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出発点

最終章 出発点・強さ


この日から風駕は普通に生活するようになった。

さちこもいるものように、風駕と話すようになった。

それを見ていた風花は、その様子と前の様子も比べて少し考えた。

(何か・・・違う・・・)

だがそれはさちこと風駕が話しているとき、それを聞いて簡単に合点がついた。

(話し方が違う・・・)


風花は風駕に聞きに行った。

「ちょっと、あんた大丈夫なの?ずっと籠もってて、立て籠もり犯として警察に通報するとだったよ」

それを聞いて、風駕は苦笑して言った。

「そう?ならもう少し籠もって、騒ぎを起こせばよかったかな?いやー、残念、残念」

「このバカッ!!」

と言うのと同時に風花は泣き出した。

「本っ当にバカァ・・・・」

「ごめん・・・・」



さちこは風花に尋ねた。

「・・・おパパ・・・話し方変えたね・・・・」

「そうだね・・・・」

「私の・・・せい?私があんなこと言ったから?」

風花はさちこを見て言った。

「あんたはそう思ってんの?」

逆に尋ねられた。

「思ってるから言ってんの!!」

「なら、そうなんじゃない?」

さちこは俯く。

「でも・・・」

風花は静かに言葉を紡いだ・・・

「でも、風駕はそう思ってないと思うよ?」

「え?どういう・・・」

「たぶん、今までの思いが全部出たから・・・だから、此処を新しい出発点としていこうと思 ったんじゃないの?」

風花はさちこの頭を撫ぜながら言った。

さちこは風化の言葉から疑問を持ち出して聞く。

「なんで・・・わかるの?そんなこと」

風花はさちこの頭に手を置いたまま、しゃがんで目線を合わせた。

「そりゃ勿論、夫婦だから」

さちこはまたさらに俯く。

それを見た風花は哂う様にして言った。

「あんた、頭でかくなったね」

「なっ!!!!」

さちこはがばっと顔を上げ、頭の上にある風花の手を払いのけた。

風花はそれをみて笑っていった。

「ほら、元気が出た。明日からもがんばりなっ」

それを受けさちこも笑う。

「うん。私は明日を出発点として頑張る」



今日、さちこは不安だった。

(お父さん、来るかなぁ・・・・)

さちこの結婚式は小さかった。

お金が無い・・・わけではない。

自らそう望んだ。

司会者も無く、料理も出なければケーキも無い。

ただ形だけの結婚式だ。

だが、いちよう新婦と両親の話はある。

集まるのは、家族と身近な親戚だけ。


「えーっと、本日はおそらくお忙しい中ありがとうございました。」

新婦、さちこのスピーチが始まった。

「えー、私は先ほど1つうそを言いました。私の父は病気でこの場にいないのではありません」

会場がざわつく。

「私が"来るな"と言ってしまいました。私がそういった日は、父に婚約の話をしたときです。そのときは本当に"来るな"と思いました。その日から父とは顔を合われなくなりました。父は心の病気を負っています。私があんたことを言ってしまったので・・・」





バタッ!!!





スピーチの途中で会場の扉が開いた。

皆そのほうを向く。

「父さん!!」

さちこが叫ぶ。

風駕は深く頭を下げ、言った。

「遅くなってすみませんでした。スピーチを続けてください」

促されさちこはスピーチを始めた。

「私があんなことを言ってしまったので余計病が深くなっていったのでしょう。それも、そのはず。いや、そうでなければおかしいほどです。父は目の前で私の姉が殺されたのですから。」

会場がざわざわと鳴る。さちこはかまわず続けた。

「ですが、昨日です。昨日父が一週間ぶりに出てきました。その時、私は父の強さよ知りました。いろいろな思いを打ち絶って、やっと自を出すことが出来たのです。」

さちこはちらりと父を見る。

「そして、父が昨日を新しい出発点としたように、私は今、この場を持って出発点とします。いま、私は父が私の父と言うことを誇りに思います。そして強い父を尊敬し大切にしたいと思います。」

風花、途中で来た風駕は目を閉じてさちこのスピーチを静かに聴いていた。




END

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