第三十六話 Sクラスの実力
晴れ渡る空には雲一つなく、大きく翼を広げる鳥が目立っていた。
『知識の宝庫』の初ダンジョン探索の日だ。
「いやー探索日和だなこりゃ」
春の陽気を思わせる暖かい気温に穏やかな風。
「ダンジョンに潜れば地上の天気なんか関係ないだろ?」
風に乗せられて花の匂いが鼻をくすぐる。
「楽しみで昨日は全然眠れなかったよ!」
花の匂いなど関係ないと言わんばかりの女の子が気合いを入れている。
「…サーラ寝てなくて大丈夫なのか?」
飽きれるようにアヤトが問いかけている。
「むしろ感覚が研ぎすまされてて、いつもより絶好調!」
サムズアップしてくるサーラには、凄い頼もしさを感じる。
「みんなも調子は大丈夫?」
周りを見回すとアヤトの他に6人のパーティーメンバー。
「問題ない。体調は万全だ」
「だいじょーぶ!」
「それよりアヤトくんは大丈夫なの?少し顔色が悪いみたいだけど?」
その原因は昨日の出来事だった。
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「明日はいよいよ初のダンジョン攻略だ」
今日もジェルマンの取り仕切りでミーティングが行われていた。
「今日は何なの?明日の為に早く寝ようと思ってたんだけど?」
リザがジェルマンに突っかかってくる。
「落ち着けって、今日は各メンバーのステータスの共有をしようと思ってな」
ダンジョン探索の上で、パーティーメンバーのステータスを共有しておくことはよくあることだ。
それにより、戦闘中の仲間のHPや、残りMPからの魔法残弾などある程度の把握が可能となる。
命のかかった戦いでは、こういった些細な確認が大きな場面を左右する。
事前にアヤトとジェルマンは話し合い、仲間内で共有することにしていた。
「なるほどね…確かに重要なことですね」
「そういうことなら、いいよー!」
「じゃあ誰からにしようか?」
「とりあえず言い出しっぺの俺からでいいか?ステータスオープン」
ジェルマンは白いギルドカードを取り出す。
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Name:ジェルマン・ディー・フラメル
Level:3
Job:剣術士
HP:720(720)
MP:810(810)
ST:530(530)
IR:片手剣『騎士のサーベル』Cランク
筋力:125
物理攻撃力:90
物理防御力:85
魔力:92
魔法攻撃力:82
魔法防御力:66
敏捷:88
運:158
スキル:剣術士Ⅲ
黒魔術師Ⅰ
(雷のフレイムⅠ、風のフレイムⅠ)
赤魔術師Ⅰ
(ハイスト、ダウンスト)
加護:剣術士の加護Ⅲ、黒魔術師の加護Ⅰ、赤魔術師の加護Ⅰ
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「バランスの良いステータスだな」
「まぁ、特出したところが無いって言い方もあるがな」
せっかく褒めてやったのに、わざわざ卑下するジェルマン。
「じゃあ、次は私!ステータスオープン」
サーラがギルドカードをメンバーの中心に置く。
「私の強さに驚かないでよね!」
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Name:サーラ・クリケット・シュガー
Level:6
Job:剣術士
HP:1480(1480)
MP:420(420)
ST:770(770)
IR:片手剣『ブラックソード』C+ランク
筋力:230
物理攻撃力:220
物理防御力:180
魔力:55
魔法攻撃力:25
魔法防御力:55
敏捷:140
運:84
スキル:剣術士Ⅳ、槍術師Ⅰ
黒魔術師Ⅰ
(炎のフレイムⅠ)
赤魔術師Ⅰ
(バーサク)
自然治癒
加護:剣術士の加護Ⅴ、槍術士の加護Ⅱ、赤魔術師の加護Ⅰ、自然治癒の加護
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「わぁ…強いと思ってたけど…」
「凄いね…」
メンバー内から驚きの声が漏れる。
「まぁ、まだまだユリカさんには届かないけどね!」
「…脳筋共」
自慢げに胸を張るサーラに、小さくつぶやくアヤト。
「サーラちゃんには負けちゃうけど、ステータスオープン!」
リリーがステータスを表示させ、サーラのカードの上に載せる。
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Name:リリー・クロ・ホーバット
Level:4
Job:格闘士
HP:1080(1080)
MP:280(280)
ST:730(730)
IR:ナックル『ダイヤモンドナックル』C+ランク
筋力:390
物理攻撃力:340
物理防御力:300
魔力:40
魔法攻撃力:25
魔法防御力:35
敏捷:210
運:85
スキル:格闘士Ⅴ
黒魔術師Ⅰ
(風のフレイムⅠ)
テレパシー
加護:格闘士の加護Ⅴ、精神感応の加護
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「これは私の、ステータスオープン」
リリーのカードと並べるようにルナがカードを提示する。
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Name:ルナ・クロ・ホーバット
Level:4
Job:拳闘士
HP:980(980)
MP:330(330)
ST:710(710)
IR:ナックル『ボルトナックル』C+ランク
筋力:385
物理攻撃力:320
物理防御力:320
魔力:100
魔法攻撃力:85
魔法防御力:35
敏捷:200
運:115
スキル:格闘士Ⅴ
黒魔術師Ⅱ
(雷のフレイムⅡ)
テレパシー
加護:格闘士の加護Ⅳ、黒魔術師の加護Ⅱ、精神感応の加護
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「私たち2人は同じ加護が付いてるの」
ルナとリリーの加護には、『精神感応の加護』が記載されている。
その加護のスキルだろう『テレパシー』が出現している。
「お互いの考えていることがテレパシーを通じて読み取れるの」
「だから私たちのコンビネーションはばっちりだよ!」
この2人は手と足で直接攻撃するスタイルで間合いも一緒だ。
超近接攻撃タイプはコンビネーションが重要となる。
双子ならではの特殊スキルだ。
「ねー試してみてもいい?」
「いいよ!」
サーラがリリーの耳元でコソコソと何か伝えている。
「今、私が言ったことをルナに伝えてみて!」
「わかった!」
そう言うとリリーが目を閉じる。
「…これ言ってもいいの?」
「いいよ!」
「じゃあ…アヤトくんはつい最近までお漏『わーわーわー』」
ルナの会話を途中で強引に遮るアヤト。
「おい…サーラ、あとで覚えてろよ!」
珍しくサーラに強気なアヤト。
「いいのかな?あんなことやこんなこと…言いふらしちゃうよ?」
「申し訳ございません。口答えいたしません」
「よろしい!」
あっという間に元の関係に戻ってしまうアヤトであった。
「…そろそろ本題に戻して良いかな?」
ジェルマンが話題を切り替える。
「では、次は私の…ステータスオープン」
ハナビはゆっくりとギルドカードを差し出す。
「私のも少し特殊な加護とスキルがある」
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Name:ハナビ・リン・スコット
Level:3
Job:双剣士
HP:535(535)
MP:720(720)
ST:630(630)
IR:双剣『蒼と紅の双剣』Bランク
筋力:75
物理攻撃力:75
物理防御力:45
魔力:80
魔法攻撃力:80
魔法防御力:55
敏捷:320
運:110
スキル:双剣士Ⅲ
黒魔術師Ⅰ
(炎のフレイムⅠ、水のフレイムⅠ)
影法師
加護:双剣士の加護Ⅳ、黒魔術師の加護Ⅰ、影の加護
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ハナビの加護には「影の加護」というものがある。
「これは特殊加護らしく、前例は無いらしい」
「この影法師ってのはどんな能力なんだ?」
「影法師は…このように自分の影を自在に動かせるのだ」
ハナビが能力の説明をすると、黒い人形の物体が現れる。
「1人で2人分とは…なかなか便利なスキルだな」
「でも、まだ長時間維持できなかったりするから鍛錬が必要」
前例の無い加護には未知なところが多い。
鍛錬次第ではより有能なスキルとなるだろう。
「なんか…こんなにみんなが凄いと出しづらいんだけど」
「リザ…お前のスキルも立派なもんだよ!自身持てって」
「うぅ…わかったよ。ステータスオープン」
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Name:リザ・ワード・アレイスター
Level:3
Job:槍術士
HP:920(920)
MP:620(620)
ST:440(440)
IR:メイス『アイアンメイス』Cランク
筋力:285
物理攻撃力:270
物理防御力:185
魔力:80
魔法攻撃力:70
魔法防御力:65
敏捷:70
運:55
スキル:槍術士Ⅲ
火炎のフレイム
錬金術
加護:槍術士の加護Ⅲ、火炎の加護、練金の加護
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「おっ!リザも特殊加護あるじゃんか!」
リザのステータスには2つも特殊な加護が表示されている。
「でも、ドワーフ族なら火炎の加護は殆ど持ってるし…」
武具の名工を多く輩出しているドワーフ族。
鉱石を温める際に、その炎を操る力に長けている。
「でも…もう1つの錬金術ってのが、全然使い方がわからなくて」
アヤトには見覚えのある加護。
「その加護なら僕の知り合いに全く同じ加護を持ってる人が居るよ」
「えっ!本当なの!」
いきなり近寄ってきてアヤトの両手を握ってくる。
「ああ…リザも知っている人だよ」
「だれ?誰なの?早く教えなさいよ!」
「うーん。ここまで言っておいてあれだけど…本人に許可を貰わないと」
「えー!そこまで言っておいて…」
項垂れるリザは明らかに落ち込んでしまった。
「その人なら理由を話せばわかってくれる人だと思うよ」
「ほんと?」
「ああ…近々会うこともあるだろうし聞いてみるよ」
「絶対よ!」
「ああ、わかったよ」
アヤトの頭の中には忙しそうにしているウタの姿があった。
(ウタさん…良い人だからな。お願いしたら余計な負担にならないかな)
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