表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神華牡丹学園物語  作者: 瑞目叶夢
九十九の心人に無し
PR
58/62

日本

夜19時ごろ、千李達は槐の森の開けた場所に行くと、すでにライラーズと見た事ない鏡の妖怪が居る




「来たよ、ライラック、その妖怪は?」




千李の質問にライラックがふっふっふと笑う




「こいつは雲外鏡、日本の鏡の妖怪だよ」




ライラックの言葉に聞いたことがない妖怪だなと思う、日本はその近さから妖狐時代に多くの妖怪などが逃げ出しており、共通する妖怪も多いのだが、日本独自の妖怪もいるようだ




「そ、その妖怪が何でここに居るの?」




岸雄の言葉に答えたのは雲外鏡だった。




「わしは杏珠様に使役されとるからよ」




雲外鏡の言葉にみな首をかしげる




「「「「杏珠?」」」」




それにライラックが答える




「私のミドルネームだよ、私の正式な名前はライラック・杏珠・フェントン、母さんが日本名とイギリス名つけてくれたんだけど、久遠家あんまり好きじゃないし、海外に居ることの方が多かったからライラック名乗ってんだよ」




なるほど、とみんな納得する




「で、この雲外鏡、鏡の中を移動できます」




その言葉にびっくりする




「つまり鏡の中を移動して日本に行くの!?」




千李がびっくりしているとライラックが大きくうなずく




「槐の森なら境界結界があるから地獄耳の栞にも聞こえないし誰も邪魔しないからお披露目できるぜ」




ライラックがそう言うと雲外鏡が笑う




「悪いご主人様だよぉ、わしを隠してイタズラ三昧だからねぇ、ふぉっふぉっふぉ」




なんとも楽しそうに笑う雲外鏡の腹の鏡がきらりと光ってさまざまな映像を映し出す




「ここじゃな、朝火小学校の鏡じゃ、さっと行くがいい、出入り口はつなげとくからのぉ」




雲外鏡が見せるその景色は見た事ない階段の踊り場だ




「んじゃ行こうか、日本の学校」




そう言ってライラックは雲外鏡の腹に飛び込むと瑙銀と瑙虹もそれに続く




「だ、大丈夫なのかな?」




千李と美羽が戸惑う中、癒澄と岸雄はさっと腹に飛び込む、進まない千李と美羽に影姫が首をかしげる




「どうしたの?鏡移動と変わらないでしょう?陰陽鏡会非公認の鏡に繋がっているみたいだけど」




影姫の言葉に、猫炎が校長室で鏡から出てきたのを思い出す




「そう言われても僕ら鏡で移動したことないから」




ああぁと影姫はうなずく




「大丈夫よ、壁画を通るのと変わらないわ、さ、行きましょう」




影姫にうながされて雲外鏡に入ってみる


確かに水の中に入る時のような幕を通ったような感覚の後、知らない踊り場に出る




「ここが日本なの?」




千李がそう聞くと、ライラックが頷く




「そうだよ、もう日本だ、さて、佳弥子ちゃん探そうか」




夜の校舎は静かでなんだか薄気味悪い、人もいないはずなのにピアノの音が聞こえる




「ピアノ好きな幽霊でも居るのかしら」




影姫の言葉にライラックが笑う




「華無の学校には怪異が生まれるんだよ、子供達や卒業生の怖いなとかこんなのあったら面白いなとかの妄想なんかが一つになって怪異になる、きっと音楽室だからベートーベンがピアノ弾くとかじゃねぇか?」




そう言ってライラックが階段を下りていく、千李達はライラックについて行く




しばらく歩くと昇降口に着き瑙虹が全体に何かの術をかけ、次に瑙銀が昇降口のカギに数珠を持った手を近づける




解繋(かいけい)




カチッという音がして昇降口の扉が開く、




「えーと?佳弥子ちゃんが飛び降りたのは正面側の1年3組前だっけ?1年3組がどこだ?」




ライラックの言葉にみな周りを見渡していると、半透明の女の子が窓の近くでしゃがんで泣いているのが見える




「あの子かな?」




千李の指を指す方をみな見て、ライラックが歩き出す


また千李達はその後ろをついて行く、




ぐすんぐすんと泣き続ける半透明の女の子、黒く長い髪がしゃくりをあげるたびに揺れる




「君が佳弥子ちゃん?」




ライラックの言葉に一際大きく揺れて女の子はこちらを見る




『うん、・・・おねぇさん達、私が見えるの?』




か弱く寂し気な声が頭に響く




「あぁそうだよ、声も聞こえる」




ライラックが優しくそういえば女の子はすがる様にライラックに飛びつく、勢いが付きすぎて通り抜けそうになるも半分ライラックに入りながら叫ぶ




『お願!真望君を探して!お願い!私のせいなの!私のせいであんなことを!お願い!お願い!』




お願いと懇願する佳弥子を落ち着けるようにライラックは大きな声をあげる




「落ち着け!私らは真望の友達だ!」




それを聞いて佳弥子はライラックを目がこぼれるほど大きくして見つめる




『真望くんを知ってるの?』




「あぁ知ってるよ」




ライラックの言葉に顔を歪ませ佳弥子はボロボロと大粒の涙を流し出す




『真望君は元気なの??また責められていない?全部私のせいなの、真望君に謝らなきゃいけないの』




さっきとは違ってちょっと落ち着いて、佳弥子はライラックに聞いて答えを待つ




「真望は元気だよ、けど君の事で今悩んでいてね、よかったら真実を知りたいんだ、教えてくれるかい?そのために私たちは王華から来たんだ」




その言葉にまた目を潤ませる佳弥子




『また私のせいで真望君が苦しい思いをしているの?、真望君は悪くないのに』




ぐすんぐすんとまた泣きだす佳弥子に千李が聞く




「真望と君に何があったの?」




ぐすんぐすんと泣きながら佳弥子はぽつぽつと話し出した。




物静かで声も小さく、あまり人に相手にされず、いつも本を読んで過ごす佳弥子にも真望は時々話しかけてくれていた。


けれど他の子は佳弥子の相手なんて無駄だから行こうと他の遊びに誘う


佳弥子も気の利いた返しもできないし上手く会話できないのに話かけてくれる真望に少し嬉しくてなんだか申し訳ない気がしていた。


そんなある日、また本を読んでいると真望が話しかけてくる


そんな真望に佳弥子は言った。




「真望君、無理に私の事なんて気にしなくていいよ、私は大丈夫だから」




佳弥子がそう言うと真望は少しむっとして言った。




「佳弥子は俺が無理してるって言うのかい?それは侮辱だよ、佳弥子はアホだ!ちびアホだ!

きみはいつも小さくなって自分なんてとか卑下するけど、頭がよくてなんでも知っていて君との会話は面白いよ、自信持てよ!」




真望にそう言われるも、佳弥子は自信なんて持てなかった、だってみな佳弥子はつまらないと言うのですから




「そうかな?みんなは私をつまらないって言うよ」




「そうかな?少なくとも俺は楽しいよ、だから無理して話すなんて酷い事言わないでよ」




そう言ってニカッと笑う真望に佳弥子は救われたような気持になったがそれを聞いていたある生徒たちはニヤニヤと笑っていたのだった。




昼休み、真望が他の生徒に誘われ、遊びに出る、佳弥子はいつもと変わらず本を読んでいた。




そこに3人の少年が現れる




「佐藤はまさか真望が好きなのか?」




本を取り上げられて話しかけられる




「か、返して」




佳弥子の声が小さいからかからかう男子




「佳弥子はちびアホだから全然声が聞こえないなぁ」




「声も体も小さいちびでアホな佳弥子ちゃんは真望君が居ないとお話しできないのかなぁ??」




ケタケタと笑ってからかう3人に他にも男の子がからかう




「ちびアホ佳弥子は真望にお熱ううう」




変な歌を歌ってからかう男子も、それを女子達はやめなよーと言いながらもはやし立てる


そこに廊下を見ていた男子が言う




「真望帰ってくる!」




それを聞いてみんなまた佳弥子を知らんぷりする、最初にからかっていた生徒が佳弥子に言う




「わかっているよな、余計な事言うなよ」




そこに真望が帰ってくる




「あれ?珍しいな、佳弥子と話しているのかい?佳弥子、結構面白いだろ?」




真望の言葉にニヤッと少年は笑う




「あぁ、佳弥子がこんなに面白いなんてね」




「だろぉ?佳弥子、友達ができてよかったな!」


嬉しそうに真望が佳弥子に語り掛ける


「う、うん」




そう言って佳弥子は無理やり笑ったのだった。




それからクラスの生徒たちは真望が居ない時、佳弥子をからかうようになった。




真望が居ないとみんなでからかい、真望が来たら仲良さそうに話している風に言う


そんなことが続き、だんだんと暗くなる佳弥子




「どうしたんだ佳弥子?最近元気ないな?」




「なんでもないよ、最近いい本に巡り合えなくて」




何となく助けてと言えなかった。


何となく嘘をついてしまった。




「なんだ、なら俺のおすすめの本を今度持ってくるよ!どうだい?」




「うん、ありがとう」




佳弥子がそう言うとクスクスと周りが笑う




小さな声で「ちびアホ佳弥子は真望にお熱」という歌が聞こえたような気がする


真望に似合わない、ちびアホ間抜け、真望と並べない、真望のお世辞を本気にした間抜け佳弥子、誰も言っていないはずなのに聞こえる蔑み、意地悪な声、お気に入りの本はトイレに投げられたからもう読めない、本を読んでいたらガタガタと机を揺らされてからかいが始まる


教室から逃げてもついてくる男の子たち、外で真望に会えば教室以外で遊ぶようになったのかと他の遊びに誘ってくれるのはまだいい、5人で遊びたいのだなんて言われたらグラウンドに連れていかれてサッカーのゴールキーパーと言う名の的にされる運動神経の良くない佳弥子は逃げてもすぐに追いつかれる、どんどん逃げ場がなくなるのだ




そんな事をしていると、誰もいないはずの場所でも声が聞こえる、誰かに捕まれた気がして振り返っても誰も居ない、そんな状態になって、佳弥子はもう限界だった。たまたま逃げ切れたこの日、誰も来ない屋上、下を見れば恐怖で足がすくむ、でも飛び降りれば・・・・・楽に・・・・なれる・・・・・




思わずフェンスを上った、怖いけど、登るのは大変だけど、楽になりたいと思った。


佳弥子はフェンスを越えて飛び降りたのだった。




一瞬、あぁまた真望君に会いたい、そう思った。




死ぬことで佳弥子は哀れまれて傷つける人がいない、でもそこからが問題だった。


佳弥子は日記を書いていた。それを見た両親は酷くショックを受けた。そしてあろうことか真望を責めた。




真望はすべてを知って学校でクラスメイトを問い詰めた。




「なんで佳弥子をイジメたんだよ!!」




それに男子は言った




「佳弥子がお前を好きだからだよ!!」




生徒が言うにはその子は佳弥子が好きだった。真望には笑うのに自分とはまともに話もしない佳弥子がむかついていた。自分達は真望と遊びたいのに真望が佳弥子を気にして遊びを断るのがむかついたと自分勝手な発言ばかり、


「だいたいちびアホって言いだしたのはお前だろ真望!」


あまりの怒りに真望は思わず隠していた水操作でプールから水を廊下に流し込んで生徒たちを溺れさせた。


人が死にそうな時、佳弥子は霊体として真望の前に現れた




『真望君やめて!!』




「佳弥子・・・」




その衝撃で水操作を解けば廊下は水浸しになる寸前のところで真望は水を気化させた。




「ごめん、佳弥子」




真望はそう言って逃げるように家に帰ったのだった。




そうしてそのまま真望は学校に来ないまま転校して行ったらしい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ