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知識の宝庫〜異世界で上を目指す方法〜  作者: あやた
第2章 学園〜小等部〜
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第三十五話 ミーティング

次の日、エマからダンジョン探索の許可証を受け取った。


「これで最初の問題はクリアだな」


「ああ…次はどのダンジョンに挑戦するかを決めないとな」


学園内には複数のダンジョンが存在する。


ダンジョンによって出現モンスターや難易度も違えば、階層数も違う。


自分たちに合ったダンジョンを選択するのも重要となる。


「それじゃあ、初ミーティングでも開こうか?」


「そうだな。じゃあメンバーは俺が集めておこう」


「じゃあ、また放課後で」


そういって、地獄のリングに上がっていくジェルマンの背中を見つめるアヤト。



ーーーー



「第1回『知識の宝庫』ミーティングを始めようと思う」


この場を仕切るのはジェルマンである。


なぜリーダーのアヤトが仕切らないかというと、単純に恥ずかしいからだ。


こんな人前で話すのもままならないアヤトには、仕切ることなど到底無理だ。


入学式では、なぜ堂々と挨拶できたのか?


加護の力を使い、原稿をひたすら読むということで乗り切れたのだ。


「じゃ、まずは…無事に探索の許可は下りた」


「やった!いつ行くの?明日?明後日?」


「そんな直ぐには行かないよ」


机に身を乗り出すリリーを制するアヤト。


「そうだ、まずはどのダンジョンに潜るか決めようと思う」


ジェルマンが話を進行させる。


「なるほど…既に候補は絞っているのか?」


「ああ、初心者向けの低層のダンジョンをいくつか候補にしている」


ハナビの質問に、既に候補をピックアップしているとのことだ。


(やっぱりジェルマンがリーダーやった方がいいんじゃないかな?)


「まずは1番手頃なものだと、最下層が3階のダンジョン」


「やだ、つまらない!」


ジェルマンの候補を即座に潰してきたサーラであった。


「…サーラつまらないってなんだよ?」


「だって3階層じゃ階層主が居ないじゃない!」


ダンジョンでは5階層ごとに階層主が存在する。


階層主は1度討伐された後に、一定期間経過すると再出現する。


階層主という存在は、他のモンスターと比べ強さは格段に上がり、イレギュラー性も発現する。


強さが上がり、イレギュラーということは、その分危険性が倍増するということだ。


「…ってことは5階層以上が良いってことか?」


「10階層でもいいんじゃない?」


「それは危険すぎるから却下だ」


「い・や・だ」


そこから全く折れないサーラにリリーも加勢してきて収集がつかなくなってきた。


「じゃあこれならどうだ?」


「…最下層が23階のこのダンジョンは、上層階はそこまで強いモンスターは出てこない」


「それに今回は週末2日間という期限付きだから、そこまで長くは潜れない」


少しばかりサーラが大人しくなる。


(よし、このまま畳み掛けるぞ…がんばれジェルマン!)


意気込みだけで実際に話し合うのはジェルマンに丸投げだ。


「期間が決まっているから、行けるところまでってことでどうだ?」


「…わかった」


「ふー…潜るダンジョンを決めるだけでも一苦労だな」


「みんなもこのダンジョンでいいか?」


今回あまり発言をしなかった3人にも同意を求める。


「私たちは構いませんよ」


3人を代表してルナが答えてくれる。


「よし、じゃあ次はいつ行くかだが『今週末!』」


ジェルマンが話し終わる瞬間にサーラとリリーが答えた。


アヤトとジェルマンは目を見合わせて「抵抗しても意見は変わらない」とお互いに意思を通わせる。


「…じゃあ今週末、4日後ってことで」


「だいたいの必要物資は用意して、マジックバックに入れてある」


この世界ではマジックバックは貴重品だ。


ダンジョンのレアドロップ品でしか見つかっていない。


それをなぜアヤト達が持っているかというと…


「これはユリカ姉さんが貸してくれたんだ」


そう言って黒くて小さな何の変哲も無いバックを取り出した。


「なにか持っていくもので邪魔になりそうなものがあったら、前日までに僕に預けてくれ」


こうして第1回『知識の宝庫』のミーティングが終了した。


(最初っからこんなんで大丈夫なのかな…)



ーーーー


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