天使?人間?
千李の発言を聞いて美羽がハッとする
「確かに色が違うけど写真で見たシェリー二さんにそっくり!!」
それを聞いて他のメンバーもマーウをよく見るその様子に八咫烏が口を開く
「そりゃそうや、千珠が渡したんは、きっとシャリー二の魂のかけらやからな」
それを聞いて影姫は納得する
「そっか、魂喰の呪いを受けたシェリー二さんの魂を助けようとして食べられる前に切り離していたのね」
「じゃぁなんでその魂を体に戻さなかったんだろうな?」
真望の疑問の答えは八咫烏が出してくれた。
「戻しても消えるやからや、いや戻そうとして消えそうなん見たから取り出しなおした可能性もあんな
損傷した魂は消えるしかあらへんのやけど、取り出された魂は種になんねん、そしたらそれは消えへん、
せやから今まで隠し持ってたんやろうけど、なんでいきなり産咲に渡したんやろうな?」
八咫烏の言葉にみんな顔を見合わせたのだった。
翌日、マーウの話は学園中に広がっていて刀激戦個人戦よりも注目される一大ニュースとなった。新聞部の大見出し記事となり、学園ニュース掲示水晶には進化の瞬間が写されていた。
マーウはとりあえず影姫を母親と認識していることから影姫が監督することになりマーウは大人しく影姫について回っている。
昼休み、周りの生徒はマーウを凝視しているか、産咲達を見ている、朱雀寮の神華獣や神華人を作る神華の生徒たちは食い入るようにマーウの一挙一動を見て記録している者もいる
神華で人を作りだせるなんて始祖の神の力に等しく、もともと花から神華獣を作るという創造獣淡金銀に似た能力で、特別視されていたこともあり、淡金銀の器だから切花なのではないかとまで言う輩も出ている
「大変なことになったね?」
自分ではないが集まる視線に気持ち悪さを感じながら千李が言う
一方渦中のマーウはご機嫌で影姫に撫でられている、この存在が自分の母だと思うと少し気まずい
生まれ変わったと言え母親が同級生に抱き着いて撫でられ嬉しそうにしているのだから
たしかに見た目は幼いし母親を実際見た記憶は幼すぎてない
ちらっと永禮達を見ると永禮達はいつも通りで、3人の研究員は研究服を着た生徒達と論争を起こしている
その内容は専門用語が飛び回っていて何を言っているのかほとんどわからない
「まぁ人を作るなんて奇跡的な能力だしあり得ないことだもの、こんな大騒ぎになるのも仕方ないわ
だって普通は人どころかちゃんとした生物を作ることがないのよ、神華生物は神華の塊で生命ではないと言われてるのよ」
影姫はマーウをなでながら困ったように言う
なんてったって研究員達の配慮でマーウの質問に来る神華生物作りの生徒は来ないのだが、四六時中マーウを見てくるので授業中も2組との合同授業なんて落ち着かないのだ少し前まで岸雄を気にして
みんな千李達を遠巻きに見ていたのにそんなことを気にするよりもマーウの生態を観察したい研究員
姿がシェリー二さんだということもうわさで広がっているのでシェリー二さんの姿を見たい人が数人
純血主義に至ってはシェリー二の姿と切り花の産咲が注目されることでひそひそと嫌味を言っているようで
それぞれの目線が集まって気持ち悪いのだ、
「刀激戦個人戦どころじゃないよねぇ人魚の欠損死体、深瑠さんの誘拐、マームの進化で神華の人間が作られるいろいろ起きすぎだよ、個人戦自体できるのかな」
癒澄は行儀悪く片肘をつきスプーンで三つの絵を空中に書く、3つ絵はそれぞれカチカチと動いている
「今日はマームを曲癒先生のところに身体検査受けに行かせるんだよね」
美羽が影姫に聞く
「ええ、これから一週間に一度定期検診をして普通の天使との違いがあるかを見てなければ天使族にで親探しすることになっているのよねぇ」
影姫はマーウをなでながら寂しそうに言う
「やはり神族だから天の使いの勉強をしないといけないからだな、だがそれだとマームに会えなくなる、それは寂しいことですよね、どうにかならないものか」
真望は頭を悩ませながら言う
そんな真望を見てマーウが影姫に引っ付きながら真望を呼ぶ
「まーもう!!」
「ん?どうしたのかな?」
「にっこり、しよ!にー!」
そう言ってマーウは口をニーと開き口の端に指を当てる
そのしぐさに千李はドキッとする父親が一度だけやってくれたしぐさ、
母親が、シェリー二がよくやっていたしぐさだと言っていた。
「その、しぐさ」
千李がそれを言うと美羽が続けた。
「確かシェリー二さんの癖ただって敍樹さんが言ってた。」
その美羽の言葉に岸雄が驚く
「本当にシェリー二さんの魂なんだね」
魂が変異していると言ってもその魂は母親のものなのだと再確認した。
「影姫ちゃん今日僕もその検査に行っていいかな」
「あら?部活はいいの?もうすぐ個人戦の初戦でしょう?」
「今日くらい大丈夫だよ、それに一六五三の訓練に混ぜてもらうし、いいよね、一六五三」
「私は大丈夫です」
こうして千李は部活を休んでマーウの検診について行くことになった。
放課後、神華付属病院に岸雄以外のみんなと産咲の研究員3人で行った。
診察室には腰まである黒髪ストレートの綺麗な女医先生と眼鏡をかけて好々爺な白衣を着た男性と
天使のような男性とも女生徒もつかない人が話していた。
すると女性が千李達が入ってきたことに気が付く
「あら、いらっしゃい、大所帯ね、みんなできたの?」
そう言いながら女医はカルテのようなものを用意する
「まぁ、それは置いといて、私が担当する魁利曲癒と言います、こちらの研究員の方は
王華神華生物管理委員会の千頭宏大先生と天使のベラルドさんです」
千頭は紹介されるとニコニコわらってよろしくと言った。天使は何を考えているかわからない微笑みを続けるだけだ
「じゃぁ自己紹介はこれくらいにして、
マーウちゃんを見せてもらっていいかしらこちらのベラルドさんの検診を
一番最初にするから」
「はい、わかりました、マーウ」
曲癒に言われて影姫の後ろに居たマーウに影姫が声をかけると、マーウはおずおずと前に出る
マーウは影姫に促されるままに曲癒の前にある椅子に座る、
そこにベラルドが近づく、
そして手をマーウの前でかざすと呪文式が浮かんでくるくると記号のような神語が次々と出てくる
そしてその呪文式が消えてベラルドが手を下すとにっこり笑って言う
「彼女はまだ天使ではありません」
その発言に曲癒は納得する
「やはりそうですか、見たところ肉体が普通の人間ですものね」
その会話の意味が解らない千李は会話に入る
「どういうことですか?天使と人間って肉体が違うんですか?」
その質問に曲癒が丁寧に解説してくれる
「人間の肉体は俗世にあって誰もが認識できるけど、天使様達神族は俗世に肉体を置くことはなく
ベラルドさんのように借りの肉体で俗世に来るの、普段天使は俗世に来るのは子供を産める状態の女性に魂を届ける仕事と、天女が運んできた転生する魂を浄化する仕事をしているから人に見えることはないの、今ベラルドさんが見えるのも巫女の一族で清い体の者の体を借りてるから見えるのよ、まだ習ってない?」
曲癒の言葉に美羽が返す
「妖怪の動物たちを習っている途中で、まだ神族は習っていません」
美羽がそう言うとベラルドが微笑む
「まだ幼い子には教えずらいですものね、とりあえずこの子ですが、肉体と魂が繋がっているので天界には行けません天界には生身の人間は連れていけませんから、この子は天使候補としておきましょう、魂は天使ですから
このまま清く美しく育ててくださいませ」
「はい、大切にします」
ベラルドに返事をしながら影姫はマーウをなでると、マーウは嬉しそうにその手にすり寄る
そしてそのまま曲癒と宏大が身体検査と血液検査の採決粘膜検査の搾取
身体測定、レントゲン検査、能力調査などをする、そこで分かったのが
「この子、テレパシーが使えるみたいね、神華も元々が神華の塊だったからかしらとても強いわ」
「身体測定の結果も普通の5歳児ほどと一緒じゃのう少し背が高いが問題なかろうし、
言葉もよう理解しとる、これなら幼稚舎で学んでも差し支えなかろうて」
診察票を見ながら宏大が言う
「そうですね、すぐ校長にお知らせしましょう、条さんお願いします」
曲癒が奥に話しかけると看護師が出てきて姿見を取りだす
そこから校長が出てきた。
「おや、みんな揃っているんだねぇ、こんばんは、して、診察はどうなりましたかな?」
校長はにこやかに曲癒に聞いた。
「今のところは問題ないですね、後は血液検査と粘膜検査の結果待ちですが
幼稚舎で学ぶことに問題はなさそうです」
そこに条と言われた看護師が、紙を持って入ってきた。
曲癒がそれを受け取ると、宏大と狗炎校長も覗き見るそして3人で微妙な顔をした。
「どうかなさったんですか?」
影姫が心配そうに聞いた。
「成長ホルモンの量が」
「異常だねぇ」
「こりゃ多すぎるわい」
曲癒はマーウを見て口を開く
「もしかしてその子昨日より大きくなってるとかない?」
それを聞いて全員ががマーウを見る
「そういえば」
「昨日は胸当たりだったよね」
「さっき立ってる時肩くらいじゃなかった?」
みんな顔を見合わせる
それを見てベラルドはあらあらという
「成長は天使なのかしら、天使は生まれて一か月で大人になりますからね、そこからは老いることはないのですが、その子の体は人間ですから・・・・どうなるのでしょう」
つまりマーウは天使の速度で成長するというのだから老いるのも早いということ
マーウの処遇をまた悩むこととなった。




