第三十七話 強さの秘密
「じゃあ最後は僕だね…ステータスオープン」
「みんな、アヤトのステータスはパーティーメンバー以外には秘密にしてくれ」
ステータスを事前に伝えていたジェルマンは、メンバーに念を押す。
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Name:アヤト・クラシキ・ツェット
Level:7
Job:魔術師
HP:2310(2310)
MP:4790(4790)
ST:1010(1010)
IR:刀『虎徹』Aランク
筋力:460
物理攻撃力:375
物理防御力:350
魔力:855
魔法攻撃力:1050
魔法防御力:675
敏捷:445
運:120
スキル:黒魔術師Ⅳ
(炎のフレイムⅢ、水のフレイムⅡ、雷のフレイムⅣ、土のフレイムⅡ)
赤魔術師Ⅰ
(スリープ、インビジブル)
白魔術師Ⅰ
(ヒール、バリア)
加護:武術の加護Ⅹ、魔術の加護Ⅹ、検索の加護、闇光の加護、魔眼の加護
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『……………』
「…ということだ、みんな言いたいことは色々あると思う」
ジェルマンが腕を組みながら頷いている。
「…どこがって言う問題じゃないわね」
「うん。全部おかしい(リザ)」
「つえー。かっこいい(リリー)」
「ふーん(ルナ)」
「アヤトを師として仰ごう(ハナビ)」
「…アヤトの癖に生意気な(サーラ)」
それぞれ思い思いのことを口に出すメンバー。
若干おかしなことを言っている者すら居る。
そのあと数十分は質問攻めに合うのであった。
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「ふぅ…」
大きなため息をつくアヤト。
「そんな大きなため息をして、顔も青いままじゃない」
横を歩いているリザが話しかけてきた。
朝早くからダンジョン前に集合した『知識の宝庫』
探索許可証を提出して、1階層に降りる為の長い階段を降りている。
「…昨日お前達が質問攻めにするからだろ」
昨日は数十分に渡り、ステータスについて5人から同時に質問攻めに合ったのだ。
「あんたのステータスが規格外なのが悪いのよ、少しは自覚しなさい」
「だからって…」
「まだ聞きたいことは山ほどあるんだけど?」
「…すみませんでした」
口での戦いは分が悪いとみて、早々に謝罪を申し入れる。
「その辺にしておけ、そろそろ1階ホールに到着する」
ジェルマンが話を制すると、ようやく長かった下り階段が途切れた。
そこには天井の見えない大きなホールが広がっている。
常夜の世界が広がる地下。
上層階は明かりがちらほらと暗闇を照らしている。
「真っ暗ではないんだね」
「下層に進むほど既存の明かりは頼れなくなるらしい」
暗闇を照らしている松明はホールを抜けて通路に繋がっている。
地下には足音だけが響いている。
「案外静かなんだね」
「上層階はそこまでモンスターも多くないらしい」
静かな空間に会話がこだまして返ってくる。
「ここからは…ハナビ!先行してくれるか?」
「任せて」
先程とは打って変わって、足音は全く聞こえない。
「上層階はモンスターとの遭遇頻度も、トラップ設置も少ないが、気を引き締めていくぞ」
思い思いの返事をする一同は、武器を確かめる。
「ハナビの少し後ろに、前衛の3人が続いてくれ」
「一番後ろは…アヤト大丈夫だよな?」
「…もちろん。任せてくれ」
『知識の宝庫』の歴史が始まった。
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