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波乱万丈の魔術師  作者: 流星明
第1章 世に再び現れる英雄
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閑話1 ライラとヴェラ

ライラの一人称で小説を書いています。閑話は、一人称で書く予定です。

「ライラ、どうしたら良いかな? 領地経営なんて初めてだから、分からなくて」


この度、ダークエルフ族新族長となったヴェラ様が困った様子で質問してきました。私、ライラ=ベルクスは、彼女共にヴェネルセで領内の内政と鉱山関係の書類作成に追われています。


ヴェネルセの内政と書類作成に問題はありません。優秀な商人であるフィン様とイローナ様が運営してるので、後は間違いが無いかチェックするだけですから。目下問題なのは‥‥。


「ヴェラ様。ダークエルフ領の上層部は、国を治める能力に欠けすぎてますわ。徴税はどんぶり勘定で、記録も改ざんし放題。挙げ句に賄賂の多寡で政策が決まる。これでは、領主としての体をなしていません。魔王様が、セナ様を召還した理由の1つはこれなのでしょう」


「うぅ、調べれば調べる程にヤバい事が出てくるんだよ。セナ前族長の村だけが裕福で、後の村は困窮してるんだ。他の村のダークエルフ達に話を聞いたら、『今回の戦争が最後の賭けでした。もし、敗れたりした日には反乱起こしてましたね』って真顔で言うんだよ!下手な事して反乱起きたら、ダークエルフ自体が魔王様に見限られる。何とかしないと」


‥‥我が姉カミーラと同じ事をしてますね。ヴァンパイアも似たような状況に陥ってましたから。ちなみに私達の種族は、現在雇われの文官や会計監査官として、ヴェネルセやダークエルフ領内の内政に取り組んでいます。


砂漠が領地の為に、全うな仕事が無い私達をカレル様が雇って下さいました。本当に感謝しかありません。我々は夜が活動時間ですから、昼間残った業務をこなす日々。獣人や人間の方々からは、『徹夜仕事が無くなって助かる』と喜ばれています。


とはいえ、ヴェネルセ担当はまだしも、ダークエルフ領担当は悲惨みたいですね。業務状況を改善しようにも、現場でしないといけない事が多すぎる。仕方が無いのでメディアを派遣しましたが、上手くいったでしょうか?


「はあ、末期ですね。とりあえず、まずは本村の財産を元手に地方に活動資金を渡しましょう。その上で各地に産業を起こし、その産業から税金を納めてもらいます。今は税金を徴収出来ないと考えた方が良いですよ? 無理して徴税すると反乱待ったなしですから」


国内の問題を戦争で解決を図るのは世の常ですが、失敗したら目も当てられません。幸いヴェラ様は、カレル様やバラン様のおかげで、鉱山利権の一端を得る事が出来ました。これが無かったら、ダークエルフは詰んでましたね。


「えっと、その場合はどうすれば良いかな? 収入無いと何も出来ないよね。僕は、ヴァイツァー商会で出稼ぎしようと考えてるんだけど、足りる?」


ヴェラ様の考えでは、鉱山や陸と海の販路に潜む盗賊や海賊、魔物討伐。また、それによる収得物で領地の収入を賄おうとしていたみたいです。悪くはありませんが、盗賊や海賊はカレル様によって軒並み退治されてますし、鉱山の魔物もセリス様が倒す予定です。つまり、ヴェラ様が入る余地が無いんですよね。


「‥‥努力は認めますが、個人の収入で領地の資金を賄うのは不可能ですよ。我が姉にも、ヴェラ様並の甲斐性が欲しかったですね。となると、借金をするしか道はありません。ヴァイツァー商会はダークエルフ領に対し、資金を貸し出す準備があります。上限は、金貨1000枚。利子は年利2%です。仮に1000枚借りたとすると金貨20枚の利子を払わないといけません。1年過ぎれば、更に20枚支払いが増えます。ヴェラ様、どうしますか?」


「‥‥はあ、分かった。ヴァイツァー商会に借金する事を検討するよ。ところで、払えなかったらどうなるの?」


「その時は人や土地で払ってもらいます。土地は農業に使えますし、人は優秀なダークエルフは商会や領官として働き手として欲しいですから。まあ、顔だけの方々は色街行きでしょうね」


あっ、ヴェラ様の顔色が真っ青になりました。とはいえ、もしもそうなったら躊躇無く実行しますけど。慈善事業じゃないのだから、当然ですね。しばらく悩んでいたようですが、名案が浮かんだようで、ヴェラ様勢い良く椅子から立ち上がりました。


「そ、そうだ! その時は僕が身売りすれば良いんだ。カレルの妾になって‥‥うっ」


「そこまでです、ヴェラ様。なかなかの策士ですわね。自分の価値を知った上で高く売り付け、自分の愛しい方の側に近付ける名分を得る。悪い女です、貴女は」


「‥‥バレたか。正直、領地なんていらなかった。カレルと一緒に居れれば良かったんだ。でも、任されたからには何とかしないとね。カレルに認められる女になりたいから」


私は、魔剣をヴェラ様の喉に向けて突き付けてしまいました。カレル様をヴェラ様が好きなのは気付いてましたが、大胆不敵ですね。メディアからも忠告されていましたから、驚きは少ないですけれど。


『姫様。ヴェラの事を頭の悪い脳筋エルフと馬鹿にする輩が多いです。それはある意味事実ですけど、甘く見てると足許をすくわれますよ。彼女、知識面は駄目でも実践は強いですから。カレル様に対する、距離の取り方1つ取っても見事でしたし』


セリス様を失って10年もの間、カレル様は女を寄り付かせませんでした。レーナ様は例外らしいです。何でも見るに忍びない事情が有ったらしく、イローナ様とヴェラ様が認めたのだとか。


2人はカレル様と男女の仲になろうとせず、友人として接したと聞きます。その理由興味があるので、聞いてみましょう。


「ヴェラ様。どうして、カレル様と関係を持たなかったんですか? セリス様がいなかった時期は、またとないチャンスでしたのに」


「簡単だよ。そんな事したら後でセリスに殺されるし、何と言っても卑怯だろ? 恋敵が戦えないのに、横から奪うなんて自分の矜持が許さない。まあセリスも戻って来たし、今からは色々と仕掛けるつもり。もちろん、ライラ。君にも負けないからね、カレルの第2夫人の座は僕がもらうから」


不敵な笑顔で恋敵たるヴェラ様に、宣戦布告された私。不思議と負の感情が出てきません。人柄もあるのでしょうが、1番の理由はこれでしょう。あのメディアが親友と呼び、敵に回したくないと言わしめる実力者だからです。とはいえ、私も負けるつもりはありませんけれど。


「分かりました、私も負けませんよ。それはそうとヴェラ様、手が止まっています。領主としての仕事、しっかりして下さいね。色恋はそれからです」


「わ、分かってるよ。はあ、本当に何とかしないとな。メディアの調査報告受けてから、本腰入れて動かないと」













次回、メディアとレーナによるダークエルフ領の調査の様子を書きます。

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