勘違い
「なんでここにロレスが……?」
今のロレスの状況はおかしい事が多すぎた。
何故ロレスが学校にいるのか?
何故王子と一緒にいるのか?
それらをロレスに聞くために俺は外に向かった。
ロレスがいる所に着くと声をかけた。
「なぁ?ロレス……?だよな?」
恐る恐るロレスに声をかける。
「え……?はい、そうですけど……」
キョトンとした表情で俺に答える。
「え……?」
俺は思わず声を出した。
ロレスとは一緒に暮らし、生き延びるための技術を教えていた。
それが知らないような反応をされたのだ。
「誰でしょう?」
この一声で俺のガラスの心は砕け散った音がした。
落ち込んでロレスの元を離れた。
気分的にはそのまま消えていなくなってしまいたいぐらいだった。
「誰あれ?あの『英雄の弟子』に声かけるとか。何様?」
「だよな。頭可笑しいんじゃない?」
クスクスと周りからバカにされながら歩く。
「まて……『英雄の弟子』?」
確かに俺は『英雄』とは呼ばれていた。
だがロレスや孤児院の子供にはその事は教えていない。
では何故『英雄の弟子』?
思い当たる人物が2人ほどいるが……あいつらがロレスを引き取ったのか?
「それにしても凄いよな。『星降りの英雄』と『流星の英雄』の弟子だろ?魔法も凄いらしいが剣の腕はもっと凄いらしいぞ。」
世間話を盗聴しているととんでもない単語が出てきた。
「は?『星降り』と『流星』?」
この二つ名とも言うべき単語には覚えがあった。
この二つ名は騎士団長時代の時のザールとテレーゼの二つ名だった。
ザールが『星降り』。
テレーゼが『流星』だった。
本人達は嫌がっていたが俺が煽って諦めさせた二つ名でもあった。
「という事は……本当にあの二人が?」
ブツブツと呟きながら廊下を歩く。
ふと横を見ると硝子に映る少年がいた。
「………あ。」
ノワールはすっかりとあの神様によって飲まされた霊薬によって若返ったことを失念していた。
「あぁ、なるほど。ありゃこうなるわ……」
ノワールはやっとロレスが自分自身を覚えていなかった事を自覚したのだった。




