(52) シンプル
王国騎士団も駐屯する要衝の街。
王都から続く「王の道」は、この街で地方各地へと通じる何本もの街道と接続する。
その街道の中でも最も道幅狭く寂れた一本を、一行はフードリア公爵領に向けて進んでいる。
行列の先頭には女傑バーミヤの乗る豪華な馬車が。そしてその馬車を警護する騎士たちがいる。
その騎士たちに混じり、二人の護衛剣士の姿があった。
すなわち。大陸最強とも称される剣聖その人と、その門下随一の俊英カカズチである。
なお、この老剣聖の姿はフードリアの騎士たちから熱い熱い視線を集めていたりする。
なにしろその神技、無眼無刀。更には百歩神剣。
その神技で、ただのひとりで、王国騎士二百を相手に一歩も引かずに先公妃バーミヤを守り抜いた武の神なのだ。
だから同じ武の道に生きる者として、騎士たちの目は剣聖の一挙手一投足をどうしても追ってしまうのだ。
その剣聖は片時も油断することなく、鋭い眼光を後方に放っていた。
そう、後方に。
剣聖は公爵家の馬車のみならず、今日もまた行列の最後方までくまなく目を配っていたのだ。
まるで騎士たちが剣聖をチラチラと見るように、剣聖もまた最後方をチラチラと気にしている様子であったのだ。
「爺様……」
後方ばかり見すぎです、とは言わない。
カカズチ自身もまた見てしまうのだ。
カカズチ自身もまた、どうしても後方が気になって仕方がないのだ。
なぜならば。
「どこも痛くない……」
昨日。
カカズチは不覚にも騎士団の魔法士によって拘束魔法を喰らってしまったのだ。
大迷宮の恐るべき怪物キングオークをも身動きとれなくする拘束魔法を、その身にマトモに受けてしまったのだ。
すぐに祖父の剣によって解放されたとはいえ、全身のあちこちに骨折を負ってしまったのだ。
こうして歩くどころか、寝台から起き上がることすらできなかったのだ。
そう、この朝までは。
「お姉ちゃん、おはよー」
「ぐ、ぐううぅ、爺様……、その子は?」
この朝。
寝台から起き上がれぬカカズチの元に、祖父はなぜか幼女を連れてきたのだ。
そう、あの幼女である。
ふざけたことにガタナー商会の護衛と称して、あのチンピラとともにキャラバンに同行していたあの幼女である。
一行の最後方で、休憩時間のたびに我が祖父から干し芋だの焼き菓子だのを貰って食べていたあの幼女である。
その幼女が祖父とともにやって来て。
ニコニコ顔で、いきなりカカズチの布団をよいしょと捲って。その両手をこちらへと突き出したかと思うや。
「えいッ」
突然、その全身が光り輝いたのだ。
青く眩くそれでいて優しい、不思議な不思議な光でカカズチを照らしたのだ。
「なッ、ななッ、な……」
「ぬう……」
それにカカズチも、幼女を連れてきた老剣聖も言葉を失って。
やがてその光も静かに収まった頃に……。
「おーいポポラマぁ、朝食できたってよぉ!」
「うんわかったテツヤクン、いまいくー!」
呆然とする二人に「えへへへ」と笑顔を残すと、タタタッと行ってしまったのだ。
「じ、爺様……、もしや今のは、今の光は、昨夜現れたのと同じ……」
「うむ」
「あの子は……、いったい何者なのですか」
「知らぬ。ワシはただ連れていけと言われただけでの」
誰に、とはカカズチも問わない。
誰がそれを言ったか、分かりきっているからだ。
あの幼女といつも一緒にいるのが誰か、分かりきっているからだ。
だから誰にとは問わずに。
「知らぬって、爺様それは嘘です! だって爺様はこれまであの子の事を、あんなに構っていたではないですか!」
「それはホレ、あの年頃の女の子はかわいいではないか」
「く」
私はあの年頃にはもう、爺様の直弟子として毎日血反吐を吐くまで剣を振らされてましたがッ、とは言わずに。
「もういいです! 私も朝食を取ってきます故!」
カカズチはガバリと起き上がるや、剣聖を置いてズカズカと部屋を出たのであった。
なお。
彼女がその骨折を思い出したのは、自分が完全に治っていることに気がついて驚愕したのは、朝食後しばらくたってからである。
「爺様……」
「なんだカカズチ」
相変わらず、行列の最後方をチラチラと気にしている祖父剣聖に。
「あの凄い治癒魔法、凄すぎる治癒魔法士……」
「うむ」
「昨夜の光も、あの幼な子の仕業だったのですね」
「うむ」
「だとするならば、あの凄い治癒魔法で厩舎に伏していた馬たちを治していたとするならば」
「うむ」
「ならば同じくそこに現れたあの赤騎士は、もしかしたらあの幼な子の知己なのかもしれませぬぞ」
「うむ」
「爺様、教えてください! 赤騎士スターダスト卿とはいったい何者なのですか? 爺様が最敬礼を捧げる程の赤騎士とは、あんな凄い治癒魔法士の知己である赤騎士とは、いったいどこの何者なのですか!」
「カカズチよ……」
老剣聖は孫娘から目を反らし、心底悲しげに息を吐いたのだ。
「すまぬ。ああ、すまぬ……」
この孫娘には剣の天稟があった。
それ故にこの孫娘には幼少の頃から特に目を掛けて、直弟子として剣聖自らが剣を教えてきたのだ。
厳しく厳しく剣を教えて来たのだ。
そう。
剣しか教えて来なかったのだ。
その事に、その自責に、老剣聖の胸はキリキリと痛くなるのであった。
◇◆◇◆◇
「ね、だからポポラマちゃん、ちゃんと勉強しないと将来困るんだよ?」
「いやリューへー君……。こんなに凄い治癒魔法士様なら別に勉強とかしなくても」
「ザーク君、それは違います、それはダメです! 誰よりも凄い力を持つからこそ、常識のない大人になってはいけないのです! さもないと、本当に本当に、取り返しのつかないことになるんですから!」
「リューへー君、なんだよその必死さは……」
行列の最後方で。
荷馬車の後にチョコンと座って足をプラプラさせる幼女に。
「ほらポポラマちゃん、向うに着いたら院長先生に手紙を書きたくないかな」
「うん、みんなにもお手紙を書きたい!」
「よし、じゃあ、勉強頑張ろうね」
「うん、分かった。それじゃザーク先生、お勉強よろしくお願いします」
「せ……、俺が先生……」
「ではザーク先生、ポポラマちゃんの事は任せましたよ」
「お、おう」
そのニコニコ顔の少年に。
主君オータニウス王子ではなく、友である庶民のリューへー少年に。
ザークもまたぎこちなく応えるのだった。
その距離感に戸惑うかのように、ぎこちなく応えるのだった。
ちなみに。
このザークは、ボロボロにされた従卒の制服ではなく、ややブカブカの軍服に着替えている。
あの後、フードリアの警護隊長から貰い受けた軍服である。
ぶっきらぼうに「疑ったりして悪かったな」と渡されたお下がりの軍服である。
しかし。
先公妃バーミヤからの誘いをはっきり断ってしまった以上、あまりフードリア公爵家の世話になるわけにはいかなかった。
そこでガタナーにお願いして、雑務の手伝いと引き換えにザークの寝泊りと食事はガタナー商会に面倒を見てもらうことにしたのだ。
いわば臨時のアルバイト扱いである。
とはいえ。
旅の道中はこうして手が空いているわけで。
それならばと、ポポラマの勉強を見てやるよう竜兵に頼まれたのだ。
「それはいいんだけどさ、ええと」
振り向くとそこには竜兵少年の兄もいて。
「この兄ちゃん、さっきからいったい何を?」
二人の少年のすぐ後で先程から。
モヒカン頭でボロ鎧のチンピラが、何やら難しい顔をしているのだ。
変な表情でザークを見ながら、ここは流行りのタイトルでランキングだとか、書籍化だとかアニメ化だとか、意味の分からないことをブツブツとつぶやいているのだ。
「リューへー君、流行りのタイトルって何のことかな?」
「うぅ……」
「……虐待されて追放された従卒は実は最強チートな軍師様でした。今さら戻って来いと言われてももう遅い、無職のホームレスになってスローライフを楽しんでますので!」
「いや確かに俺は無職だけどッ。悲しいことにホームレスだけどッ。スローライフって何さッ」
「う、うぅ……」
金髪の少年はなぜか俯いてしまって。
なぜか恥ずかしげに満面を赤くして。
まるで我が事のように、いやむしろそれ以上に恥ずかしそうな顔でフルフルと首を振っていて。
「「おまえは役立たず」と騎士団を追放されたので復讐します。泣いて謝ってももう遅い、ウヒャヒャヒャ、おまえら全員生皮剥いで皆殺しだから!」
「いや復讐とかしないからッ。なんだよ生皮とか皆殺しとか、怖すぎるよッ」
「う、ううぅ……」
「……追放された従卒、乙女ゲーの悪役令嬢に転生したのでダンジョンで最速レベルアップ。パンがないならもう遅い、餓死するしかありませんわね!」
「もはや何を言ってるのか分からないッ!」
「あ、あああ、ううぅ……」
「あのねザーク先生、テツヤクンがこうなったら放っておくしかないんだよ?」
「え」
「そ、そんなことよりも!」
真っ赤な顔の少年はふいに大声で。
まるで話題を強引に反らすかのように大声で。
「ザーク君、なぜこのルートを選んだのですか? バーミヤ様は理由も聞かずに了承してくれましたけど」
そう、昨夜あの後で。女傑バーミヤに対して。
「馬ならばもう大丈夫です。問題ありませんから日の出とともにこの街を出発しましょう」
そう進言したのは竜兵であり。
「ならばこの道とこの道は避けて、このルートを使うべきです」
そう進言したのはザークであったのだ。
あの街からフードリアの領地に向かうなら、通常この道は使わない。
フードリア領までの最短ルートであるにも関わらず、この道を使う者はいないのだ。
いや、目的地がどこであろうとこの道を使う者は誰もいないのだ。
だから竜兵も人目を気にせず、こうして堂々と歩くこともできたりするのだが。
「だってホラ、こっちに行くと地獄谷だろ」
「はい。何年か前から魔物が住みついてしまって、道を塞いでいるのですよね」
「ああ。逆に言えば邪魔者は魔物しかいないんだろ? その魔物さえ何とかやっつけちまえば、ややこしい問題は一切ないって事だろ?」
「ややこしい問題、ですか」
「ああ。フードリアの先公妃様にとってはややこしすぎる問題だよ」
昨夜。
フードリアの女傑バーミヤは、王国騎士団によって襲撃を受けたのだ。
国防を担うはずの王国騎士団が、情報庁の指示の下にまさかの襲撃を仕掛けてきたのだ。
幸いにして、剣聖の活躍によってバーミヤの暗殺は阻止することができた。
剣聖のとっさの判断で、その襲撃も暗殺未遂事件もはじめから一切「なかった事」にすることもできたのだ。
しかし。
その暗殺計画が失敗した以上、王国情報庁は必ずや次の手を打ってくる。
この先の街において、無事何もなく済むはずなどない。
たとえどのルートを選ぼうとも、どの街に停泊しようとも、情報庁は網を張っていて必ずや何らかの罠を仕掛けてくるに違いない。
そのときに。
たとえそのトラブルを回避したとしても、昨夜のように「なかった事」とできるか限らないのだ。
たとえ暗殺者を正当防衛で撃退したとしても、後から証人や証拠品を捏造されてフードリア側が一方的な加害者にされてしまう事もありえるのだ。
それを口実にバーミヤに対する王都への召還、裁判、刑罰、あるいはフードリア公爵家への罰則処置すらあるかもしれないのだ。
そんな汚いことすらやってのけるのが、王国の暗部、情報庁なのだから。
「だからさ」
とザークはいとも簡単に。
「こっちのルートだったらそんな面倒はないんだ。その魔物さえやっつけちまえばいいんだから。それが一番シンプルだろ」
「シンプルって、そんな簡単にはいきませんよ。だって国軍が過去に何度討伐隊を派遣してもダメだったんですよ? だから地獄谷なんて呼ばれて今でも……」
「え、なんで? そんな魔物なんて兄ちゃんがやっつけてくれるんだろ?」
ザークは小さい声で。
「だってリューへー君の兄ちゃん、魔王様なんだろ? 昨日の赤騎士様なんだろ?」
「!」
「違うもん!」
すると、それまでニコニコ聞いていたポポラマが突然に。
「違うもん! テツヤクンは魔王様じゃ……」
「ちょ、ポポラマちゃん!」
それを慌てて竜兵に制止されて。
「違うもん……」
目にいっぱいに涙を溜めてザークに訴えるのだ。
「ぐす、テツヤクンは……、魔王様じゃないもん……」
「う、なんかゴメン……、でもさぁ……」
グスグスと泣き出したポポラマに、ザークもすっかり困り顔で。
「でもさぁ、今さらそれは違うとか無理がないか? だってどう考えてもさ、誰が見てもさ、この兄ちゃんが、この兄ちゃんこそが……」
◇◆◇◆◇
「あのチンピラさんが、魔王様……」
馬車の中で。
小窓から外を、いつにも増して騒がしい最後方を睨みつけていた彼女の声は、対面に座すバーミヤには届かなかった。
そう。
そう考えれば、全ての辻褄が合うのだ。
城外市の裏社会を束ねる魔王トランキーロ。
空高くに現れ大聖堂を一瞬で破壊して去った恐るべき怪物。
そして。
なぜか遠く離れたサイゼリーナの元へと毎日通っているらしい城外市のチンピラ。
二階の窓まで軽く跳躍して見せた、あのチンピラである。
更には。
大迷宮でオータニウス王子を救ったという赤騎士スターダスト卿。
無手のまま近衛一隊を簡単にねじ伏せて、第二王子の代わりに九首のドラゴンを献上したという正義の騎士様。
そんな騎士様であるならば、大迷宮で助けた王子を果たしてそのまま放置しておくものだろうか。
自分の兄に暗殺されかけて、どこにも居場所のない無力な少年を放置して、何処かに消えるなどありうるだろうか。
そんなはずはない。
忠義忠節、正義の体現者、神のごとき赤騎士スターダスト卿。
彼ならば、必ずや第二王子をその庇護下に入れるのではないか。
哀れな第二王子を己の家族のように、己の弟のように、常に目の届くところに置いてその守護者となるのではないか。
そう、昨夜のように。
バーミヤとともにいて、ともに乱戦に巻き込まれそうになった第二王子を守護するため、赤騎士としてのその姿を見せたときのように。
つまり。
シンプルに考えれば。
いや、どう考えたとしても。誰がどう見ても。
あのチンピラこそが魔王トランキーロ、あのチンピラこそが赤騎士スターダストに他ならないのだ。
「剣聖ではなかった、ではいったいあの赤騎士は……」
侍女の対面では女傑バーミヤが険しい顔で考えこんでいる。
一昨日届いた大聖堂破壊事件の報告書。
それを何度も何度も読み返しては、「まさか……、でもこれが本当に事実だとしたら……」と思考の迷宮に嵌まり込んでいる。
このバーミヤにしても、フードリアの女傑バーミヤにしてすらも、最もシンプルな真実が見えずにいるのだ。
オータニウス王子の一番近くにいる者こそが、赤騎士スターダスト卿であると。
オータニウス王子が兄と慕っている者こそが、魔王トランキーロであると。
そんなシンプルな真実が、バーミヤには見えないのだ。
いや、自分だってこれまでまったく見えていなかったのだ。
なぜならば。
あのチンピラを、この目で見てしまったからだ。
あのチンピラと、言葉を交わしてしまったからだ。
下品で弱そうで言葉が乱暴で、つまりはいかにも雑魚っぽい、あのチンピラを実際に知ってしまったからだ。
その先入観が強固な目隠しとなって、シンプルな真実を見えなくさせたのだ。
「もしかしたらあのチンピラが」という疑念すらも、まったく頭に浮かばなかったのだ。
最もシンプルな真実なのに、誰一人として見破ることができなかったのだ。
いや、それも違う。
あのチンピラに対し、先入観を持たなかった者がいたではないか。
はじめから、出会ったその日から、あのチンピラの中に正義の騎士様を見つけた者がいたではないか。
「お嬢様、サイゼリーナお嬢様……」
彼女はその胸元を、この日もサイゼリーナから届けられた手紙をギュッと押さえて。
「お嬢様が見つけた、お嬢様だけが見つけた騎士様なのに……」
今日もその小窓から、最後方を睨みつけるのであった。
◇◆◇◆◇
「【WEB版】転生しても転生しても無職。なので指の代わりに生えてきたこの触手をフル活用して、ノクターン世界で無双します!」
「……」
「ザーク君、ゴメン……」
「……」
いやなんでそこで竜兵が謝るのよ。
あのなあ竜兵、今のは「こんな兄でゴメン」のゴメンみたいだったぞ?
謝るならむしろツッコミもロクにできなくなってきたザークの方じゃん。
「ザーク君、本当にゴメン!」
俺たちは雑草の生い茂る街道を、緩やかな坂道を登っている。
この坂道をなんとか日没までに登りきり、本日はそこで野営となるらしい。
そして翌日は魔物が住み着く谷を渡るみたい。
魔物といっても単体ではない。
おびただしい数のスライムなんだってさ。
つまりは、おびただしい数の触手なんだってさ。
「リューへー君……」
「はい」
「俺、なんか分かった気がするよ。なぜ誰も気がつかないのか。真実はこんなにもシンプルなのに、なぜそれが誰にも見えないのか」
「……」
なんだよシンプルな真実って。
ん、そうかシンプルか。シンプルなタイトルか……。
「追放されたらスライムだった件……」
「兄様ッ!」
「ん、なんだよ竜兵。突然大きな声を出すとポポラマも追スラも驚くじゃないか」
「いや兄ちゃん、誰だよ追スラって……」
青痣ザーク改め追スラザークは。
「まあ兄ちゃん、俺の方は今さら何があっても驚かねえって。なにしろ昨日はあんだけ驚いちまったからなぁ。もう一生分驚いちまったからなぁ」
「ほう」(ほう)
俺たちの声が重なって。
それに慌てた様子で竜兵が。
「ザ、ザーク君、あまり迂闊なことは言わないほうが……」
「なあポポラマ」
「なあに、テツヤクン」
「悪いが、爺さんを呼んできてくれ」
うん分かったと、ポポラマがタタタッと駆けて行って。
「兄様ッ」
「竜兵止めるなよ、コイツには紹介してやらなきゃならんのだ」
「いやでも兄様、それはしかし……」
「え、紹介? いったいどういう話の流れで?」
そこにポポラマが爺さんを連れて戻ってきて。
「え、剣聖様? いやしかし紹介もなにも、剣聖様のことはとっくに」
「紹介するのはこの爺さんじゃねえよ、俺の相棒の……」
「おおおッ」
「わあッ」
「え、え?」
「うああ……」
これに目を輝かせた爺さんと。
おなじくキラキラの目のポポラマと。
キョトンとしたザークと。
頭を抱えた竜兵と。
「さあ、高木さんを紹介してやるからな。おいザーク、ちょっと鎧を脱ぐから手伝いやがれ」
「え、俺にタカギさんとやらを紹介するのに兄ちゃんが鎧を脱ぐ? え、え?」
賢しげになんでも分かっています的なザークの野郎が。
そのザークがさも不思議そうな顔で、それでもこちらへとその手を伸ばしてきて。
そしたら当然、次の瞬間には……。
◇◆◇◆◇
「うぎゃあああああぁーッ!」
その悲鳴に一行の全員が振り向いた。
荷馬車の陰になって何があったのかは見えないが、最後方がやけに騒がしいのだ。
「今の悲鳴は、今の悲鳴はいったい何なのだ……。まるでいきなり魔物にでも出くわしたかのような、まるで魔物に顔でも舐められたかのような、いったい何があったのだ……。いや、そもそもあのすごい治癒魔法士が爺様を呼びに来るなんて、いったいあそこで何をしているのだ? く、楽しそう、爺様たちもあ奴等も、すっごいすっごい楽しそう……」
作者「神様、神様、皆様からポイントを頂いてもコメディージャンルの日間ランキングに乗らないのです」
運営神「このたわけ者めぃ!作品のキーワード欄に「異世界転移」があるとジャンル別では集計対象外なのじゃ!ガイドラインを百万回読み返すがよいわッ」
作者「ももも、申し訳も……、ザクッ!」(小指を)
※実際には、ものすごーく丁寧に返答を頂きました。




