王都では…
ノワール達の言う『スキル』と言うものは『職業』と捉えても間違っていない。
『スキル』が発現するから『職業』が決まるのだ。
明確な違いがあるとすれば『スキル』は確かなものだが『職業』は周りからどう判断されるかによって違ってくる。
例えばザールの《剣聖》のスキルは『職業』と同等であると言える。
だが、《剣聖》の職業の中にどのような『スキル』があるのかは本人しか分からないだろう。
ザールは物思いに耽っていた。
ノワールが迷宮に行った時から孤児院の子供達の世話をしている。
「でもこのままでもダメだよな。」
孤児院の子供達には将来自立させるための力が必要だった。
ロレスは筋が良かったので学校に行かせたが……。
「冒険者の街に行くしかねぇかな……。」
正直王都よりも冒険者の街の方が人手が足りない状態だった。
「近頃は何か変な地震が起こってるし……。テレーゼに相談しようかな。」
ザール自信もテレーゼに相談してもロクな返事が帰ってくるとは思っていなかった。
しかし、1人で決める事柄でも無い。
「しょうがない……。」
気乗りはしないがテレーゼに相談するために立ち上がり歩いていった。
「おう、テレーゼ。まだ寝てんのか?」
テレーゼの借りている宿まで行くとまだ起きていない様だった。
恐らく寝ている、と判断した。
「う……うーん、入っていいよー。」
ザールは部屋に入るとテレーゼがベットに腰掛けているところだった。
「お前に相談なんだが……孤児院の子供達を冒険者の街に移動させたいんだが、どう思う?」
「………いいんじゃない?あっちのが住みやすいし職人も沢山いるし、人手も足りてないし。」
思ったよりもまともな返事が帰ってきてザールは驚く。
「わかった。やっぱりそうしようか。テレーゼ依頼できるか?」
「何で私?」
テレーゼは少し頭を傾げる。
「近頃変な地震があるだろ?あれを調査したいから少し王都を離れたい。」
「あー、あの忌々しい地震ね。あれのせいでよく眠れないから……早く解決してね?」
「あ、ああ。わかってる。」
ザールは部屋を出ていこうとするとテレーゼが喋り始めた。
「あの地震は自然のものじゃない。多分、人工的か……それとも魔物によるものか、判断はつかないけどあれだけの地震だから……。人工的なら相当やばい。魔物なら……そうだね、龍ぐらいはいそう。」
「そりゃ参考になる。気をつけるとするよ。」
テレーゼの分析はいつも正しい。生粋の弓士だがその中に風を操るスキルも存在する。
自然と共に生きていたのがこのテレーゼという英雄だった。
「探せるなら《魔神》を連れていった方がいいかも。ノワールのいない今だと貴方には荷が重い。」
「《魔神》か……。見つかるわけないだろ?あの変人が。」
「それもそうだね。……だけどそれぐらい注意してね?」
ザールは頷くと今度こそ部屋を出ていった。
「そうだね。私の予想だと王都にかなり近い気がする。早めに動かなきゃ……ね。」
テレーゼは支度すると孤児院へ向かった。
子供達を冒険者の街に送り届けるために。




