をそらし続ける真望のやり取りを見て佳弥子は笑う


『真望君私は良いよ、気にしない、誰かの力になれるの嬉しいし』


「「「「佳弥子ちゃん!!!」」」」


「佳弥子・・・・」


感激しつつ喜ぶ朱雀寮の生徒達に引きながらも、真望は難しい顔をする


『大丈夫だよ』


真望の難しい顔に佳弥子は笑いかける、真望はまだ何か言いたいような顔をしていたがため息を一つ吐いてわかったよと言われて朱雀寮は盛り上がった。


『ありがとう真望君!大好き!』


佳弥子は透けた体で真望の頬にキスなんてするものだから周りの生徒も囃し立てる

そこでチャイム鳴って逭先生が入って来た。


「さぁ今日は可愛いお客さんもいますが新しい呪文を学びますよ!どんなに慌てることがあってもこの呪文を唱えれば大丈夫!鎮静呪文です」


そう言って逭先生が授業を始める、この呪文があれば取り巻き達を静める事ができるかもと千李は真剣に聞くのだった。


1限2限3限と平和に授業が終わり、昼休み、珍しく、氷綺が影姫と千李の間で食事をとるので今日は7人と幽霊一人という形で食事をとっている。

大人しい氷綺と佳弥子は馬が合うようで机を挟んで、影姫そっちのけで楽しそうに話している。


「私もね、ウサギのリンゴが好きなんだけど上手くいかなくて」


『ウサギさん難しいよね、生きてる間にできるようになりたかったな』


たわいない可愛らしい会話に微笑ましく聞きながらイジメられてた2人が仲のいい友達のように話す姿に、真望は安堵したように食事の手を止めて見ている


そんな平和な空気を良しとしない者がいる


そう、豹炎と煤煙である


「まったく考えられないね、鷺家の姫はなんでそんな者と仲良くできるんだ、猿の霊だぞ?」


「神華を操れない切り花の癖に趣味も悪いとは、鷺家の面汚しだな」


わざわざ千李達の席の近くに来て嫌味たっぷりに憎々しく言う2人になんでこいつらは、いちいち嫌味を言いに来るのか、何が楽しくて突っかかってくるのかと辟易する

こいつらに鎮静術をかければ大人しくなるんだろうかなどと思いながら6人は黙ってジト目で見るので苛立った豹炎が憤る


「なんだその顔は!俺は間違えてる氷綺先輩に注意してるんだ!そんな顔で見られる筋合いはないぞ!」


豹炎の言葉に呆れながら千李は言う


「そんな顔ってどんな顔だよ」


千李の言葉に煤煙が怒鳴る


「その馬鹿にしたような顔を向けるな!不愉快だ!」


それに千李はさらに馬鹿にしたように言う


「わざわざ喧嘩しかける馬鹿を見てるんだから仕方ないだろ?」


千李がそう言うとなんだと!と言いながら煤煙が千李につかみかかろうとする、


それを氷綺がとっさに手を出して遮ったものだから、煤煙は怒って氷綺の数珠を握る、すると、数珠は煙になって消えてしまった。


「どうせ、神華を操れないんだ、術も使えないんじゃ数珠も可哀想だったからな、親に新しいのでも買ってもらえ、あぁでももともとおさがりの数珠しかもらえなかったんだったかな?切り花だから」


はっはっはと満足そうに笑う煤煙、さすがにやり過ぎの行動に豹炎は驚いた顔で煤煙を見ている皆、いやらしく笑う煤煙を見てやり過ぎだという者も居るが確かに氷綺に数珠はもったいないなんて言う者もいる、そんな煤煙に千李は掴みかかり殴りとばすものだから、煤煙も殴り返しそのまま大喧嘩になり、周りに引き離されてやっと止まるのだった。

しくしくと泣く氷綺と慰める女の子3人達を見て、落ち着けと抑えながらも不愉快を隠さない真望岸雄の肩越しに煤煙を見る煤煙はてめぇじゃねぇよ!と訳のわかない事を叫びながら今も抑える豹炎と他生徒を振り払おうとしている、誰かが小褄唎先生を呼んできたのでそのまま鎮静術で落ち着けられて、千李と煤煙は成績点数を引かれ、罰則となったのだった。


「ご、ごめんね千李君、私のせいで罰則なんて」


大広間から連れ出される時に泣きながら氷綺がいう者だから千李が否定する


「氷綺さんは悪くないよ!僕が勝手にしたことだから気にしないで」


そう言うと氷綺はしくしくと泣きながらもうんとうなずく、まだ自分を責めているような氷綺を置いて、千李は小褄唎に連れられ、煤煙と一緒に大広間を出て行くのだった。


千李は放課後、罰則で千珠の名簿整理の手伝いをすることになったのだ、刀激戦の練習もできず、

生活指導教員の部屋に連れていかれる、何が好きで自分に厳しい先生の手伝いをしなければならないのか


「相手が悪いからとすぐに飛び掛かるとはさすが低知能の敍樹の息子だ」


ほらまた嫌味、キレやすい自覚はあるが、父親まだ馬鹿にされると気分が良くない


「父さんは低知能じゃありません」


「それはお前が父親をよく知らないだけだ、そこに座れ」


父を悪く言われ、むすっとしながらも、千李は言われた通り、席に座ると机にバサッと紙の束が置かれる


「それは過去の生活指導員がまとめた罰則記録だそこのファイルに名前別にファイリングしろ、私は不愉快でやりたくなかったからちょうどいい、それを見てまだお前の父親をよく言えると良いな、ファイリングが終われば出てっていい」


そう言われて千李がその紙の束を見ればそこには父親達の名前

鼻水爆弾襲撃事件と書かれている、内容を読めば、蛇頭の集まる大広間の机に鼻水爆弾を大量に投げてべちゃべちゃにしたという物だった。

他にも幼稚と言える悪戯が数々と、これでも飛鳥がごまかしていた物はきっとないのだからもっと悪戯をしていたのだろう純血がムカつくのはわかるが、よくこれだけ悪戯しといて金帯と銀帯でいれたものだと感心する、それだけテスト成績が良かったのだろう、何故両親共に頭がいいのに自分は馬鹿なのかとも思ってしまう千珠は頼んでもないのにたまに覗きに来ては、そこに書かれた内容に詳しい話を補足してくるのでさらに恥ずかしくなる、ヒーローだと思っていた父親の幼稚な悪戯はライラーズの悪戯とは全く違う、ライラーズの悪戯は少なくとも生徒のためにはなっている

父親の呆れる悪戯の数々に千珠の嫌味に言い返す気力もなく千李は生徒指導室を出て行ったのだった。


翌朝、千李は真望に愚痴ってもまだ足りないのか、不機嫌さを残したまま寮を出るので、真望も癒澄も佳弥子も困った顔をする。


寮を出て、花壇前に行けばもう影姫も美羽も岸雄も来ていて、そこに氷綺も居たものだから、千李はこの顔ではいけないと、少し深呼吸をして落ち着けさせてから合流する


「お、おはよう!」


千李がそう言えば皆返事を返す、真望も癒澄もそんな千李の様子に笑いながら挨拶をすまし、真望が氷綺に聞く


「氷綺先輩、朝から俺たちと一緒なんて珍しいですね、お兄さんはいいんですか?」


それを聞かれて氷綺は寂しそうに笑う


「お兄様にはもう勝手にしろと言われているの、見捨てられちゃったけど、みんなと一緒の方が楽しいからいいんだ」


にっこりと笑う氷綺になんと声を掛けたらいいのかと考えていたらまた意外な人が来る、逭先生だ、


「おはようございます、皆さん」


「「「おはようございます、逭先生」」」


皆であいさつすればにっこりと笑った後、逭先生は氷綺を見つけて探してましたよと言った。


「氷綺さんを訪ねて藤狐に行ったらもう学校に行かれたと聞いて慌てていたのです」


「わたしに、御用、ですか?」


氷綺の言葉に逭先生は一つの数珠を差し出す、鈍い光を放つ翡翠でできている、その数珠は大玉にインクルージョンが見られる


「これは特別な数珠らしいのでうすが私には合わなかったようなのです、よかっらた氷綺さんお使いください、昨日失くされたと聞きましたので」


氷綺がおずおずと、逭の手にある数珠に手を伸ばすと数珠は喜ぶように浮かび上がり、ふわっと氷綺の首にかかった。

初めて数珠を作った時を思い出す現象に少しわくわくした気持ちになる


「この数珠、本当に貰っても、いいんですか?」


少し遠慮気味に嬉しそうに氷綺が言うと、逭は笑って頷くので氷綺はキラキラと翡翠の数珠を眺めている、数珠がないのは死活問題だ、授業で呪術を使う時に無いと呪術が使えない、卓越した華人ならば数珠が無くても自分の神華のように呪術も使えると聞いたことがあるが、そんなことは稀だろう、特に学生ができるわけ無いわけだからこうやって素早く新しい数珠が用意されているのはとても助かる、数珠は結構高価なので、お古の数珠だという人は少なくないからだ。


「ありがとう、ございます逭先生」


氷綺は大事に大事にその数珠を握りしめたのだった。


今日の1限は黒術者の授業だ昨日の今日で千珠の授業を受けなくてはいけないなんてついていないと千李は思った。昨日の放課後の事を美羽達に言えば美羽も岸雄もショックを受けていて特に岸雄は真木が敍樹と一緒にメインで好き放題していたので顔を赤くさせて恥ずかしがっていた、純血派の生徒が集まっているところに突っ込んでいって全員のズボンやスカートを下げて走り去った話はしない方が良かったなと思った。

影姫にとっては真木への思いを断ち切ってしまうにはいい話だったみたいだが


そのまま微妙な空気になったまま千珠が教室に入り授業が始まる、

特に嫌味も言われることなく今日は平和に授業ができたような気がするが、千珠は顔がいいので意外と女子生徒に人気がある事を知って気分が悪くなるった。あんな嫌味野郎のどこがいいのかと思ったが、普段は厳しいだけで自分以外に嫌味を言われていないところを見ると、父親との確執でもあるのかと言うほど父親の悪口を言ってくるが仲は悪いがそこまで恨まれるほどでもないと思うのに本当になんで嫌味を言われるのか、昔藤の会であったと言う話を無しにしても嫌いな先生だ

佳弥子は授業で河童の話を聞いて興奮気味だ。

沈める術を簡単にマスターして見せた真望に大興奮で飛びつく姿には純血派が嫌そうなお顔をしていた。呪術に関しては6人は簡単にマスターできるのでなかなか上手くいかなかった純血派にとっては目の上のたんこぶなのだった。


次の授業は数学だ朝から嫌な授業続きで千李は何もしていないのに疲れてしまう

案の定、今日の数学も見ているだけで頭が痛くなる、隣の真望と佳弥子に補足してもらいながらなんとか話についていき、2限目の武刀術の授業は思いっきり楽しんだ。佳弥子も、授業の決闘で活躍する真望を見て喜んでいた。


そんな風にすごした昼休みの時だ、佳弥子が淡い光に包まれた。


「佳弥子?」


真望の声に自分の体を見て佳弥子は真望に微笑む


『真望君が楽しそうでよかった、たくさんの人に好かれて、守ってくれる親友も居て、私心残りだったのずっと真望君が私の事で不幸せなんじゃないかって、でも安心した。千李君、岸雄君、影姫ちゃん、美羽ちゃん、そして癒澄ちゃん、』


佳弥子は笑顔を癒澄に向けると癒澄は強くうなずく


『みんなありがとう、真望君をよろしくね』


そう言った時一際大きく輝き白い光の玉となりどこかへ飛んで行ったのだった。


国外の人間の成仏のしかたを見て騒ぐ生徒達の声など聞こえないように真望は佳弥子の飛んで行った方を見る


「成仏できてよかったな、真望」


千李が真望の肩に手を置くと真望が頷く


「俺はずっと恨まれていると思っていたけど、罪悪感を抱かせていたなんて紳士失格だな」


辛そうに笑う真望に岸雄が肩をつつく


「ちゃ、ちゃんと安心させられたじゃないか、そ、それに僕らから逃げてたんだから今更だよ」


岸雄の言葉にははっと真望は笑う


「ふっはっ、手厳しいな」


クックックっと笑う真望に美羽と影姫も声をかける


「私達があんなことで友達をやめると思ったの?心外だったわ」


「裏切られた過去があるなら怖くなるのもわかるけど、信じて欲しかったな!」


影姫の言葉と美羽の明るい慰めに苦笑する


「信じていなかった訳じゃないんだけどね、なんとなくかっこ悪くて知られたくなかったんだ、ごめん、かっこつけはやめるよ」


そんな真望に癒澄が抱き着く


「真望君はかっこ悪くないよ!ずっとカッコイイ!佳弥子ちゃんの好きな人になれるのもカッコイイ!!真望君はカッコつけているんじゃなくて自然にかっこいいんだよ!」


真望は目を見開き目元を片手で隠しながらックックックと笑うそして


「そうだな!俺は自然にかっこいいんだ!」


「きゃー真望君カッコイイ!!」


そんな普段の真望の言葉に自然と周りから笑いが漏れる

まぁその中には蔑みの言葉もあるが純血派の生徒達の蔑みはいつもの事だ

だがこれを始めてみる煤煙は気味の悪い物でも見たように豹炎に聞く


「なんだアレとんだ茶番だな」


「いつもだよ、ばかげた演劇が好きなんだ猿だからな」


そんな言葉を言って軽蔑の目で見る豹炎を見て煤煙は目を細めて真望と引っ付いている癒澄を見る


「いつかお前の真価を見た時、そんなに仲良し出来るか見ものだな、なぁ真望?」


その声は小さく誰にも聞こえていないが、確かに暗い闇がうごめていたのだった。




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