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知識の宝庫〜異世界で上を目指す方法〜  作者: あやた
第1章 幼少期
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第十二話 神殿



「早く!早く!」


ユリカがウタの手を引っ張って人ごみをかき分けていく。

「こら、あんまり先に行くと迷子になるぞ」


空いたもう片方の手には串焼きを持って走っていく。


(ほんとユリカ姉さんは…もっとウタさんを見習えって)


綾人は今まで、ユリカとサーラくらいしか歳の近い子供を見ていなかった。


(こっちの世界では子供は、ユリカ姉さんとかサーラみたいな人ばっかりかと思った)


やたらと元気のいい脳筋ユリカに、会うと赤ん坊ながらに綾人の髪をつかんで引っ張ったり、叩いて遊んでくるサーラ。


(ウタさんは大人しくてやさしそうだなぁ)


こんな兄さんが欲しいなと思ってしまう綾人だった。


(しかし…でかいな。これが神殿か)


目の前にそびえ立つ建物は、高層ビル程の高さは無い。


しかし、その存在感は異様だった。


(…本当に神様でもいるんじゃないかな?)


大部分が濁った白い石で作られており、高さの違う塔がいくつも立ち並び、不規則に並んでいる。


ステンドグラスの様々な色合い、幾何学的な模様、神秘的な何かを感じる。


「久しぶりに来たなぁ。祭司さんまだいるかな?」


ロドフとリーナの2人は懐かしそうにしている。


神殿の大きな門をくぐると、中にいた人々は一様に天井を見上げていた。


「わぁ…すごい」


ユリカがそう言ったのも頷ける。


神殿の天井は見上げるほど高く、そしてそこには神秘的な空と神々が描かれている。


(…昔のこういった建造物って凄いよなぁ)


綾人も思わず感心してしまう。


「きゃっ」


上を向いたまま歩いていたユリカは、女性にぶつかった。


「だいじょうぶですか?」


肌に吸い付くような真っ白な修道着に身を包んだ女性。


「あっ、ごめんなさい!」


「うちの子がすみません。ちゃんと、前を向いて歩きなさい。」


軽くユリカの頭を小突き、リーナが謝罪する。


「大丈夫ですよ。お嬢ちゃん気をつけてね」


優しく微笑み返す修道女さん。


(かわいいなぁ…)


綺麗な黒髪で大きな瞳が印象的な女性。


「ホージ司祭はいらっしゃいますか?」


「はい、今の時間帯ですと…アートラス様の祝福の儀で中央祭壇にいらっしゃるはずです」

「ありがとうございます」


「丁度いいな!じゃあさっそく祝福を受けに行ってくるか」


ホージ司祭とは面識があるのだろう、ギルドSランクはさすがに顔が広い。


門から入り通路をそのまま直進していくと、一際開けたホール出た。


ホールには明るい陽差しが差し込んでいて、奥にある祭壇を照らしていた。


(…お?何か奥でやってるな)


祭壇には男の子が横になっており、司祭と思われる人物が祝詞をあげている。


「ちょうど他の子がやっているわね」


その時だった、男の子の身体が柔らかい光りにつつまれ、だんだん光が小さくなっていく。


5秒程して光が完全に消えると、司祭が男の子を抱き起こす。


男の子が目を覚まし、一言お礼を述べると、男の子は駆け出し家族のもとに戻っていく。


「お久しぶりです。ホージ司祭」


ロドフとリーナが司祭のもとに歩いて近寄る。


「おーこれは、ロドフ殿にリーナ殿。お久しぶりですな」


「ホージさんお変わりないようで」


「ほっほっほ。そんなことはありませんよ、もう歳でこの役割も続けてもあと数年でしょう」


「そんな風には見えないけどな!」

「ありがとうございます。して、本日はどのような御用かな?」


ホージ司祭はユリカとウタを見つけて、見当をつけた様子で優しく2人の頭を撫でてきた。


「今日はその2人に祝福をお願いできればと思いお伺いいたしました」


「おや、お二人はお子さんが3人もいたんでしたかな?」


「いえ、男の子はウタ君といって、お世話になっている方のお孫さんです」


「うちの子はこっち、ユリカご挨拶を」


ユリカはお辞儀をしてから

「はじめまして、ユリカです。司祭様、今日はよろしくお願いします」


「はじめまして。ウタ・フレー・トラバースと申します。」

ペコっと可愛らしくお辞儀をするウタ君。


「ご丁寧にありがとう。よろしくね」


「こっちはアヤトっていうんです。この子は3年後にお世話になりますので、そのときまでホージさん頑張ってくださいね」


「ほっほっほっ。3年後ですか、それまでなんとか頑張らないといけませんな」


「ホージ司祭なら大丈夫っすよ」


(よろしく頼みます!)


心の中でお願いをする綾人であった。



ーーーー



「それでは準備は良いかな?」


大きくゆったりした祭壇は大人が横になっても十分の広さがありそうだ。


「はい。お願いします」


てっきりユリカが先にいくのかと思いきや、横になっているのはウタだった。


(ユリカ姉さん…直前でビビったな)


ーーーー



「では、ユリカ殿前に」


ホージ司祭は優しく微笑みかけてユリカを手招く。


「……ウタ。先にあなたが行きなさいよ」


「え?ユリカちゃんあんなに楽しみにしていたのに…」


「いいから、先を譲ってあげるって言ってるんだから早く行きなさいよ!」


(うん、さっそくウタさんはユリカ姉さんの尻に敷かれ始めてる…頑張れ)



ーーーー



そんなやり取りがあったなか、怖がる様子も無くウタは祭壇に横になる。


「だいじょうぶよね…」


ユリカが心配そうに見つめる。


(姉さんが行かせたんじゃないか…ウタさん案外度胸があるんだなー)


「大丈夫よ、心配しなくても」


ユリカはリーナの腰に抱きつく。


「では、始めさせていただきます。……………」


ホージ司祭は祝詞をあげ始めた。


すると少ししてウタの身体が3回程柔らかい光に包まれる。


「…………無事に終えました。おつかれさまです」


ウタがゆっくりと目を開けて身体を起こす。


「加護が3つも付きましたよ。良かったですね」


「おー3つも付いたのか!すげーな!俺も3つだからな」


ロドフが少し大きな声で褒めている。


すると、周りが少しざわざわと騒がしくなる。


「…加護が3つですって、加護3つか…うらやましい…珍しいな…しかし組み合わせや内容によるさ」


(加護が3つって言うのは貴重みたいだな、少し皮肉の声も混ざっているが)


「司祭様、アートラス様…ありがとうございます」


ウタは少し嬉しそうに祭壇から降りてくる。


「何3つも加護を貰ってるのよ…」


ユリカはウタに睨みを利かせている。


もしかしたら自分より数の多い加護を受けたウタに嫉妬しているようだ。


「さぁ、次はユリカ殿の番ですぞ」


呼ばれたユリカは手と足が同時に前に出ている。


(姉さん…相当緊張してるんだな)


「さぁ、こちらに横になってください」


祭壇に横になるユリカが白い陽の光を浴びる。


すると、陽の傾きが代わりステンドグラスを通すことにより、いくつもの色の輝きを放つ。


「おおぉ。ユリカ殿はアートラス神に愛されておりますな」


「では、始めさせていただきます」


ゆっくりと目をつぶっていくユリカの身体からは力が抜けていく。


「………………」


「すごい…」


周りにいた人たちや、修道女の人たちから声が漏れる。


ユリカの身体は優しい光に包まれている…ここまではウタたち他の子と変わらない。


(…ずっと輝いてるな)


光が消えること無く、淡く輝き続けている。


「………………無事に終わりました」


「ユリカ殿は本当に神に愛されておりますね。きっと日頃の行いが良いのでしょう」


(…いや、司祭様。そんなに行いは良い方では無いと思うぞ)


するとようやく光がユリカの身体に消えていく。


「……どうだった?」


本人は気づいていないようだ。


「いくつの加護がいただけたかはわかりません」


ユリカの表情が暗くなり俯いてしまう。


「大丈夫ですよ、ユリカ殿。私も初めて見るくらいの輝きでした。さぞかし良い加護を授かったと思いますよ」


ホージ司祭のその言葉に一転し明るい表情になる。


「ありがとうございます!」


お礼を言って、祭壇から飛び起きる。


「さすが我が娘だ!」


周りからのざわつきが未だに収まらない。


「ロドフ殿、よろしければ私の私室にいらっしゃいませんか?」


「そこでギルドカードの書き換えとステータスを確認することが出来るので、よろしければどうぞ?」


「そうですね。王立図書館に行かなくても更新できるならぜひともお願いいたします」


(王立図書館か…ぜひとも行ってみたいな。どんなもんかな?)



ーーーー



[ 王立図書館 ]検索


アインスト王国最大の図書館

所在:アインスト王国首都アインハート

その蔵書総数は億を超えるとも言われている

日々、増えていく蔵書は魔法により守られており、破れることも無く、燃えることも無い


王立図書館ではギルドカードの管理も行っている

ギルドカードに記載されている個人情報に変更があった場合には速やかに変更をする

ステータスの更新は任意となる


ギルドカード

表=個人情報

裏=ステータス



ーーーー



(ふむ…なんだか市役所みたいなこともしているんだなぁ)



ーーーー


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