思ひ出
第3章 思ひ出
さちこの父風駕は自分の部屋から一歩も出ない生活をしていた。
その間、風駕はずっとアルバムえを見ていた。
昔、風駕はいつもカメラを持ち歩いていた。
あの日…あの日もカメラを持っていた。あの写真が、さちこの姉の最後の写真だった…‥・
いつものように部屋の中から窓の外を写していた。
その日は、姉と風駕。2人だけだった。
急に姉の悲鳴が聞こえた。
何事かと思って、障子の隙間からそっと見てみると、さちこの姉が誰かに襲われていた。
風駕は、ただ、見ていることしか出来なかった。
そして無意識にカメラを向ける。
その瞬間、姉が血だらけで障子に倒れこむ。
風駕はほぼ反射神経というべきような感じでカメラのシャッターを押した。
風駕はその写真を見る。
写真は真っ赤だ。
さちこの姉が血だらけで大アップで写っていた。
風駕はぎりっと唇を噛んだ。
なぜあの時自分は助けようとしなかったんだ…
次にさちこの写真を見た。
笑顔で・・・大アップで写っている。
−結婚式には…こないでくれる?−
さちこの言葉が脳裏で鮮明に甦る。
今までの楽しい思い出はもう帰ってこない。それはもう判っていること。
なのに願ったしまう。
またそのような時期がきてほしい…っと
古いアルバムをめくる
その写真は総てヒトの笑顔。
その笑顔を見ている間に、それが映像をなって流れる。
今まで心の中に詰まっていたいろいろな
"何か"
が涙となって流れ出す。
風駕は声がかれるまで叫び続けた。
過去の自分と、今の自分に一線を引くように。
その声は、さちこの心まで届いた。
「やっぱり・・・かわなければ・・・」




