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知識の宝庫〜異世界で上を目指す方法〜  作者: あやた
第2章 学園〜小等部〜
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第二十三話 シスコンの悪魔

「さすがは主席ともなると、なかなかだね」


そう言って笑顔で握手を求めてくる男の子。


「僕はジェルマンよろしくね。アヤト君」


彼は『ジェルマン・ディー・フラメル』同じSクラスの数少ない男の子だ。


教室での自己紹介によると、ジェルマンは騎士爵家の長男らしい。


1代限りの名誉騎士爵として領地も持たない家柄とのことだ。


「こちらこそよろしく。アヤトでいいよ」


「そうか、ではそう呼ばせ貰うね」


「ジェルマンは平民風情と仲良くしてても大丈夫なの?」


アヤトが嫌味を混めて握手を返す。


「ははは。貴族がみんなブラビアみたいな貴族じゃないし、僕の家は一代限りだからね」


そんなことを言うジェルマンは金色の短髪でイケメンだ。


その青い瞳に見つめられた女の子の中には、彼に一目惚れをした子も居るのではないだろうか?


「まったく…あの子はなんであんなに喧嘩腰なんだ?」


「ブラビアは大族の血が流れる自分たちが偉いと思っているんだろう」


「それに今までどんなことも負けずに生きてきたんでしょうね」


横から新たな女の子が話に入ってきた。


「私はリザ。よろしくね!」


彼女は『リザ・ワード・アレイスター』ドワーフ族の女の子だ。


見た目は普通の、赤髪の女の子。


細身の身体からは想像のつかない武闘派だそうだ。


そんな彼女からも笑顔で握手を求められる。


「こちらこそお手柔らかに…」


不気味な笑顔と思ったアヤトの手は静かに握りつぶされた。


「あれ?ようやく終わったみたいよ」


散々叩きのめされたブラビアからは、先程までの威勢が消えていた。


「どう?これでわかったかしら?」


「今日は調子が悪かっただけよ…」


さすがのサーラも飽きれている。


「はぁ…ジェルマンからもなんとか言ってくれよ」


「バカ言うなって、無理に決まってる」


「同じ貴族だろ?」


「あっちは純血の大族の血が流れている貴族様、僕とは偉い違いさ」


一向に解決しない問題に嫌気がさしてきた一同、その時だった。


「自室にも教室にも居ないと思ったら…こんなところに居たのね」


アヤトの後方から先程も聞いた声が聞こえてきた。


「ユリカ姉さん、入学式以来だね」


「アヤトくーん!」


ユリカは闘技場の観客席上方からアヤトめがけて飛びついてきた。


「姉さん…恥ずかしいし、痛いよ」


まだ発達していない胸で弟の頭を抱きしめる。


入学式の時の凛々しい姿ではなく、今はただの姉…いや『シスコン』だ。


「…姉さん、痛いって」


久しぶりに会った弟の必死な声は…姉には届いていない。


そんな姉はというと…抱きしめる弟の髪の匂いを楽しんでいた。


「ユリカちゃん、アヤトくんの頭が割れちゃうよ」


意識が遠のいてきたアヤトの命を救ってくれたのは、懐かしの『ウタ』であった。


「…ウタさん、助かりました」


「怪我をして治るのは闘技場のリングの上だけだからね」


そんな冗談をいいながら、ユリカをアヤトから引きはがしていく。


「アヤドぐん…あいだがっだぁー」


引きはがされたユリカの顔は涙に鼻水でグチャグチャだった。


「姉さん…本当にお久しぶりです。これからまた一緒ですね」


姉からの過剰な愛情に、若干顔を引きつらせる。


「アヤトくんに会いに行くと、教室を飛び出していったので、心配で追いかけて来て正解でしたね」


「ウタさん…さすが姉さんの事よくご存知で」


「そりゃね…3年間も一緒だし、その間にどれだけアヤトくんのことを聞かされたか…」


「なんだか…すみません」


「いや、いいんだよ。アヤトくんは悪く無いんだしね」


「アヤトくん、もうオリエンテーションは終わっているでしょ?私が部屋に案内するね!」


泣きじゃくっていたユリカが復帰して、アヤトの手を引いて闘技場を出ようとする。


「待って姉さん、まだクラス代表が決まってないんだ」


足早に闘技場を後にしようとするユリカの足を止める。


「どうして?主席のアヤトくんがやるのが当たり前でしょ?」


「それが…ブラビアって子が…」


これまでの経緯を説明していくアヤト。


(姉さんにチクったような形になったけど、全然諦めないブラビアさんにも非があるよね)


ブラビアのおかげで、オリエンテーションの時間が押してしまい、闘技場での模擬線になってしまったことを伝えた。


「アヤトくん、待っててね」


アヤトに笑顔を送り、リングに向かっていくユリカ。


「大丈夫かなあの子…」


「ヤバいですかね…」


ブラビアの安否を心配するアヤトとウタ。


「あ!ユリカさん!お久しぶりです!」


リングの上に上がってきたユリカに、サーラが近寄ってくる。


「サーラちゃん久しぶりね!強くなったかしら?」


サーラの頭を撫でながら、ブラビアに近寄っていく。


「あなたが、アヤトくんの邪魔をしている方かしら?」


ユリカの表情・態度が先程のシスコン状態とは打って変わって凛々しい者となっていた。


「な、なによ!」


「あなたが、私のアヤトくんに邪魔をなさっているのかしら?」


ブラビアの耳元でつぶやくように威嚇している。


「だって…」


『ドゴッ!』


鈍い岩が砕けるような音が闘技場に響く。


「アヤトくんは、私の大切な弟よ…あなたが勝てるような相手じゃないの」


「わかった…か・し・ら・?」


もはやブラビアは声に出すことが出来ずに、首を前後に激しく振っている。


「よかったわ、今後ともよろしくね」


この日、ブラビアには忘れられない記憶として、一生背負っていくこととなる。



ーーーー


作者は時間のあるときに執筆しております。

可能な限り、1日1話は更新していこうと思います。


いよいよ主人公が学園で暴れていきます。

それに合わせてサブキャラも引き立てていけるように構成していきます。

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