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神華牡丹学園物語  作者: 瑞目叶夢
1章華人の不安と仇の顔
39/62

久遠家の秘宝

あの事件の後、千李達は、毎日のように世界図書館に通っている、

決勝トーナメントは10月にある、

部活もするが早々に切り上げるようにした。

それは他の猿武の面々も承知していて学園中が彼らを見守っている、千李達のファンなどは少しでも藤の会の情報が入ると教えてくれる、深瑠のファンも深瑠の無事を祈って岸雄に託し情報を流す、

9月が終わり10月になる頃には大体の情報は集まり

藤の会には始祖の純血派一家は、

彩家と華人史の先生以外は参加しているとか、

彼らが罪に問われていないのは直接的に手を出したことがなく、

証拠不十分だからだったと

腕にあるはずの藤の会の入れ墨も見られなかったらしい

藤の会の入れ墨の例外は李薇が腰に入れていたくらいだが、

もちろんその可能性も考えて全身探したらしい、だが見ることはなかったそうだ

先生で藤の会に入っていた人、居たと思われる人は

南千珠を始め、鷺光妙(さぎ こうみょう)初等部神華史の先生で脈羅の父

繋薬病(つな やくや)毒大好き科学の先生、

楊都後降(やん とごり)は逭加々(かん かから)と同じ呪文学の先生だが高学年の先生なので自分達とは関わりがない

神華学園の34人の内4人、牡丹学園を含めたらもっといるのだろう、

牡丹学園は、葉人の学園で純血主義の意識が強い、藤の会は、葉人も居たそうだから居るのは確実だが神華の生徒と関わるのは難しい、除外していいだろ、

そんな事を6人が考えて居たらへーと高天が言う


「こりゃ警備が先来されても仕方ないよねぇ、どんどん情報が集まるじゃーん

大人より子供の方が協力的だねぇ、まぁ大人は目があるから喋れないのはわかるけどさぁ、事前に調べてた過去の調書だけじゃ楊都後降先生の情報はなかったのによく調べてんね子供らは」


それに千李がびっくりする


「え?楊先生の情報無いんですか?じぁガセなのかな」


こうして大人と子供の情報をすり合わせながら千李達は情報をまとめる

そこに甲泉が否を唱える


「楊先生は確か、逭先生より技能が高い、なのに校長に聞いたら殻時氏の護衛結界を貼るのには逭先生を推薦したらしいんだよ」


これには影姫も驚く


「え?校長の命令を拒否したってことですか?」


「まぁそうなるね、けど、理事会が校長を攻めた時に一番最初に否定したのも楊先生じゃなかったかな、どういう心理かは、わからないけど怪しいのは確かだね

ただ、藤の会にいたって噂が流されてるならそれを理由に断ったのはうなずけるね、逭先生は華無生まれだし腕は確かだからね」


なるほどとみんな頷く、となると、先生4人で張った結界をかいくぐり、護衛に気が付かれないように殺して出て行く方法がわからない、たとえ千珠が裏切ったとしても狗炎と窓凛(まどり)、そして加々羅の結界に感知されず、かいくぐらなければならない、そんな事は相当な術者でなければ不可能だ、特に狗炎は当代随一と言われる力を持った神華の華人そんな人の結界をたやすく通れる一番濃厚な可能性といえば


「まさか李薇が直接手を下したと?」


真望が言う言葉にみんな真剣な顔になる、もしそうなら李薇はどれほど強いのか

あの樂巖に混血であろうとも手に入れたいと思わせた女


「その可能性は捨てきれないね、会議室に先生達も理事会も集まっていたし、理事会の手下にやらせるには荷が重すがるからね」


甲泉の言葉で確信に変わる、李薇が学園に侵入したのだと、ただこれはわかっていた。

前の潜伏先である地下の樂巖の隠れ家に居たのだから当たり前であろう

そこで高天が言う


「人魚ってさぁそういえば深瑠ちゃんが最後に誘拐された人魚だけどさぁ最初に誘拐された人魚達はまだ全員見つかったわけじゃないんだよねぇ」


癒澄が首を傾げる


「欠損死体が見つかったんですよね?なら他の人達も死んだのでは?」


「それなんだけどさぁ最初に誘拐されたのは8人、そのうち欠損死体は2名、で、実は地下の空間には魚化した犬が数頭と人魚の骨が落ちてたんだよねぇ、たぶん食べれる部分は呪いで消えたんだろうけどさぁ、そこで確認できたのが4人、つまり後2人は生きてる可能性が大きいんだよねぇ、まぁ、魚化した犬がいた時点で何の実験か想像できるよねぇ」


「強制的に八百比丘尼を作ってるということですか」


影姫の言葉に甲泉が苦い顔になる


「そうなるね、忌まわしい実験だよ、八百比丘尼の人魚の肉を作って誰が食べるのかが問題だけどね」


その問いに千李が頭をかしげる


「李薇が食べるんじゃないんですか?今の藤の会のを率いてるのって李薇みたいですし」


その千李に高天がのしかかる


「虹の女帝はさぁ日本の久遠家(くおんけ)の秘宝なんだよねぇ」


びっくりしながらも千李は高天に聞き返す


「秘宝ってどういうことですか?」


千李の言葉に高天がカバンから金色の玉を出して机に投げると、その金色のたまは四角く広がり、テレビのように机に何かの会談の映像が出る


『久遠家の秘宝、虹の巫女を悪の道に導いた事はけして許されることではありません、門外不出の力であった物を先代が華の国に必要になり、ひいては日本のためであるとされたから継承者を置いておいたのにこの有様、華の国のありようはいいがなものなのか』


画面にキツイ顔の猫目の女性が映し出されるそれにあざ笑うかのような頭の寂しい老人が答える


『我が国は貴殿らが放置していた危険分子を正確に保護し教育して来ていた。

虹の女帝が藤の会に入ったのは元の野蛮な猿の血のせいでわ?』


その言葉に女性は呆れたように笑う


『クククッ、藤の会は半数が純血主義と聞いているが、華の血は猿より野蛮なのだな』


その言葉に老人側の者たちからやじが飛ぶが、女性が印を刻むと全員の口が閉じられ女性が腕をおろせば立っていたものは座った。


『やかましい言い訳は結構、何より我ら久遠の者は再三に渡り虹の巫女の保護を要請していたのに不可侵領域がどうと言葉を並べ、あの惨状になるまで保護しなかったのが主な原因だろうに、よくもぬけぬけと正確に保護したなどと言えたものだ、我らは過去の虹の巫女から様々な術を会得しているがそのどれもが中途半端だ、私のこの操る技もここの数人でやっとだが虹の巫女は、目に映るものすべてを操れる、そして未来を見ることができる、これがどれほどに危険なことかわかっていないようだな』


そこで、どうやら王華国側に座っていた見た事のあるような人、狗炎が立ち上がり質問をする


『虹の巫女は7つの力を持つと聞いておりまする、その7つの力とは何なのか、教えていただくことはできましょうか』


その狗炎を見て女性は、ふっと笑う


『おや、私が術を解除しわすれているのに自分で解除するとは華の者にも見込みのある者が居るようだ』


『恐れ入ります久遠家の当主、愛美あいみ様、差し支えなければ皆にかけた術を解いて頂いてもよろしいでしょうか』


狗炎がそう言うと愛美は、二本の指を上から下に下ろすと全員凍ったように硬かったのに溶けた様に動く


『真の神の力を持つという割には、その国の代表達が我ら猿の血の濃い者の力の一つを自力で解けるのが一人とは、呆れて物も言えんな、そんな事だから藤の会のなんて物ができるんだ』


愛美の言葉に王華の重鎮たちは口を(つむ)ぎ、悔しそうにしている


それに狗炎が頭を下げる


『言葉もありません愛美様、我らが不甲斐ないばかりにこのようなとこになり申し訳ありません』


その狗炎に、頭の寂しい老人が烈火の如く怒号を飛ばす


『狗炎校長!余計なことはっ!……!』


その老人に狗炎は印を刻み黙らせ座らせた。

それを見て愛美が感心する


『ほぉ、ひと目見ただけで会得するか』


座らされた老人は、驚いて目を見開いたまま、また氷のように固まる


『手を煩わせてはいけないと思い、秘術を勝手に使った事、申し訳ございません』


『構わん、秘術と言うほどでも無いしな、して、貴殿らは虹の巫女をどうするのか?コチラとしては虹の巫女の保護に向かいたいところなのだが?』


愛美がそう言うと王華の側の女性が発言をする


『そうは言いますが、そんな危険な力を持ったものを捕縛するのは難しいでしょう、排除すべきでは?』


女性の言葉に愛美は、ため息をつく


『排除できるのならばな、だが残念なことに虹の巫女は、虹の巫女である限り不死なんだ』


その言葉のなんと恐ろしいことか、危険な人間が不死とは、どうすれば無力化できるのか


『虹の巫女は、次の虹の巫女が生まれて力が無くなるまで死ぬことはない、過去に200年生きた虹の巫女も居る、表に出されることは無かったがな、先代の虹の巫女も100を越えていた。年々継承者は産まれにくくなっていたからな、虹の力はまさに神の力、闇討ちもできん、未来が見えるのだからな、これでお前らが闇に落とした者がどれほどに危険かわかってくれるとありがたいのだがね』


愛美の顔が映し出された画面を高天が摘むと広がっていた画面はまた金色のボールになる


「と、言うことでぇ、虹の女帝に八百比丘尼の力は必要ないんだよねぇ」


そこに聞き覚えのある声が聞こえる


「うぇ愛美ばばぁ昔からあんなキッツイのか、よくあの優しい叔父さま捕まえれたよなぁ」


いつの間にか岸雄の上に乗っているライラックだった。


「ラ、ライラ!なんでここにいるの?」


岸雄が驚いて聞く


「あんたら探しに来たんだよ、そしたら不快なオババの顔があんだもん、びっくりするわ」


千李は、不思議に思う


「え?これだいぶ前の映像だよね?あったことあるの?」


ライラックは嫌そうに言う


「一応私も久遠家の血筋だからねぇ、あったことはあるよ、2回位ね、

一回目は5歳の時、二回目は神牡の入学前にね

野蛮な国の血が混じっているとはいえ久遠家として呪術で他の者に劣ることは許さないとか言って小さい頃から愛美ばばぁの娘の柚木(ゆずき)さんって指導者つけて地獄の勉強漬けよ、金帯になったって知らせたら淡金銀じゃなきゃ話にならないって手紙に一行だけ、酷くない?毎日戦闘訓練も勉強も頑張ってんだから褒めて欲しいよねぇ」


本当に恨みがましそうに言うライラックを見て、全員大ッキライなんだなぁと思い、苦笑いをした。

そんなライラックは、そんなことよりと、巻物を取り出す


「これ、千李に大会委員長の千頭のおっさんからのパーティーの招待状だよ」


千李は、巻物を受け取りながら聞き覚えのある名前に頭をかしげる


「千頭って人が委員長なの?なんかどっかで聞いたことがあるような……」


それに美羽が呆れたように言う


「千頭理事よ、馬堅くんの話し合いの時に居たわ!」


「ああ、あの人か」


千李は、頭頂部の髪が寂しく、まんまる顔のちょび髭で腹にたくさん欲望でも抱えているのかと思うほど膨れていた小物っぽいおじさんを思い出す、

簡単に猫炎から売られそうになっていた彼が大会理事なのかと思うと

この非常時に中止も縮小もされず大会が進むわけがわかった気がした。


千李が巻物を広げると、3日後の日曜日に開かれるというトーナメント前、決起パーティーの招待状と書かれていた。

そして、個人戦第一選定試験勝ち抜きへの賛辞が書かれた文章が並び

次に広げるとパーティーの概要と説明が書かれている

フォーマルな格好で立食式パーティーなので気楽に参加してください

お友達もぜひお呼びください、5人まで対応可能

お連れの方は事前に名前などお知らせください

と書かれている


「勝ち抜いた人はみんなパーティーに行くの?」


千李の質問にめんどくさそーにライラックが言う


「そ、毎年毎年飽きないよねぇ、行きたくなくてもトーナメント表の発表も兼ねてるからさ、行かないわけにはなら無いわけ、まぁ今回は君ら全員参加するといいよ、パーティーには高学年教師とか小幼等部教師も来るから」


それを聞いて岸雄が手を上げる


「せ、せ、千李君!ぼ、僕行きたい!」


千李は、それにびっくりしながらも的はずれなことを言う


「え?あぁ音楽教師の朔夜先生も来るから?」


「え?」


「え?」


岸雄と千李はお互いに何を言っているのかわからないと言う顔をするそんな千李に美羽は、大きなため息をつき、癒澄が笑いながら言う


「ちがうよせんりん!楊先生と鷺先生と接触できるからだよ!」


癒澄の言葉を聞いて千李は、ぁあ!っと納得する

そりゃそうだ深瑠が危機なのにのんきにファン活動している暇はないだろう


「そっかそっか、ごめん岸雄」


「え?あ、うん、そそそ、そだね」


岸雄は、複雑そうな顔をしている、千李に言われて気がついたようだ

それを見て影姫がクスクスと笑う


FeniX(ふぇにっくす)の事忘れてたのね岸雄、仕方ないわ、色んなことが起こり過ぎていたもの

パーティーはとりあえず先生達の様子見と言うことでどうかしら」


それに真望が頷く


「そうですね、まだ馬堅くんと関係してるとは思えないし噂だけでは断定できないですからね!」


そこに気だるげな高天の声で問題が出る


「なんかさぁみんな行く感じだけどさぁ?連れは5人までだろぉ?岸雄くんと千李くんの護衛はどぉすんのぉ?神華人はカウントされないとしても俺らは無理じゃん?」


そう、付き添いは5人まで、子どもたちは全員行けるが高天と甲泉が一緒に行けないのだ


そこでライラックがにやりと笑う


「じゃぁさ、ガーガーと影姫ちゃんと護衛の人は、私の付き添いってことにすりゃいいじゃん、どうせ私は、誰も連れてかないしね」


なるほど!とその場はまとまり、全員で行けるのならばと作戦会議が始まった。

あとから瑙虹と瑙銀の双子も混じって図書館の閉園時間まで作戦会議は続いたのだった。


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