校長
団体戦も終わり準決勝の祝いをした後、千李は
花壇に行った、みんながそれぞれの寮に帰る中、千李は花壇の前で待っていました。
でもいくら待っても校長は現れません
周りからはパーティーが終わって帰っていく生徒達や先生達がいなくなっていく
そうして、中庭に居るのは千李だけになった。
静かな中庭に花達のさえずるような歌声だけが聞こえる
「校長遅いなぁ待ってるって言ってたのにな、聞き間違えたかな」
そんなこと考えていると
花達の歌も終わりくすくすとおしゃべりを始めた。
真ん中の薔薇だけは眠るように立っている
そんな薔薇を見て千李は思い出す
≪薔薇が導いてくれるでしょう≫
千李は飛び石になっているところをはねて真ん中の薔薇のもとに行く
「薔薇さん校長のところに行きたいんですけど」
そういうと薔薇は驚いたように言う
「まぁそれでずっと待ってたの??校長に私のところに行くように言われなかった?」
「い、われました」
「まぁ愚図な子ね」
薔薇がそう言うと周りの花もくすくす笑う
「愚図」
「愚図だって」
千李は恥ずかしくてプルプル震える
「まぁいいわ、じゃぁ上に行きましょう」
薔薇がそう言うと薔薇の下が動き出して人が入れそうなカプセルが出てきた。
「さぁここに入るのよ」
薔薇にそう言われて千李は素直にカプセルの中に入っていく
中は外側から見るよりも広く円形の室内の壁沿いにソファーがあり、
壁はぐるっと一周窓になっている千李がソファーに座って外を見るとぐんぐん空に飛んで行く外を見ると学園が見渡せるほどの高さまで飛んでいる
そうしてしばらく飛んでから何かの建物の中に入った。
そして薔薇の声が聞こえる
『校長室です、御用のある方は下りてください』
その声と共に扉が開く恐る恐る扉から出ると美羽に似た球体関節人形が出迎えた。
「お待ちしておりました清千李様、こちらへどうぞ」
たくさんの怪しい道具や移転鏡、動く人形たちがいる部屋に質素だが重厚感があり年月を感じさせる扉があった。扉の下には人形用と思われる扉があった。
「では、こちらを開けてください現在の校長がおられます」
そう言って人形はノッカーを鳴らしてドアを開けて一言いう
「清千李様、参られました。」
「あぁお入り」
千李が戸惑っていると人形がどうぞと言ったので千李はゆっくりと扉を開けて中に入る、すると大きな机の前に座って水晶を眺めている清狗炎がいた。
「あぁやっと来たね、千李、こうやって話すのは10年ぶりじゃねぇ」
そう、狗炎とあったのは父の葬式のみだその後は一度も会ってないが自分は彼の養子となっているため清家の名を名乗っている
彼がいなければ須舘と名乗り美羽の兄妹となって将来のことまで考えられなかっただろう、そこのところは感謝しているが、豹炎とその母親を思い出すと、一度会っただけの狗炎に良い印象が持てないと思うのは悪いことだろうか、
だが狗炎はニコニコと応接用のソファに腰掛けるように言われた。
狗炎は重い腰を上げてゆっくりと反対側のソファーに座る
「すまないねぇ、久々に会えたことに舞い上がってしまって、つい呼んでしまった、来てくれてありがとう
本当はこうして呼ぶべきでないのはわかっていたんじゃが
立派に育っているみたいだね、少し勉強は苦手なようじゃが」
ニコニコしながら狗炎は話す、本当に千李に会えてうれしいようだ、
壁を見ると人の絵が動きまわっったり寝たりしているものや壁に立てかけてある絵にそっくりな人形に飛び移って千李と狗炎の近くに来たりする者たちもいた。
「ほうほうほう、本当にシェリー二のようだ」
「いやいや、傲岸不遜な感じはないが敍樹の顔にそっくりだぞ」
人形たちは思い思いに話す
「紅芙禅先生、清獅炎先生お邪魔しちゃいけませんよ」
「ほっほっほ、桜姫様の言う通りじゃ戻りましょう獅炎先生」
「そうですな」
美羽に似た人形がそういうと二つの人形は壁の絵に戻って思い思いのところに座って興味深そうに見ている
「桜姫ってまさか!」
桜姫と言われた人形は絵に戻り、一番立派な椅子に座って水晶を見だした。
「そうじゃよ、ここには歴代校長の魂があるんだよ、と言っても桜姫様に限っては魂のかけらだけなのだけれどね、じゃが魂だけになっても自分の術や神華が使える方法として壁画と人形を媒体にしているんじゃ」
それを聞いて絵に戻って行ってこちらの様子をうかがう厳めしい顔の老人を見る、確か清獅炎と言われていたはずだ
「清獅炎先生って2代目校長の純血派の人ですか?」
千李がそう聞くと獅炎がしゃべりだす
「いかにも、わしは2代目校長じゃ、じゃが純血派というにはちと違うな、確かに成績帯を作ったが純血派のためではない、力があるのに虐げられる華無生まれのためだ、自分の血に誇りを持ち勉学に励むようにという意味を込めたのだが純血派は自分たちの為と取った、まぁ力なき者が生徒会を取り仕切るよりはましよな」
獅炎は顔に似合わず軽い調子で話す、てっきりハーフの自分は猿の子だと罵られると思っていた千李は拍子抜けした。
「いがいじゃろ、わしも初めて獅炎校長と会った時は偽物かと疑ったものだよ」
「みんなそういうんじゃ!わしのままじゃ威厳がないとかでわしの性格を改ざんしよってからに!
全く迷惑極まりない!」
獅炎がそう言って怒っていると周りの絵がまぁまぁと言って落ち着けさせていた。
「獅炎校長は少し怒りっぽいんじゃよ久しぶりに有能な自分の血筋に会えてうれしくて興奮気味なのもあるかのぉ」
嬉しそうに狗炎が言う、それを見て千李は一番聞きたいことを聞いた。
「あの、なんで今更会うんですか?今まであの葬式以外あったこと無いのに」
確かにクリスマスや誕生日にプレゼントを贈ってくれていたのは知っている、飛鳥が手紙を出しているところも見たことがある
だがなぜ今なのか会ってはいけないとはどういうことなのか、千李は自分の事なのに何も知らないのだ今を楽しく生きることに必死だったから
狗炎は少し悲しそうに話してくれた。
「それはの、清家の純血主義の者たちからの反発が強かったからなんだよ、
もともと次男で見向きもされてなかった敍樹を引き受けて統一派の精神を植え付けて教育したことにも反感を買っていてね、あんな逸材を外人と結婚させるなんてと罵倒されたよ、そうしてね君を養子に迎えることも反対された。だから建前だけだということにしたんだよ、だから会うことは許されなかった。だが君は力を示してしまった。それが清家を触発してしまったんだよ」
「どういうことですか?」
「一部の純血派がね、清家の分家の娘を当主にして君を正夫にしようと策略を練っているんだよ」
千李は吃驚してその身勝手さに憤る
「そんな!散々避けてきたのに!大体豹炎だっているのに!」
「あぁ、もちろんそんな企ては潰してしまったんだけどね、だが何度でもそう考えるものが出る、君はハーフの子であっても欲しくなってしまうほど力が強いんだよ」
ますます千李の怒った。あまりにも
「そんなの勝手すぎる!」
「そうじゃ、純血派は、勝手なのだよ、けどのう、もっと危ないのは過激派だ、彼らは君を殺そうと考えている」
それを聞いて千李は苦虫を噛み潰したような顔をする
「豹炎より神華が強いからですか?」
狗炎は神妙な顔で頷く
「そうじゃ、そして過激派は李薇と繋がっている可能性もある、」
「李薇」
千李は思い出すあの高笑いしていた虹色の目をくゆる黒髪のそっくりなライラックには感じない妖艶な大人の女を
「李薇は、巧妙に尻尾を隠していてわしや神獣様方でも見つけるに至らなんだ、それはわしらの力不足で申し訳ない、そこで今、須舘家は、結界の補強と、警備の強化をしている、そしてできるだけ学園にいて欲しい学園には特別行事以外は、教師以外の大人は入れないからの、もちろん鈴里村にも行ってくれて構わない、その場合はボディーガードを付けるがの」
「ボディーガードですか?」
「うむ、賦髄君には会っておろう、彼が来てくれるそうじゃ」
千李はあの筋骨隆々の人魚を思い出す
「本当は千珠先生の方が強いんじゃがそれは君が嫌じゃろうし、いささか不安があるからのう」
「千珠先生は、何故雇っているんですか?」
千李は攻めるように狗炎を見る
「千珠先生はの、あの最終決戦の日シェリーニ、君の母親を助けようとした。樂巖が倒れて泣き叫ぶ李薇を庇うこともせず、君の叔母、悠雪が死に際にかけた魂喰いの術を解こうと奮闘していた。その姿を見てわしらは何か理由があると思い、あらゆる手段で千珠先生の真意を探ろうとした。じゃが彼は李薇に心の城壁の作り方を教えてもらっていたようでの、読心術の神華でも術でも知り得ることはできんかった。」
「心の城壁ですか?」
千李は初めて聞く術に頭をひねる
「そうじゃ、心の城壁と言うのはの李薇の母親の実家、日本人の久遠家に伝わる術での
李薇の神華は、何個あるか知っておるかの?」
「知りません」
「李薇の神華はの、久遠家で代々受け継がれてきているものでの7つあるとされている」
「7つですか?生まれつきで?搾取や模倣の神華でもなければ3つ以上は難しいはずじゃなかったですか?」
千李は吃驚した。3つ以上はあり得ないと聞いていたからだ、潜在能力系のものでも無ければ、体の相性などがあり、使うのが困難なのだ。過去潜在能力系以外で3つ以上の神華を操ったのは略奪神華の樂巖だけとされている、
「うむ、7つ全ては知らされておらん7つあるとだけ聞かされておるんじゃ久遠家からはの、あそこも秘密主義での探ろうにも心の城壁を壊せんでな探れなんだ、確認できておるのは人を操ることのできる力と物を操る力と予知能力じゃな、読心術の呪術も得意じゃった。この力で李薇は、樂巖の愛人として貢献しておった。」
「愛人ですか?二の妻じゃなくて?」
「李薇は、華無生まれの外人のハーフじゃったからな、純血派である樂巖の妻にはなれんなんだ、絶大的な7つの力があったから迎え入れられただけじゃからのう、千珠の話では樂巖の作った藤の会では樂巖以外から忌み嫌われていたらしい」
その話で千李は疑問を持った。何故樂巖派に入ったのか?
「ここまで聞いて疑問に思ったじゃろう、なぜ藤の会に入ったのかと」
「はい、」
「李薇はの、藤狐寮じゃったんじゃ、なぜ藤狐じゃったかは知っておるかの?」
「大量虐殺をしたとだけ聞いています」
「そうじゃ、李薇は、桧州出身でのそこで父親と村人を男も女も子供も老人も関係なく殺し合いをさせたり自殺させてたりしたんじゃよ」
千李は絶句した。
「そんな!父親まで!?」
桧州なら、迫害されたのだろうだがそれだけで、あまりにも凄惨な事件に
千李はその力の恐ろしさと自分の父が自殺させられた日を思い出す
「うむ、桧家の陰陽師連合が駆けつけた時に唯一生き残ったのは李薇の双子の妹と叔母だけじゃったそうじゃ、それがライラックの母親じゃの、力を受け継ぐことなく華無として生まれた普通の子じゃ」
ライラックを思い出す、李薇にそっくりな少女、あの明るい彼女の母親にそんな凄惨な過去があるとは思えない、恐ろしい李薇の力、そんな女が今も逃げ回っていると言う
「李薇は陰陽師連合に対して「ざんねん、間に合わなかったね」と言っておったそうじゃ、予知で間に合わないことを知っておったのじゃろうな、その事件の数日前の視察では普通の子を演じていたそうじゃったからの、それが李薇が6歳の時の話じゃ、これで李薇の力の恐ろしさもわかるじゃろ、そして久遠家で力を受け継ぐ者の見る未来を勝手に読み取られぬように心の城壁と言う術が確立され、その術を利用したんじゃ、たった6歳の子がのぅ、じゃからまた李薇が現れることがあってはならんのじゃよ」
迫害された恨みだろうが村を壊滅される必要があったのだろうか、女も子供も老人も男も関係なくすべての人を殺すなんて、優しくしてくれた人もいただろうに何でそんなことをしたのか、子供ゆえの残虐性を大きすぎる力のせいで大人も押さえつけることもできなかったのだろう、迫害された恨みで華無を嫌って樂巖の愛人になった。そして千珠は、そんな李薇の手先だった。
なぜシェリーニを助けようとしたのかいよいよ疑問になる
「千珠先生は、無理やり付き合わされていたということですか?」
「わからぬ、だが学生時代、千珠先生は、藤狐寮で初めての、あの世代の淡金銀じゃったんじゃよ、刀激戦では負けなしでな、永禮のようじゃった。叙樹とはライバルとして刀激戦で切磋琢磨しておったし、シェリーニとは幼馴染じゃったから仲も良かった。」
「母さんと千珠先生が!?幼馴染だったんですか!?」
「シェリーニは、もともと千珠先生の家の南家の使用人の子供じゃっからの、力を抑えきれない千珠先生のために珍しい無効化を海外からやっと探してきて大金を積んで連れてきたと聞いておる、じゃが千珠先生が力を使えるようになると邪魔になったようでな、虐待をしているところを怒った千珠先生の悪霊が襲ってしまって当主が死んでの、千珠先生は、8歳で当主になって藤狐寮に入れられたようじゃ、シェリーニの家族は梓州の田舎に引っ越したんじゃ、そして11歳になった時に学園で再会したんじゃよ」
「そうだったんですか、じゃぁ僕の母さんと仲良かったから助けようとしたのか」
「そうかもしれん、詳しいことは知らんがの」
思わぬ母親の昔話を聞いて千李は、驚いた。
そしてなぜ外人の母親が神華牡丹学園に通っていたのかと言う謎も解けた。
まさか千珠先生の使用人だったとは、
こうなるとなぜシェリーニを裏切って李薇の戦士になっていたのか、
脅されていたのか、操られていたのか、そうかもしれない、
刀激戦で負けなしで殺傷能力も高い悪霊操作の神華、
喉から手が出るほど欲しい戦士だっただろう、
こうなると千珠先生の話を聞きたい、千李は、そう思った。
藤の会の話が聞けなくとも、シェリーニの話や徐樹の話が聞きたい
そう思った。
李薇と繋がっている可能性もあるし、何故か嫌われている
けど話したいと思った。
「狗炎校長!お願いがあります!」
千李は好奇心でその願いを言った。




