岸雄の怒り
あの後岸雄を落ち着かせ、なぜ人魚と一緒に来たのかを役員に聞かれた。手紙のことを話すと、
桜瑠美はそんな手紙を書いていないし、今は鈴里村の事件に駆け付けていると言われた。
ならば誰が手紙を書いたのかとなる、届に来た伝書ガラスは、確かに瑠美から受け取ったと言う
だが不思議なことに、そこには千珠も居たのだと言う
そのことを千珠に確認するも、藥病と加々羅がずっと一緒にいたという証言で、
アリバイもあることから藤の会の狐が化けたのではということになり、
伝書ガラスは謹慎処分、千珠は一応自宅謹慎となった。
そして虹の女帝、李薇の目撃証言があるため、千李と美羽、岸雄は寮に保護されることとなり家に帰ることができなかった。
千李と美羽と岸雄は学園で軟禁状態だ、千李は朝起きてすぐに青龍寮に向かった。
青龍寮の玄関先で待っていると、美羽と岸雄のルームメイトの暈駘瞿が出てきた。
「岸雄は今日もいないよ」
駘瞿が口を開いた。
「昨日の晩もいなかったんだろ?いつ寝てるのさ!」
千李はびっくりする、
そうこの1週間岸雄は一度も寮に帰っていない
「わからないわ、今日も水晶の間にいるみたいなの」
美羽が、食べ物の入った籠をもって心配そうに言う
「じゃぁみんなで水晶の間に行こうか」
千李はそう言って校舎に向かう、その後ろに美羽と駘瞿がついて行く
校舎奥の水晶の間、千里眼を疑似的に使うことができるいくつもの水晶の並んだ台の中、その一つの水晶を食い入るように見つめる岸雄と、疲労困憊な様子の岸雄を見ておろおろしている岸雄の神華体と影姫がいる
「岸雄様寝てください、死んでしまいます」
「うるさい!いるんだ、わかるんだ、深瑠さんはこの島に居る必ず見つける僕が見つける
死なせない、絶対に虹の女帝に食わせたりしない」
疲労困憊で顔色も悪いのに、その表情は鬼気迫っていて、般若のようだ
「岸雄、パンを持ってきたの食べて」
美羽が籠を差し出すと、岸雄はその籠を見らずに中からパンを取って口にする、が、その目はずっと水晶を見ている
「岸雄、深瑠先輩が見つかっても君が死んだら意味がない、寝ようよ」
千李がそういうも、岸雄は水晶から目を離さず必死に深瑠を探す
「だめだ、早く見つけないと、寸巍先輩もいるけど藤の会が何人いるかわからない早く見つけないと
深瑠先輩まで欠損死体で見つかったら僕は、ぼくは、」
悲痛な顔になって水晶を見る
その水晶を千李も覗く、いろんな場所を10秒ほどづつ映しては消え映しては消えを繰り返す水晶
そのどこにも深瑠と寸巍の影はない
「岸雄それなら僕が変わるよ、だから寝てくれよ、ね?」
「ダメだ、深瑠さんは僕が、見つけないと、わかるんだ、この島に居るんだ、絶対、、声が聞こえるんだ
駘瞿くん、僕に増加神華使って」
駘瞿の神華は増加の神華、触れた相手の神華や生命力を上げることができる
駘瞿は仕方なさそうに岸雄に触る
「あれ?」
駘瞿は首をかしげて岸雄の耳元を触ると周囲に深瑠の声が響く
『助けて岸雄君!!』
そして岸雄の触っている水晶が輝き、そこに映されたのはどこかの洞窟で水槽に入れられてる深瑠と檻に入れられている寸巍だった。
「いた!生きてる!まだ生きてる!」
岸雄は必死に水晶を操り、場所を特定しようとするだがどんなに操っても出入り口は特定できない
「なんで!なんで場所がわからないんだ!!なんで!!なん、で・・・」
そう言って岸雄は白めになり気絶した。
水晶の件はすぐに学園に知らされ、専門家が特定しようとするもそれはできなかった、ただ、
水晶に虹の女帝の姿が映るのが目撃された瞬間にその映像が切れた。
千里眼の神華で探しても結界の内を瑠美や狗炎が見ても、その洞窟を見つけることができない、
岸雄は、気絶した日から1週間たっている。
千李と美羽は岸雄が寝ている病室に向かう
「岸雄目覚めたかな」
心配そうに千李が言う
「駘瞿くんが増加の神華で体力と神華を無理やり上げてたからその反動で目が覚めないんじゃないかなって言ってたよ」
美羽はそう言った時、岸雄の病室の方から大っきな声が聞こえた
二人は顔合わせ、急いで病室に行くと、
ベットの上で3人の神華人に抑えられている岸雄が暴れていた。
「はなせ!!はなせぇぇぇぇぇぇ!!!」
どうにか病室から抜け出そうとしているのか神華を使おうとしているようで制御アクセサリーが光っている
「どうしたのさ岸雄!」
岸雄を抑える神華人に千李が加勢する
「早く見つけないと!いけないんだ!深瑠さんを!迎えに行かないと!早く!」
暴れる岸雄、それを見ていた影姫が一人の神華人を岸雄から離して、岸雄の頬をぶった
「いい加減にして!!深瑠先輩が心配なのはわかるわ!でもやみくもに探してどうするのよ!
今回見たいにまた倒れてしまうだけじゃない!深瑠先輩が見つかってあなたが死んだら私なんて言えばいい?あなたを探して疲労で死にましたって?そんなの言えない!そんなこと言ったら深瑠さんがどれほど悲しむか!」
それを聞いて岸雄は悔しそうに俯いて布団を掴む
「ね、みんなで探そう?あの時も駘瞿くんがいたから見つけられたでしょう?
一人で探さないで、無理しないで、みんないるのよ、一人で責任感じることないわ、
あなたのせいで攫われたわけじゃないのよ」
影姫にそう言われて、岸雄は周りを見る心配そうに見る千李と美羽、駘瞿の顔がある
それを見て岸雄は顔をゆがめる
「でも、おかしいことに気付けなかった」
「みんな一緒よ」
「呪文式をとどめられなかった」
「だれもできないことだったのよ」
「深瑠さんの声が声が聞こえるんだ」
「だからって無理して弱った状態じゃ藤の会から助けられないわ」
ぽろぽろと岸雄は涙を流す
「不安なんだ、深瑠さんが死んでしまったらって怖いんだ」
「私も怖いわ、だから一緒に探そう、一人で探すよりみんなで探すほうが早く見つかるわ」
「うん、。。。。。うん」
しくしくとやつれた顔で泣く岸雄
それを影姫は慰め続けた。
岸雄が落ち着いたころ美羽が一冊の本を出してきた。
「私ね、世界図書館に行ってきたの、そしたらね、樂巖伝記て言う本を見つけたの」
「世界図書館?樂巖伝記なんてなんでおいてるんだ?」
「世界図書はこの世の本すべてがあるのよ」
そう言って美羽は、その本を開いた。
「ここ、このページの絵、見たことない?」
美羽が開いたページをみんなで見た。
すると岸雄が驚いてその本を掴んだ
「この洞窟!!!」
それを聞いて千李が思い出す、水晶に映っていた洞窟とそっくりだったからだ
「こ、この洞窟、ど、どこにあ、あるの!?」
「それはわからないの、樂巖と藤の会の重要人物しか知らないらしくて、
でも学生時代に作ったらしいから、もしかしたら学園にあるかも」
美羽がそう言うと岸雄は本を凝視した。
「藤の会の重要人物?もしかして豹炎のお父さんとか?」
影姫が考える
「もしかしたら私の親も知ってるのかな」
それを聞いてみんな影姫を見る
「そうか、沢家も純血の中でも格が上だから知ってるかもしれないんだよね」
千李が嬉しそうに言うと影姫が頷く
「でも聞けるかわからないわ、私があなたたちと仲良くしていることは知っていて
とても怒っていたし今だって帰って来いって命令を無視してるもの」
その影姫の答えに岸雄は苦い顔をする
「ごめん、ぼ、僕が無理してたからだよね」
岸雄が落ち込んだので影姫は慌てる
「気にしないで、もしかしたら教えてくれるかもしれない3日後の船で私帰ってみるわ」
影姫がそう言うと千李が難しい顔をする
「僕は念のために豹炎に聞くか?うーんでも教えてくれないよな、あ、永禮先輩は?」
駘瞿がそれを否定する
「永禮先輩はダメだよ藤の会の駒だから教えてくれないよ、
それに香夜美さんが永禮先輩に教えてるとは思えないよ」
「じゃぁ豹炎か・・・・」
みんな難しい顔をする
「とりあえず私帰ってみるわ、聞けたらそれで探しに行きましょう聞けなかったら他の作戦考えましょう」
「そうだねその作戦で行こう」
「私、ほかに手掛かりがないか世界図書館に行ってみるわ」
美羽の言葉に駘瞿が頷く
「俺も手伝うよ」
「僕はどうしようかな」
千李がそう言うと美羽がひらめいたように言う
「千李は岸雄君と一緒に水晶の部屋に行って学園を探してみてよ千李も力強いし見つかるかもしれない」
「そうだね、そうしよう」
みんな行動を決め、3日後、影姫は島を発った。




